突然に猫がぐるぐると回りだしたら、飼い主さんはどのような反応をするでしょうか。
ただ単に遊んでいるのかな?それとも何かの病気かも?と色々と考えたり、心配になることもありますね。
今回は猫がぐるぐるとまわるという行動には、どのような意味や原因があるのかご紹介します。
猫の仕事や日課としての行動
猫が仕事をしたり、日課としている行動などがあるのか、と思う人もいるかもしれませんが、猫にとっては食べて寝ることだけが仕事ではないのです。
ほんの些細な事、例えば決まった椅子の匂いを嗅ぐ、特定の床にだけ爪をとぐ、なども猫にとっては立派な日課の場合があります。
その中の一つとして、テーブルや椅子の周りをぐるぐると歩き回る猫がいます。
ある決まった時間(寝起きや食後など)にぐるぐると回るという行動をする場合には、その猫にとっての仕事や日課、ルーティンと考えられます。
猫の遊びとしての行動
カーペットの真ん中などで、自分のしっぽを追いかけるようにぐるぐると回っている行動をしているのは、子猫に多く見られます。
これは遊びながら狩りの仕方を覚えているのです。
長いしっぽの場合は、動かすとふわふわ・ひらひらするので、猫にとってはとても魅力的なものに見えて、自分のしっぽであっても捕まえたくなるようです。
また短いしっぽの場合は、くるくると細かく早く動くので、まさにネズミそのもののように見えてくるのでしょう。
猫はネズミを捕まえたり、セミを捕まえてきたりして飼い主さんを驚かせたりしますが、元々狩猟本能の強い動物です。
大人の猫でも猫じゃらしに必死になっている姿からもよく分かりますね。
自分のしっぽを獲物に見立てて、ぐるぐると回りながら追いかけることで、狩りの練習となっていると考えられます。
猫の認知症の行動のひとつ
猫は犬より長生きだと言われています。
15歳以上や20歳くらいまで生きる猫も、そう珍しいことではなくなってきました。
猫用のフードも7歳以降から高齢猫用と名付けられているものが多いことからも、高齢猫として長生きする分、認知症のような症状が出てくる猫もいます。
徘徊のように同じ場所を行ったり来たりとぐるぐる回る行動をしたり、夜鳴きがひどくなる、ご飯をあげたばかりなのにまた欲しがるなどの他の症状が見られる場合には、認知症の始まりかもしれません。
現在は様々なお薬やサプリメントで進行を遅くすることもできるようになってきました。
認知症が疑われる時には、かかりつけの獣医師に相談することをオススメします。
猫の脳神経疾患から引き起こされる行動
①中耳炎など耳の疾患に伴うもの
1:鼓室胞炎(こしつほうえん)
鼓室胞炎は耳の中の空洞部分に、炎症によって膿が溜まった状態です。
人間なら痛みや聞こえにくいといった症状を伝えることができますが、猫はできません。
首を傾けるような仕草の「斜頸」や、行きたい場所まで行けずに「ぐるぐる回る」という行動で飼い主が気付くことが多いのです。
抗生物質の投薬治療で炎症が治まれば、ぐるぐる回るなどの行動も消失します。
2:前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)
前庭神経炎は、耳の中にある三半規管から脳につながる前庭神経の炎症によって起こります。
炎症がある耳の方へ頭をかしげたり、ぐるぐる回るなどの行動が見られます。
抗生物質の投薬と同時に、ステロイド剤や抗めまい薬などが処方されます。
1週間ほどで快方に向かいます。
しかし、服薬中も目が回っている状態が続きますので、猫の行動をよく見守ることが大事です。
階段を踏み外したリ、家具にぶつかったりなど、ケガをしやすいので、飼い主さんは猫の行動をよく注意しておかなければなりません。
②小脳の疾患によるもの小脳は運動機能をつかさどる大事な部分です。
体のバランスや目の動きを調整する場所なので、この部分がダメージを受けていると、歩行が困難になったり、ぐるぐる回るといった行動を引き起こすことになります。
他にも頭や体の震えも見られます。
小脳そのものに外科的な手術などを施すことはできないので、治療法はありません。
1:小脳形成不全
小脳が低形成(発育不全、奇形)された状態のことです。
母猫の胎内や出生直後に猫パルボウイルスに感染することで引き起こされます。
2:小脳変性症
先天性で小脳神経細胞が変性してしまう疾患です。
成猫になってから発症する場合もあります。
3:後天的なもの
事故などによるケガ、腫瘍、ウイルスや細菌などの感染によっても小脳に影響を与えてしまう場合があります。
猫の動きを注意深く見ておこう
猫がぐるぐると回るという行動には、「日課」「遊び」「老化」「障害」など様々な原因があることが考えられます。
健康で元気に遊んでいる猫の姿を見るのは、飼い主さんにとって心が和むひと時ですが、「ちょっといつもと違う行動だな」と直感で感じた時には、早めに動物病院へ受診することをオススメします。
例え何かしらの障害を持って産まれてきたり、病気やケガをしたとしても、猫は小さな体で一生懸命に命を全うしようと生きています。
「あなたと一緒に過ごすことができて幸せ」と猫に思ってもらえるよう、猫との時間を大切にしていきたいですね。