猫にマタタビを与えるとスリスリと体をこすりつけ始めて、まるでお酒に酔ったようになります。

ちょっと引いてしまうくらい反応するネコちゃんもいますね。

猫用オモチャやおやつ、爪研ぎなどマタタビ付きの商品も多くありますが、猫に害はないのでしょうか。

どうして猫はまたたびに反応するのか

実は、なぜ猫がマタタビに反応してしまうのかはっきりとは分かっていません。

猫の脳内でどのような反応が起きて興奮するのかは明確には分かりません。

しかしマタタビに含まれる”マタタビラクトン”、そして”アクニチジン”という揮発性の成分が猫の上アゴにあるヤコブソン器官という器官を刺激し、中枢神経を麻痺させる事で興奮や快感を与えるのではと言われています。

マタタビを与えるとペロペロと舐め始める猫もいますが、マタタビの成分を口から摂取しているわけでなく、匂いを嗅いだ時点ですでにマタタビに反応しています。

猫にマタタビを与えると興奮、催眠、流涎といった作用を引き起こしますが、人間や他の動物にはまったく作用しません。

なぜネコ科の生物だけが反応するのかは分かりませんが、マタタビの酩酊効果はネコ科の生き物だけの独特の作用です。

反応しない猫もいる

生まれて数ヶ月の子猫や不妊手術をした猫など、一部にはマタタビに反応しない猫もいます。

また、マタタビにはオスの方がよく反応し、オスでも去勢した猫の反応が少ない事から、マタタビにはメスのフェロモンと同じような媚薬効果があるとも言われています。

フェロモンを感じる器官であるヤコブソン器官でマタタビの刺激を感じていると言われるのは、このオスが最もマタタビに反応しやすい事からも推測できます。

マタタビに対する反応から、オス猫のある程度の成長度合いも推測する事が出来るかもしれません。

どんな時にあげると良いか、マタタビの使い方

マタタビの効果は長く続くものではなく、大体の反応時間は1~2分程度、長くとも10分もすれば猫はマタタビに飽きてしまいます。

長時間大量に与えれば喜ぶというものではないのでオモチャに一振り、一日で1gほどの極少量で短時間の使用が良いでしょう。

毎日与える必要も無く、たまに与える程度の猫の娯楽の一つというのがマタタビの正しい立ち位置です。

マタタビは猫にとっての嗜好品です。

ストレス解消や心の安定剤としての使用が好ましく、飼い始めたばかりで緊張している時、新しいものを買ったときの警戒心を和らげるために使うのが最も効果的です。

猫は人が思う以上に神経質な生き物なので、引っ越したばかりやストレスの多い環境にいなくてはならない時にマタタビで気を紛らわせてあげると、ストレスの軽減に繋がります。

またたびと同じ効果が得られるもの

マタタビのように猫を酩酊状態にする植物はいくつかあります。

そのうちの一つにキャットニップ(西洋マタタビ)があります。

キャットニップは別名イヌハッカとも言い、”ネペタラクトン”という成分がマタタビと同じような効果をもたらします。

マタタビと同じように市販されており、比較的簡単に手に入ります。

マタタビには反応せず、キャットニップには反応するというように猫によって好みがわかれる場合もあるので、マタタビに反応がなかった猫に試してみると違った反応が得られるかもしれません。

また、実はキウイもマタタビ科の植物です。

私達が普段食べている実の部分には効果はありませんが、木にはしっかりとマタタビとしての効果があります。

キウイや他にサルナシなど庭に植えられる植物にはマタタビの効果を持つものがいくつかあり、庭に野良猫が寄って来て庭木を傷める原因になってしまう事もあります。

あげ過ぎには注意が必要

マタタビには有害物質は含まれていません。

人間のお酒やタバコのように依存性もありません。

また漢方薬の世界では、利尿や鎮痛効果のある薬として使われる事もあります。

とはいえ、どんな物でも摂りすぎれば毒になるように、過剰に与えれば猫にとって良い物ではありません。

あまり常用しすぎたり、心臓が弱い、高齢の猫には刺激が強すぎてしまうので使用には注意が必要です。

場合によっては、猫が興奮しすぎて呼吸麻痺を起こし、死んでしまうこともありえます。

自分の家の猫がどのような反応をするタイプか確認してから使用の仕方を判断してください。

猫によっては興奮して動きが激しくなるものもいるので、マタタビを与える時に無闇に手を出せば怪我を負う事になりかねません。

また、バランス感覚も弱まるので高所やバランスの悪い所では与えないでください。

マタタビに反応している猫は、極度に判断力が低下している状態です。

使う場所や量は飼い主がしっかりと管理してあげましょう。

マタタビは用量用法を守って与えよう

マタタビは与えても与えなくても問題の無い、言わば嗜好品の一つでしかありません。

マタタビに酔っている姿が可愛い、面白いから与えるのではなく、ストレスが多い時、リラックスさせたい時に上手にマタタビを使ってあげて、ネコちゃんにとってより良い環境作りに役立ててください。