マンクスとは、イギリス領のマン島を発祥とする尻尾のない猫のことです。

尻尾のない猫は世界中でマンクス、キムリックの2品種しか存在しません。

キムリックとはこのマンクスに長毛種の猫をかけあわせた品種で、「ロングヘアーマンクス」とも呼ばれています。

何百年も前にマン島で突然変異の尾無し猫が発生し、離島という閉鎖環境の中ならではの固有種として受け継がれていったものと考えられています。

マンクスの外見の特徴

マンクス最大の特徴はやはり尾がないことですが、完全に無尾の猫ばかりというわけではありません。

実は尾の長さによって呼び名は3種類に分かれます。
・完全に無尾のランピー
・動かない木の株のような尾を持つスタンピー
・短めの尾を持つロンギー

ちなみに日本にも短めの尻尾を持つ「ジャパニーズボブテイル」という品種がありますが、遺伝子上マンクスとは全く異なる品種となっています。

基本的にマンクスは短毛種ですが、キムリックというロングヘアーマンクスも存在します。

尾がなく後ろ足が長いため、うさぎのようにピョンピョンと跳ねて移動します。

これはしっぽが無い分体のバランスを取るために後ろ足が長くなったせいだと考えられています。

その独特の歩き方は「マンクスホップ」と呼ばれ、ラビットキャット、バニーキャットという愛称でも親しまれています。

また、一般の猫は高い場所を好む傾向にありますが、マンクスは地面などの低い場所を好むため「フロアキャット」とも呼ばれています。

マンクスの性格

個体差はありますが、一般的に「引っ込み思案で用心深い」猫だと言われています。

おとなしくもの静かで、賢く警戒心が強いという特徴が目立つようです。

そのため心を許した飼い主以外には懐きにくいのですが、とても愛情深く、信頼している飼い主に従順という一面も持っています。

その一方で優れたハンティング能力や運動神経を持つとされており、ネズミハント用に飼育されていた歴史があります。

基本的には元気いっぱい、木登り大好きな品種といって良いでしょう。

マンクスの寿命

マンクスの平均寿命は一般的な猫より少々短く、11歳~14歳ほどだと言われています。

(一般的な猫は15歳前後です)また9歳~13歳ほどだという説もあります。

しかし、飼育環境や生活環境、遺伝子によって寿命は大きく変わるため、この限りとは言い切れません。

遺伝的に便秘になりやすい、病気になりやすい猫だとも言われています。

飼い主が体調管理をしっかりし、ストレスのない環境で飼育することで天寿をまっとうさせてあげられる確率も高まるでしょう。

マンクスの価格と入手方法

現在の日本でマンクスのブリードを行っている所はほとんどありません。

マンクスを繁殖させるためには、必ずランピーとスタンピーを掛け合わせねばならず、ランピー同士の掛け合わせはタブーとなっています。

これはマンクス症候群という遺伝病によって、ランピー同士、あるいはランピーを三代続けて掛け合わせることによって致死性遺伝子が働き、死産・流産してしまう、あるいは成猫になるまでに死んでしまという特性があるからです。

つまり、マンクスの繁殖には高度な知識と豊富な経験が必要です。

どうしてもマンクスを手に入れたい場合は、海外のペットショップやブリーダーから購入するのが確実です。

値段は11万~30万ほどだと言われていますが、まず日本のペットショップには並びませんし、世界的にとても入手困難な品種のため、相場は大きく変動します。

特にキムリックなどの長毛種は、非常に繁殖が難しいため、かなりの高額になることもあります。

また、海外からペットを持ち込む場合は輸入検疫を受ける必要があり、マイクロチップの装着や狂犬病予防などが必要になります。

海外のブリーダーを紹介してくれる日本のコーディネーターを通して、しっかりと手続きを踏みましょう。

マンクスを飼うときの注意点

マンクスの被毛はアンダーコートとトップコートの二つから構成されるダブルコートなので、換毛期にはしっかりとブラッシングしてあげましょう。

また、マンクスの体重は
・オス…4.0kg~5.8kg
・メス…3.1kg~5.0kg
ほどとなっており、一般的な猫とほぼ同じ、もしくは少々少ないといった重さです。

ただし胴は短く、顔や体が全体的の丸っこい形そしています。

全体的な姿形がブリティッシュショートヘアに似ているため、マンクスとブリティッシュは祖先が同じだと考えられています。

マンクスについて知ろう

マンクスにしっぽがないのは脊椎の突然変異です。

そのため、本来のしっぽの付け根にあたる所はとても敏感になっており、触られるととても驚いてしまいます。

容易に触れて怒らせたり、ストレスを溜めさせたりは厳禁です。

以上のように、マンクスは非常にデリケートな純血種であるため、飼うときは優しく接して、常に気を配ってあげて下さいね。