猫が自分の腕を枕にしてグッスリ眠る姿に、思わず「可愛い、守ってあげたい」なんて心が震えた飼い主も多いのでは?
でも、ふと疑問に思いませんか?
どうして猫は腕枕で眠るのでしょうか。
その心理をご紹介します。
安らぎを感じている
猫の顎を撫でるとゴロゴロいうのは、掻いてもらうのが嬉しいからです。
そこは猫にとって敏感な部分であり、優しく触れば気持ちが良いけど、乱暴な触り方では耐えられないという場所。
実はそれだけではありません。
猫にとってあごは急所でもあります。
急所は攻撃されると、生命の危機につながりますから、警戒心が強いときには自然とあごを隠すようなポーズになります。
あごを乗せるのは、命を預けても大丈夫という確信があるときだけです。
言い換えれば、このポーズができるのは、ここは安心できる場所とばかりに心からくつろいでいる証拠。
あごを乗せているときの猫の身体を観察してみてください。
体全体の力が抜けて、リラックスしているのがわかるはずです。
身も心もおまかせというぐらい、飼い主さんを信頼しています。
ここは自分のなわばりだと主張している
猫は縄張りを持って生きています。
縄張りの中にいれば、のびのびと安心できるのですが、その安心度は縄張りの中だったらどこでも同じということではありません。
室内外の猫でしたら、縄張りは家の中。
その家の中でも布団は、猫が一番好きな場所です。
ふわふわで、ポカポカと暖かく、そして大好きな飼い主さんが寝ているところ。
布団の中が一番安心できる場所であり、縄張りの中心地ということになります。
猫は安心できる場所にいるとき、身体をこすりつけて自分の匂いを周りにつけるという習性があります。
実は猫のあごの下には、においの出る腺があって、飼い主さんの腕にあごを乗せるのは、匂いを残したいという欲求の表れです。
自分の匂いがするから安心でき、安心してリラックスするから、またスリスリと匂いをつけたくなります。
腕の上でゴロニャンとしながら、これは私のものだという強い縄張り意識を抱いているということなのですね。
また、いつも腕枕をしたがるのは、お風呂に入った後で飼い主さんの身体から自分の匂いがしないからということも考えられます。
そのため、匂いをつけなくちゃとなり腕の上に寝るようになります。
親愛の情を示している
あごには匂いの出る分泌腺があるので、こすりつけるのは「自分のものだ」と主張する行為であるのですが、これは親愛の気持ちを伝えるときも見られる行動です。
本来猫には、猫同士お互いに体を擦り合わせて挨拶する習性があります。
これは親しい相手とだけするとっておきの行為で、「もっと仲良くしたい」という気持ちを伝えようとしています。
飼い猫の場合は、その対象は人間になります。
飼い主さんの腕を枕にして眠るのは、あごを乗せることで、親愛の情を示して、そのまま気持ち良くなって眠ってしまったからなのかもしれません。
また、自分より上の位置にいる者に対してのこすりつけは、ご機嫌を伺うという意味もあります。
飼い主からすると、所有物と思われるのと、大好きと思われるのとでは、天の地ほどの違いがありますが、猫は同じ行動になってしまいます。
猫と飼い主との関係性によって解釈が違ってくるのです。
母親を求めている
猫は元々単独で暮らしている動物ですが、子猫のときだけ、お母さん猫、兄弟猫と一緒に暮しています。
その後、独り立ちしていくわけですが、自分から出ていくわけではありません。
お母さん猫の方から強引に子離れしてしまいます。
追いかけてくる子猫をフーッと威嚇したり、攻撃をしたりして、追い払います。
子猫たちはいつまでも甘えていたいと思っているのですが、攻撃されてはかなわないという感じで、泣く泣く独り立ちしていきます。
生まれて三か月ぐらいの出来事なので、ちょっと可哀想なのですが、これが野生の猫の掟なのでしょうね。
しかし飼い猫は、事情が違います。
大きくなっても飼い主さんがお母さん猫のようにせっせと世話をして、決して追い出すことはしません。
ですから、飼い猫はいくつになっても子猫のように、飼い主さんに甘え、子猫のように振る舞うのです。
子猫のときの寝姿を思い出してください。
子猫たちはいつもくっついてお母さん猫に抱かれるようにして眠っています。
お母さん猫を枕代わりにして眠っている姿もよく見かけることです。
飼い主さんに腕枕してもらっている猫は、母親を求めているのといったところでしょうか。
もし猫が本当の母親だと思ってくれたら、飼い主冥利につきますね。
猫を腕枕で寝かせてあげよう
猫は野生時代、木の洞や窪みなどを寝床にしていたので、狭くて何かに囲まれた場所が大好きです。
腕枕をさせたかったら、「腰に手を当てて」のポーズをすると良いですよ。
猫は人間の胴体と腕に囲まれた空間にすっぽり入り込んで、自然にあごを腕に乗っけてくれます。
それで猫は安らぐし、飼い主も大満足です。