大きな口を開けてとても気持ち良さそうにしている猫のあくび。

私たちからするとただあくびをしているだけですが、本当は様々な感情が隠されているのです。

ではあくびに隠された猫の気持ちをご紹介します。

眠い

まずは王道の気持ちです。

猫も眠い時はあくびが出ます。

例えば、窓辺に姿勢良く座っている猫。

外の様子でも眺めているのかと思いきや、目をつむってゆらゆらと揺れていたり、まるで人間がするように頭をかくんかくんとしていたりします。

一瞬ぱっと目を覚ましてはあくびをし、そのままの姿勢でまたいつの間にか目を閉じています。

見ているととても愛らしい姿ですね。

猫も「眠くなるとあくびが出る」という生理現象には勝てないようです。

放っておいて

布団の上や日向などで、すやすやと気持ちよさそうに眠っている愛猫。

見ていると癒されて、ついつい触りたくなってしまうと思います。

起こさないようにそっと額をなでてみたり、お腹をなでたり。

でも猫はとても敏感な動物なので、少し触っただけでも起きてしまいます。

そんな時に見せるあくび。

起きて移動してしまうわけではないけれど、実は「今は一人でそっと寝かしておいて」という心理の表れです。

私たちも、気持ちよく眠っているときに触られたり起こされたりすると、あまり良い気持ちはしませんよね。

猫も同じで、眠っているときはゆっくり静かに眠っていたいのです。

触りたい気持ちはわかりますが、そこはぐっとこらえて静かに眠らせてあげることが大切です。

活動開始の酸素補給

しばらく眠っていたり、伏せていた猫が起き上がり、伸びをした後で大きなあくびをすることがよくあります。

これは、休んでリラックスしていた体に新しい酸素をたくさん補給して、「今から動くよ」と準備運動をしているのです。

眠っている時の猫の体はとても柔らかくふにゃふにゃとしていて、全身の筋肉がしっかりリラックスしています。

けれど、起きたそのままではあの俊敏な動きはできません。

その為、ぐっと伸びをして筋肉を刺激して力を入れ、大きな欠伸をして新しい酸素を十分に体中に運びます。

そうすることで体がきちんと目覚め、あの猫らしい軽やかで素早い動きを取り戻すのです。

運動する前の準備運動、とっても大切な行動ですね。

実はそわそわしている

私たち人間の間でも、怒られているのについつい笑ってしまったり、緊張しているはずなのに変にあくびが出てしまったりすることがありますよね。

それは反転行動と言い、脳が受けているストレスを無意識に発散させようとする、防衛本能という体の基本的な仕組みからくるものです。

そしてそれは人間だけに限ったことではなく、猫などの動物にも備わっているものです。

失敗やいたずらをしてしまって飼い主に怒られている時や、触られたくないときに触られたりするとあくびをしてしまうことがあるのです。

撫でているときにあくびをすると、つい気持ちが良いのかと思ってしまいますが、逆にストレスを感じてしまっていることもあります。

感情を言葉にして説明できない分、無意識の行動になって表れているのです。

不満がある

足元にすり寄って来て鳴いてみたり、立ち上がって寄りかかってくる仕草は、「自分は今してもらいたいことがある」という合図です。

そのような仕草はとても可愛らしく、やはり多くの方が抱っこしてあげたくなってしまうと思います。

抱っこをしてなでてあげると嬉しそうにしていますよね。

けれど早々に降りてしまって、その後であくびをすることがあるのです。

それは、「自分の気持ちがわかっていないな」という不満の印。

本当はおやつが欲しかったり、水を飲みたかったり、猫の気持ちも様々です。

なかなか正確に気付いてあげることは難しいですが、愛猫の普段の行動パターンを把握したり、様子をよく見てあげることで気持ちを察してあげることができます。

具合が悪い

一番心配なパターンがこちらです。

私たちも具合が良くないと生あくびがでたり、風邪をひいていて体が辛いと眠くなったりすると思います。

猫も同様に、体の不調からあくびをすることがあるのです。

あくびが出るのは脳が酸素を欲しているからです。

何かしらの事情で呼吸が浅くなり、脳に十分な酸素が行き渡っていないのかもしれません。

突然の病気など、獣医でなければはっきりわからない原因によることも十分に考えられます。

また、あくびをしているときの猫の口の中を観察するだけでも不調を見つけてあげることができます。

舌の色や歯の色、歯茎が腫れたりただれたりしていないか、異常な口臭を発していないかなど、ときどきよく観察してあげましょう。

そして、不安な時は早めにかかりつけの病院に連れていきましょう。

猫のあくびの心理を知ろう

あくびひとつとってみても、そこには実に様々な理由があるのです。

けれど、どれも私たち人間とあまり変わりません。

相手が猫であっても、されて嫌なことはしない、思いやりをもって接するなど、人間同士と同様に考えてあげることで良好なコミュニケーションをとることができます。

そして、言葉にして気持ちを伝えることができない分私たちが歩み寄り、気持ちを感じてあげることが大切です。

これからはぜひ、あくびをした瞬間を観察してみましょう。