飼い主の感情に左右されず、効率良くしつけができると話題のクリッカートレーニングをご存知でしょうか。

カチッと音を鳴らし、それをご褒美と結びつける方法は、犬にとっても理解しやすく、多くの場面で役に立つでしょう。

犬の問題行動に悩んでいる飼い主の方には、クリッカートレーニングが救世主となるかもしれませんよ。

まずはクリッカーの音に慣れさせる

犬にクリッカートレーニングを行うと決めたなら、まずクリッカーの音を日常に溶け込ませ、慣れさせる必要があります。

突然聞こえるクリッカーの音に、最初は驚く犬も多いでしょう。

まずは音が危険なものではなく、飼い主が意図的に鳴らしているものだと犬に理解させましょう。

下手にトレーニングを急ぎ過ぎると、犬は音に恐怖心を覚えてしまうかもしれません。

音を鳴らしたらエサをあげたり、撫でて褒めたりすることで、犬はクリッカーの音への警戒心を薄めるでしょう。

音に対して過剰な反応を見せることがなくなるまで、しばらくは一緒に遊ぶような感覚で接するといいですね。

人間の言葉は感情や気分によって微妙に変化し、ときとして犬の耳にはまったく別の意味にすり変わることがあります。

クリッカーはそんな齟齬をなくし、正しく褒めて正しく叱ることのできる便利なアイテムです。

しかし無意味に音を鳴らしているだけでは、犬の混乱を招いて両者の関係を不安定なものにするでしょう。

音に慣れさせることで、ようやくクリッカートレーニングの出発地点となります。

クリッカーの音とご褒美を結びつける

クリッカーの音に慣れたなら、いよいよクリッカートレーニングを始めていきます。

そのために次は、クリッカーの音が犬にとってメリットとなる良い音であることを教えましょう。

カチッと音を鳴らし、犬が聞いていると判断したらご褒美となるものを与えます。

それを何度も繰り返すことで、犬の中でクリッカーの音が鳴ると良いことが起こる。

自分が褒められるのだと理解させることができます。

クリッカーの音に意味を持たせることができたら、第一段階はクリアしたといえるでしょう。

その後はしつけたい行動や仕草に対して、クリッカーの音を鳴らします。

おすわりをした瞬間にクリッカーを鳴らせば、犬はおすわりをしたことで褒められたのだと考えます。

もちろんその後に、言葉とご褒美できちんと褒めてあげることを忘れないでください。

行動のたびにクリッカーが鳴らされれば、犬は喜んでその行動をするようになります。

感情に影響されないクリッカーの音なら、常に犬に正しい意味を伝えることができるので、このようなスムーズなしつけが可能になります。

タイミングを考え、クリッカーを何度も鳴らさないようにする

クリッカートレーニングは、飼い主の技量や注意にその成果を左右されます。

クリッカーを鳴らすタイミングがずれれば、犬はどの行動を褒められたのか理解できません。

早すぎても遅すぎてもだめなので、ちょうど犬が行動を起こす瞬間を狙いましょう。

そのためにトレーニング中は犬の行動を良く観察する集中力が大事になります。

また焦ってクリッカーを何度も鳴らすこともマイナスです。

カチカチと何度も音が鳴ると、犬は自分の行動と音を結びつけることができません。

鳴った分だけご褒美がもらえないと不満に思うこともあります。

クリッカーは一回だけ鳴らすようにして、無駄に回数を増やさないようにしましょう。

上手なトレーニングをするには、飼い主がクリッカーの特性と使用方法をどれだけ理解できているかが重要になります。

失敗を繰り返して、正しくトレーニングを行えるように頑張りましょう。

クリッカーを意味のないとき、別の意味で使用するときには使わない

クリッカートレーニングを徐々に生活に浸透させることができたなら、今後は飼い主がよりクリッカーの音を慎重に扱う必要が出てきます。

カチッという音に犬が喜んでくれる様子を見ていると、つい意味のないときにも音を鳴らしたくなるでしょう。

しかしクリッカーを意味なく鳴らすことで、これまでのトレーニングを無駄にしてしまうかもしれません。

犬は何でもないときに鳴らされた音でも、自分が褒められたのだと解釈します。

あまりにも多くの行動にクリッカーが鳴らされれば、効果はどんどん弱まっていくでしょう。

同じように、怒ったり注意を引いたりしたいときにクリッカーを鳴らすこともよくありません。

クリッカー音は、一度覚えた犬にとってはどんな場面でも褒められる音です。

いくら感情をこめて鳴らしても意味がないので、用途はきちんと理解して使用しましょう。

無理をせず、犬とペースを合わせましょう

クリッカートレーニングは、想像以上に根気と時間を必要とします。

犬がなかなか理解してくれないことに、苛立ちを感じることもあります。

そんなときはトレーニングを中断し、普通に一緒に遊びましょう。

無理をせず犬とペースを合わせることこそ、クリッカートレーニングの基本です。

犬が飽きてしまわないように、トレーニング時間を短くしたり、ご褒美の種類を変えてみたりと、飼い主ができる工夫は全て試してみましょう。

犬の気持ちや心境を理解してこそ、クリッカーの効果は発揮されます。

よく観察し、よく遊ぶ。

犬を飼うときに当たり前となることを実践して、上手なクリッカートレーニングを行いましょう。

クリッカートレーニングでも、重要なのは飼い主の理解

クリッカートレーニングは犬にとって一つの翻訳機となり、飼い主との距離を縮めることができるでしょう。

しかしそこには使用する人間の知識と理解が重要になります。

時間と心の余裕を持って、なるべく犬に寄り添うことを忘れないようにしましょう。

正しくそして楽しいトレーニングを心がけて、犬との絆を強めるようにしてください。