猫は、起きている時間の半分ほどを、自分の体のグルーミング(毛繕い)に費やすと言います。
でも、よく見ていると、あなたの猫が、全身をグルーミングするのではなく、お腹だけをしきりに舐めている、なんていうことはありませんか。
猫がお腹ばかりを舐めている場合には、いくつか気を付けるべきことがあります。
ストレスが溜まっているサイン
猫のグルーミングには、余計な毛を取り除くことで皮膚の健康を保つ効果や、毛を濡らして気化させることで体温調節を行う意味、そしてストレスを感じたときに行い自分をリラックスさせる意味などがあります。
嫌なことがあったときにグルーミングで解消すること自体は、ままある行動ですが、同じ箇所を繰り返し舐めているときはストレスが溜まっている証拠です。
特にお腹はストレスを解消するために、猫がよく舐める場所であると言われます。
猫はとても敏感な生き物で、ストレスは体調にかなり影響します。
ストレスや心因性のものが原因だとしたら、その原因を解決してあげることが大切です。
最近、猫の住環境に変化はありませんでしたか?
猫にとって、いつもと同じであることが安心できる環境です。
光や音、近所から聞こえる騒音、ゲージやベッドのの位置が変わった、など人にとっては些細なことがストレスになる可能性もあります。
また、叱られたり、怒られたり、何かひょんなトラブルにあって怖い思いをしたことはありませんか。
思い出してみてください。
そして、原因がわかった場合には、猫の様子をみて、優しく言葉をかけながら、落ち着ける場所を探したり、ステップを踏んで安心させたりしながら、改善していきましょう。
皮膚病を起こしている
お腹を中心に何らかの皮膚病を起こしている可能性もあります。
痒かったり何らかの違和感を感じているのかもしれません。
ダニやノミがいたり細菌性の微生物によって引き起こされているケース、歯槽膿漏や歯肉炎など猫自身の口内の病気があり、唾液に細菌が混じっている状態で、グルーミングしたことで引き起こされているケースも考えられます。
また、猫の下はざらざらしていますよね。
このざらざらがあることで、舌が櫛と同じ役目を果たしてくれるためグルーミングに役立つのですが、ストレスからグルーミングを繰り返したことで皮膚が削れてしまったり、歯を立ててしまったことが原因でそこからバイ菌が入ってしまうことも考えられます。
いずれにせよ、皮膚病である場合は投薬治療が有効的な手段となります。
皮膚の病気は種類がとても多いため、素人が見分けるのは難しいと言われます。
専門医を受診しましょう。
原因によっては、こまめな掃除や、猫の使うもの、ベッドを日光で消毒することで住環境を整えたり、石鹸を使わずにお風呂に入れてあげたりすることが、症状のより良い改善につながるかも知れません。
体の中からのサインである場合
同じ箇所を舐めることが体の内の病気のサインである場合もあります。
例えば、お腹に寄生虫がおり、その毒素によって症状が出ている・グルーミングで取った毛でできた毛玉がお腹に溜まってしまっている・免疫系の病気になっている、などが考えられます。
また、人間と同じく、猫にもアレルギーをもっている子がいたり、ある日なんらかの理由で発症することもあります。
食べ物を変えてみたら症状が改善された場合には、アレルギーかも知れません。
いずれにせよ、原因がわからない場合には一度専門医の受診をオススメします。
癖になっている
原因が特定できず、病気でもストレスでもなさそうであり、しかも長く続いている場合には、お腹のグルーミングを念入りに行うことが癖になっている、というケースもあります。
しかしながら、これまでにも述べたように同じ箇所を繰り返し舐めることで傷ができ、病気を引き起こしてしまう可能性や悪化させてしまう可能性があります。
かといって、強い口調で止めさせたり強引に止めたりすることは、心配だからであり、猫を大切に思うからこそですが、そのことがまたストレスになり、飼い主さんとの関係にも影響し悪循環になるとも考えられます。
猫の気持ちを受け止めたり言葉にしながら、関わっていきましょう。
このような場合には、猫に服を着せることも一つの手段です。
傷がひどくなると、エリザベスカラーを付けるケースがありますが、これも猫の動きを制限するので、猫にとってはストレスなものです。
エリザベスカラーの代用になり、傷を守り、舐めるのを防ぐ手段になります。
ただし、服を着ることを嫌がる子には、かえってストレスなので、気を付けましょう。
また、本来は行うべきグルーミングを行えないこともストレスなので、服のサイズや安全性、着せる時間の長さには注意が必要です。
普段の行動から理由を見極めよう
言葉や表情に表さない分、動きや行動で表すのが、猫です。
大切な家族である猫には健康でいてほしいですよね。
ちょっとした行動の変化に気づくことが、猫の健康を守るポイントになるかも知れません。