愛猫が自分の鼻を飼い主にくっつけてくる仕草。
猫を飼っている方ならよく見たことがあるでしょう。
親愛の情とも軽い挨拶とも取れるようなこの可愛い仕草には、いったいどんな意味があるのでしょうか?
今回は猫が鼻チョンをする理由についてご紹介します。
猫が飼い主にかまってほしい気持ちの表明
猫と飼い主との間に深い信頼関係がある場合、猫は飼い主に対して何くれと要求をしてきます。
エサが欲しい、遊んでほしい、甘えたいので体をなでてくれ、しばらく家を留守にしていた飼い主に対して「おかえりなさい。さみしかったよう」と嬉しい気持ちを伝えたいときなど、様々なケースがあります。
それらは全て飼い主に「かまってほしい」と言っているのです。
そんな気持ちを表明するために、自分の鼻を“チョン”と飼い主の体に触れさせてくるのだということが考えられます。
愛猫の要望をきちんと汲み取ってやり、それに的確な対応をしてあげましょう。
そうすることで、愛猫との信頼関係がより深くなり、またその関係を維持していけることにもつながります。
しかしここで気を付けないといけないのは、愛猫の要望を間違って汲み取ったり無視したりしてはいけないということです。
例えば、体をなでてほしいといっているのにエサをあげたり、エサがほしいといっているときにスキンシップを取ってあげてしまったりなどです。
また、かまってほしいときに無視してはいけません。
愛猫の寂しさが募り、ストレスを溜めることになります。
エサの催促に応じられないときは、「ダメ」なことを伝える反応をしてあげましょう。
そうすることで愛猫の“鼻チョン”に対して、きちんと応じてあげたことになります。
猫が相手が何者であるかの情報を手に入れるため
では飼い主と猫がそれほど親しい間柄ではない場合に、“鼻チョン”してくるときはどんな意味があるのでしょうか?
猫は元来、警戒心の強い生き物です。
野良猫と外で出くわしたとき、人間が座り込んで「おいでおいで」と手を差し出しても、容易には近づいて来ません。
最も警戒心の強い猫だったら、手を差し出した時点で一目散に逃げていくでしょう。
そこまで警戒心は強くない野良猫でしたら、相手のことを察しようと思って差し出した手先に“鼻チョン”をしてくることがあります。
これは「いま目の前に座っている人間が何者なのか知りたい」という気持ちの現われであり、鼻から情報を収集しているということです。
そしてどこかで嗅いだことのある匂いがした場合、ふと安心感を覚えてそのまま近付いてくることもあります。
しかし、そこで「この人誰だか分からない」となった場合、怖いので避けようとするか攻撃を繰り出そうとしてくるでしょう。
それと同じで、あまり親愛の情を抱いていない飼い主に対しては、「この人誰だ?危険ではないか?不愉快だったら相手したくない」という判断を下そうとします。
このために“鼻チョン”をしてきているということが考えられます。
ですから、“鼻チョン”されたときは「探られている」と考え、少しずつ自分の匂いを覚えてもらっていくとよいです。
優しくしてあげていれば段々と懐いていきます。
猫同士での鼻チョンは挨拶(あいさつ)
一方、猫同士で“鼻チョン”をする場合、これは「あいさつ」を意味します。
仲間であることを確認し、敵ではなく仲良くやっていこうという意味があります。
猫の鼻は凄まじい能力があり、人間の嗅覚のおよそ一万倍から十万倍もの働きができます。
これは臭いがより強く感じられるということではなく、臭いを発生させている物質の濃度を人間よりも感じる能力に長けているということです。
つまり、臭いの原因となる物質がわずかにしか残っていない状態だったとしても、猫はそれを嗅ぎ分け感じ取ることができます。
そんな性能のいい鼻を相手にチョンとさせれば、相手の口周りに付着している臭い物質から何を食べたのかとか、健康状態はどうか、どの辺をウロウロしているのかなど、様々な事柄を知ることができます。
そうやって知った情報で相手の体調を心配したり、相手がいつもどの辺にいるかを把握したりすることが、この「あいさつ」を通してできます。
端からを見るとキスをしているようにも見えますが、“鼻チョン”は対等な関係の猫同士にとっては欠かせない行為です。
猫が鼻チョンしてくる心理を知ろう
このように、猫の“鼻チョン”には様々な意味があり、それは猫にとって重要な感情表現でもあり、大事な情報を集める行為でもあることが分かります。
ただ、ここで注意しなければならないのは、猫の湿った鼻が飼い主の口周りに触れないようにする必要があるということです。
もしもその湿った粘液が体内に入り込んでしまった場合、病気にかかる危険が高くなります。
猫の鼻先には細菌がたくさん付いていて(猫には無害)、人体には有害となりますので、そこだけは気を付けて愛猫からの“鼻チョン”を受けるようにしましょう。