金魚を等の熱帯魚を上手く育てられるようになると、次は「繁殖」に挑戦してみたくなってきます。

繁殖は金魚を1から育てることができる、アクアリウムの中でも上級者向けの楽しみです。

特にらんちゅうの中には血統を大切にする高級品種も多くいます。

そんならんちゅうを上手く繁殖するにはどうすればいいのか、具体的にご紹介いたしましょう。

親魚を選ぶ

らんちゅうを繁殖させることを、俗に「仔引き」と言います。

仔引きをする上で最も重要になってくることは、「適切な親魚を選ぶ」ことです。

親魚が健康で質の良い個体であれば、仔引きもし易く、より良い個体が生まれる可能性が高まります。

親魚を選ぶ基準は「年齢が適切か」、「健康かどうか」、「体形や体色が美しいか」の3つが主になります。

繁殖に最適だと言われているのは、雌雄共に3歳~5歳くらいのらんちゅうです。

この時期は精子・卵子共に安定している時期で、受精もし易く、さらに親魚も成魚になっているので、らんちゅうの特徴を把握しやすいです。

「健康かどうか」は言うまでも無いことですが、繁殖をさせるのであれば健康で活発な個体であるほど良いです。

健康な個体は健康な稚魚を産み易く、また繁殖後も元気でいられる確率が高いからです。

「体形や体色」を選ぶのは、より美しいらんちゅうを生み出すためです。

特に血統の良い品種や高級品種は、その品種の特徴を色濃く受け継いでいる個体を親魚にすると、稚魚も美しい個体に成長する可能性が高まります。

雌雄を分けておく

らんちゅうは高級金魚と言えど金魚ですので、繁殖そのものは初心者でもし易いと言えるでしょう。

生まれてくる稚魚の質を全く気にしないのであれば、雌雄を一緒にして放っておけば、勝手に繁殖することも良くあります。

所謂「自然繁殖」と言うものです。

しかし決まった親魚同士で繁殖をさせたい場合は、雌雄を別々の水槽に移しておく必要があります。

地域によって時期は異なりますが、少なくとも水温が12度を超える時期になったら、早めに雌雄を別々にしてください。

水槽を幾つか用意できる余力があるのであれば、最初から雌雄を別の水槽で飼育することをオススメします。

雌雄を一緒にして飼育していると、気付かぬ内に繁殖行動を取ってしまい、いざ特定の親魚同士で繁殖をしようとしたら別の個体との稚魚が生まれた、何てこともあり得ます。

専用の水槽に移す

親魚の選別が済んだら、いよいよ繁殖の準備です。

繁殖時期は地域によってまちまちですが、大体冬眠明けして1ヶ月くらいが時期と考えられます。

選別した雄と雌を一緒の専用水槽に入れ、体力を付けさせるためにエサは多めに与えます。

この時雌1匹に対して雄を2匹の対にして水槽に入れると受精率が上がります。

しかし血統を重視したい場合やより良い個体を作ることが目的ならば、雄と雌は1匹ずつにしても大丈夫です。

専用水槽にはカルキ抜きをした水か、汲み置きをしておいた水を使います。

また専用水槽の中には雌が産卵をする「産卵巣」を入れておきましょう。

業者の間では主に「シュロ」と呼ばれる皮を束ねて産卵巣として入れることが多いですが、水草を代わりに用いることもできます。

しかし初めて繁殖に挑戦する場合は、人口の産卵巣を用いた方が安定します。

よく観察する

雌のお腹が柔らかくなり膨らんでくると、それが産卵間近の合図です。

らんちゅうの雌は水替えや雨上がりなど、水質の変化がきっかけで産卵をすることが多いので、よく観察します。

産卵間近になったら、エサを少なめにしていきましょう。

特に雄はエサが多いと繁殖行動を取り難いと言います。

らんちゅうの産卵・受精は午前中に多く行われます。

きちんと受精が行われているのであれば、水が薄く白濁していますので、こまめにチェックします。

産卵・受精が済んだのであれば親魚はすぐに別水槽の移す必要があります。

放っておくと、卵を食べてしまう可能性があるからです。

また産卵後の親魚は体力が落ちていて病気になり易いので、気を付ける必要があります。

卵を孵化させる

産卵・受精が終了し、親魚を別の水槽に移したら、受精卵の入った水槽の水温を20度に保ちます。

水温が高ければそれだけ孵化までの時間が短縮させますが、その分奇形の発生リスクが高まる上に、無精卵や精子の腐敗が早まります。

その間ろ過装置は止め、エアレーションを行うようにします。

受精卵は生きていますので、しっかり酸素を行き渡らせる必要があります。

1日~2日程経つと、無精卵や精子の腐敗によって水質が悪化し始めますので、別に用意した水槽に卵のついた産卵巣を移すようにしましょう。

水温を20度に保ち続ければ、卵は5日程で孵化します。

らんちゅうを繁殖させよう

らんちゅうの繁殖と聞くと、普通の金魚とは違って難しいのではないか、と思われがちですが、実際にはそこまで難しくはないのです。

金魚の繁殖は観賞魚の中でも敷居が低く、らんちゅうも例外ではありません。

らんちゅうは昔からより良い個体同士を掛け合わせて、美しい品種を作ってきた金魚です。

これを機に自分の好きならんちゅう同士を掛け合わせて、自分だけのオリジナルの品種を作ってみてはいかがでしょうか。