耳は猫の感情を敏感に表している器官です。

一口に耳が平らな時の心理と言っても、プラスの感情からマイナスの感情まで実に色々あるのです。

なので、耳一つをとってこうだと判断することはできません。

耳の平らな状態とともに、目やヒゲの状態、体の状態など他の要素と照らし合わせて、総合的に今こういう心理かなと判断できるのです。

では猫が耳を平らにしている時はどんな心理状態なのか、いくつか見てみましょう。

恐怖を感じている

耳を完全に平らにしてしまい、少し後ろ向きに折り畳んでいます。

目は見開き、瞳孔も大きく開いていますが、どこを見ているかわからない焦点が定まっていない状態です。

体の筋肉もきゅっと強張っています。

これは恐怖を感じている時。

「怖い、どうしよう、逃げたい」という気持ちの表れで、その状態が長く続くと本当に可哀想です。

どうにか恐怖を取り除いてあげたいものですね。

例えば野良猫を保護した時、また、他所の家からもらわれてきたばかりの時など、よくゲージの隅っこでそんな状態になっています。

そんな時は無理矢理触ろうとしたりしないようにしましょう。

ゲージごと毛布で覆って暗くしてあげたり、段ボールに隠れられるようにしてあげたりしましょう。

あまり大きな音を立てないようにも気をつけます。

動物病院でそういう状態になってしまっている猫もいますね。

そんな時はどうしようもなく苦笑するしかないのですが、温かく声をかけ続けてあげましょう。

そして、なるべく他の動物が見えないようにしてあげたり、待合室ではなく車で待ってあげたりしましょう。

リラックスしている

先ほどとは逆に、リラックスしている時も平らになります。

でも平らの角度はやや緩やかで、おそらく目は閉じていることが多いと思います。

体の筋肉は柔らかく、ほぐれています。

ノドがゴロゴロ言っていると一番わかりやすいですね。

「気持ちいい・嬉しい」の気持ちの表れです。

ナデナデしてあげたり、優しく名前を呼んであげたりしましょう。

しかし耳が立ち始めたり、しっぽがパタンパタン動き始めたら、そろそろ放っておいて欲しいという合図ですので、ご注意を。

気合い入れ

耳は恐怖を感じている時とやや近い平らさですが、ヒゲがピンっと立っています。

目は相手をしっかり睨んでいます。

少し前のめりになっているかもしれません。

これは、「やってやるぞ」という好戦的な時に見せる仕草です。

遊んでいてこうなると、ちょっと見境がなくなってきた合図です。

子どもの頃は大丈夫かもしれませんが、体が大きくなってくると爪も鋭くなってきますので、流血沙汰にならないように気をつけてくださいね。

気にしている

リラックスと一緒で、緩やかな平らな状態です。

立てたり、平らにしたりピクピクっと動いているかもしれません。

表情は穏やかで、やはり目は閉じていることが多いです。

「なぁに?聞こえてるよ?」という時にこの姿を見せます。

人間よりちょっと離れたところにいて、自分の名前が聞こえた時などに出る反応です。

ちゃんと自分のことを飼い主が気にしているか、知らぬ顔をしながらも気になっているんですね。

名前を呼んだ時に、鳴いて返事をする代わりにこうやって耳で返事をしている時があります。

耳がかゆい、気になる

ノミなどの何か異物が耳に入ってしまった時や、耳ダニでかゆい時などは平らに伏せています。

後ろ足で耳を掻いたり、首を振ったりすることもあります。

「かゆい、かゆい、なんか嫌な感じ」という時に見せる仕草です。

そのままにしておくのはあまり良くありません。

耳ダニが原因ならば、すぐに獣医さんに行きましょう。

液状の薬で数日で完治します。

また、薬を入れた後も、濡れて違和感があるので伏せたままになります。

複数頭猫を飼っている場合、耳ダニはあっという間に感染しますので素早い処置が必要です。

耳掃除をした後も、気になって耳を平らにしていることもあります。

ちょっと怒っているのかもしれません。

これは仕方がないので、おやつで気を逸らしてあげるか、優しく撫でてあげましょう。

体の調子が悪い

耳を伏せて平らにして、寝る時も両手足を伸ばさない体制(スフィンクスのような状態)でいる。

少しぼーとしている感じがする。

これは「しんどい、痛い」という時に見せる仕草です。

猫は我慢強い生き物です。

ちょっとのしんどさでは大抵普通に行動しています。

そこまで見かけに表れている時はだいぶ深刻になっているので、すぐに獣医さんに見てもらいましょう。

耳の動きで猫とコミュニケーション

可愛い子どものような存在の猫。

意思の疎通をしたいですよね。

ですが、まだ猫を飼い始めて間もないという方は、よくわからないなぁと思うことも多いと思います。

それでも、耳の状態からわかることはあるので、うまく感情を汲み取ってあげて、猫と意思疎通を図ってみましょう。