犬と猫の両方を飼っている家では、犬がキャットフードを食べるので困ってしまうという話を聞きます。
また、ドッグフードとキャットフードは同じメーカーから販売されているものも多く、間違って買ってしまった人もるのではないでしょうか。
犬が喜んで食べるから、間違えて買ったのでもったいないなどの理由で、キャットフードを与え続けている人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
ドッグフードとキャットフードは分けられているのにはちゃんとした理由があり、犬にキャットフードを与えることにはデメリットがあります。
キャットフードは栄養が豊富すぎる
そもそも、ドッグフードとキャットフードはどう違っているのでしょうか。
最初に挙げられるのは、ドッグフードよりもキャットフードの方が栄養豊富だということです。
一例を挙げれば、猫は体内でタウリンというアミノ酸を生成することができません。
このタウリンが不足すると網膜に障害を起こして目が見えなくなってしまったり、心臓疾患の原因になってしまったりします。
このため、キャットフードにはタウリンがふんだんに配合されているのです。
対して、犬は体内でタウリンを生成することができますので、ドッグフードにはタウリンがあまり含まれていません。
つまり、犬にとってキャットフードはタウリンが過剰だということになります。
この違いは猫が犬と違い、完全肉食動物だということからきています。
動物性の食べ物からしか栄養を吸収することができませんので、キャットフードはドッグフードに比べて動物由来の栄養素が多くなっているためです。
つまり、キャットフードは同じ量でもドッグフードより栄養分が多いということで、これはキャットフードの方が高カロリーであることを意味しています。
キャットフードは味が濃すぎる
動物の舌には、味を感じることのできる味蕾という器官があります。
この味蕾の数は、動物によって大きく異なっています。
人間だと1万ぐらい、犬は2000ぐらい、猫は750ぐらいです。
このことから考えられるのは、犬は人間よりも味オンチで、猫は犬に輪をかけた味オンチだということです。
そして、これがドッグフードとキャットフードの違いにもつながっているのです。
上にも書きましたように猫は味オンチですので、猫の食べ物であるキャットフードはより味を強く感じられるように作られています。
つまり、キャットフードはドッグフードよりも味が濃く作られており、塩分などの含有量が多くなっているのです。
犬も決して細かい味が分かる動物ではないこともあり、基本的に味付けの濃いものが好きです。
そして、キャットフードはドッグフードよりも味が濃いわけですから、実際に与えてみるとドッグフードよりも食いつきが良かったりします。
ただ、後述するようにこれは必ずしもメリットではないのです。
栄養豊富なのは肥満の原因になる
上にも書きましたが、キャットフードはドッグフードよりも高カロリーです。
ドッグフードと同じ量を与えていると、あっという間にカロリーオーバーになってしまいます。
短期的にはともかく、長期的にカロリーオーバーになると、待っているのは肥満です。
そうでなくても最近は基本的に室内飼いの個体が増えていますので、肥満が問題になっているのです。
肥満の弊害については、基本的に人間と大きく変わるところはありません。
動脈硬化によって心筋梗塞や脳梗塞を引き起こしてしまったり、癌をはじめとする成人病の原因になってしまったりします。
栄養不足は困りますが、与えすぎることも健康に悪影響を与えるのです。
犬にキャットフードを長期にわたって与えると、肥満になってしまう可能性は高いでしょう。
そうならないためには犬に適した食べ物、ドッグフードの方が良いというわけです。
味が濃いのは腎機能障害の原因になる
上にも書きましたように、キャットフードはドッグフードに比べて味が濃く、塩分などが多めに含まれています。
つまり、塩分の過剰摂取になりやすいということです。
塩分を過剰摂取した場合、いつまでも体内に留めておくわけにはいきませんので、尿として体外に排出することになります。
このときに、多少なりとも腎臓に負担がかかってしまいます。
キャットフードを長期にわたって与え続けると、常に塩分過剰になりますので、腎臓に負担をかけ続けることになってしまいます。
結果として腎臓が疲れてしまい、機能障害を起こしてしまいます。
最近では基本的に室内飼いの個体が増えていることにより、それによって犬の寿命が伸びています。
高齢になると内臓に問題を抱えやすくなりますが、腎臓も例外ではありません。
その腎臓に負担を与え続けると腎不全を招き、命に関わる可能性すらあります。
いくら犬が味の濃い食べ物が好きでも、与え続けるのは健康への悪影響があることを知っておいてください。
犬にキャットフードは厳禁
犬にキャットフードを長期にわたって与えると、上記のように犬の健康に悪影響を与えてしまいます。
犬の好きな食べ物を、体に良い食べ物は必ずしも同じではないということです。
犬の健康維持のためにはちゃんとしたドッグフードを与えるようにすることが必要で、それを心がけることが飼い主の務めではないでしょうか。