昔から「猫に鰹節」ということわざがあって、鰹節は猫の大好物とされています。

実際猫に鰹節をあげると、大抵の猫は大喜びで食べます。

また猫はにぼしも大好きです。

しかし鰹節やにぼしは、実は猫の健康に良くないそうです。

猫に鰹節をあげてはいけない理由

塩分を多く含んでいるからというのが、鰹節をあげてはいけない理由の1つです。

塩分が多い食べ物は腎臓に負担をかけて血圧を上げるので、猫の健康には良くありません。

しかし塩分以上に猫の健康に害になるのは、鰹節に多く含まれるマグネシウム、リンなどのミネラルです。

ミネラル(特にマグネシウム)を多くとりすぎると泌尿器に結石ができて、尿管に詰まって「尿管結石」になってしまいます。

そして悪化すると腎臓がダメージを受けて腎不全を起こします。

急性腎不全になると手術をしなければならなくなるような深刻な事態になってしまいます。

キャットフードには猫に必要なミネラルは十分含まれているので、さらに鰹節を与えるとミネラル過剰になってしまいます。

猫に、にぼしをあげてはいけない理由

にぼしも鰹節と同様、塩分とミネラルを多く含んでいます。

結石ができて腎臓に負担をかけるので、やりすぎてはいけません。

またサバ、サンマ、アジ、そしてイワシ(煮干し)のような青魚には不飽和脂肪酸が多く含まれています。

これらの魚を食べると猫は大量のビタミンEが必要になりますが、足りないと体内の皮下脂肪が酸化して「黄色脂肪症(イエローファット)」になってしまいます。

皮膚の下に脂肪の塊ができてしこりのようになって、触ると痛がります。

青魚はDHAを多く含み、これは猫の健康に良いのですが、やりすぎは良くありません。

キャットフードでバランスが取れた食事を摂っているならそれで十分なので、にぼしも鰹節同様、できればあげない方が良いでしょう。

猫の腎臓はなぜ弱いのか

猫はもともと泌尿器が弱い動物で、腎臓疾患、猫泌尿器症候群(FUS)を起こしやすいです。

その理由として、イエ猫の祖先が「リビアヤマ猫」という種類のアフリカの砂漠地方に住むヤマ猫だったからだという説があります。

リビアヤマ猫は砂漠の環境に適応するためにあまり水を飲まず、濃縮された尿を出す習性を持っていました。

イエ猫もその名残で水を飲む量が少なく尿が濃く、結石ができやすいので腎臓や泌尿器を痛めやすいということです。

鰹節やにぼしは結石を作る原因になるので、できるだけ避けた方が良いのですが、他にも結石を作りやすい食品があります。

ピーナッツ、海苔、ミネラルウォーターはマグネシウムが多く含まれていて、猫の体内で結石を作るので良くありません。

またほうれん草が含むシュウ酸カルシウムも結石の原因になります。

結石ができた猫はどんな症状か

「猫に鰹節やにぼしをあげてしまったので結石が心配になった」という人もいらっしゃるでしょう。

結石ができていないか、猫のトイレを注意深く見守って、疑いがあったら獣医師に連れて行きましょう。

結石ができた猫の症状は以下のようになります。

•何度もトイレに行くようになる
尿がなかなか出ないため。

普通猫のトイレの回数は1日2回くらいであり、5~6回以上だと何か病気が疑われる。

•おしっこをした後に痛がる
中で結石が動くと尿道を刺激して傷みがある。

•尿に血が混じる
結石が尿道を傷めて出血する。

•尿にキラキラしたものが混ざる
尿に結石が混ざっている。

•おなかが膨れる
尿が出なくなって溜まっている。

•元気がなくなり食欲不振、嘔吐などの症状が出る
腎不全を起こしている可能性。

猫は24時間体内に尿をためられるそうですが、それ以上だと尿毒症を起こして命にかかわります。

もし猫のお腹が膨れていたら、一刻も早く獣医師に連れていきましょう。

「黄色脂肪症(イエローファット)」の猫の症状は?

にぼしなどの青魚の食べ過ぎでイエローファットになった猫は、具体的にどのような症状があらわれるのでしょうか?

•下腹部(後ろ足の間)にしこりができる
•腹部を触ると痛がる
•しこりが熱や傷みを持って、歩き方が不自然になる
•食欲がなくなりぐったりする

このような症状が出たら、獣医師に連れていきましょう。

まず患部の炎症を抑える投薬治療をして、それからビタミンEを含んだ食事を与えるようになります。

食事のバランスを整えることが大事ですが、獣医師によく相談しましょう。

猫に鰹節やにぼしをあげるには?

猫に鰹節やにぼしはできるだけあげない方が良いのですが、どうしてもあげたいときはどうやってどれだけ与えるのが良いのでしょうか?

まず人間が食べている鰹節やにぼしは塩分が濃いので、あげるのはやめましょう。

猫用の鰹節やにぼしを売っているのでそちらの方が良いでしょう。

しかし猫用の鰹節やにぼしはほとんどのものが「減塩」となっているだけで、ミネラルや不飽和脂肪酸はそのままなので、結石やイエローファットのリスクは変わりません。

もし鰹節をあげたいなら、猫用のものを一回にほんのひとつまみほど、そして毎日食べるようにせず時々だけにしましょう。

にぼしは猫用のものにして、ミネラルが多い頭の部分は取って、一回に1匹か2匹まで、そして毎日ではなく時々にしましょう。

にぼしは減塩であっても、水につけてさらに塩分を抜いてやるのが望ましいです。

猫に人間用の鰹節やにぼしはあげないようにしよう

体に良くないものなのに、猫はなぜか鰹節やにぼしが大好きです。

しかし好きなものを好きなだけ与えていると重大な病気になることがあるので、飼い主がコントロールしなければなりません。

猫が鰹節やにぼしを食べているのは可愛らしいですが、猫の健康のためにはできるだけ与えない方が良いでしょう。