猫が鼻血を出す時、それは何かの病気のサインかもしれません。

鼻自体に問題がある場合や、全く別の部分に問題がある場合もあります。

いったいどういった原因で鼻血は引き起こされるのでしょうか。

鼻腔内の損傷

鼻腔内が何らかの原因で損傷を受け出血する場合が挙げられます。

特に、家の中だけでなく外にも出る猫の場合は、他の猫とのケンカによる外傷や高い所からの転落、交通事故などの可能性もあります。

鼻血以外に他の部分に傷がないかどうかも気をつけて見てあげましょう。

猫の体は多くの被毛で覆われていますので、傷に気づきにくい場合があります。

中には数日経って腫れてきたり、化膿してきたりすることもあります。

また高い所からの転落や交通事故の場合、頭や内臓もダメージをうけている可能性があり、急変する場合もあります。

そういったことが考えられる場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

歯周病

3歳を過ぎると約80%の猫が歯周病になっていると言われています。

また沈着した歯垢・歯石を放っておくと症状は進行し、重篤化すると歯根部の感染が鼻腔や眼窩まで及ぶ場合があります。

そうすると、鼻から血混じりの鼻汁が出たり、鼻や眼窩から膿がでたりすることがあります。

また重篤化した歯周病では、口腔内の痛みにより食エサがとれなくなり、水を飲むことも難しくなってきます。

高齢の猫の場合、代謝や免疫力も低下しているため更に症状が進みやすくなります。

治療としては、歯垢・歯石の除去に加え、口腔外科の手術が必要になる場合があります。

そのため、重篤化する前に、毎日の歯磨きなどの口腔内のケアが大切になってきます。

また、歯周病のサインとしては口臭が強い、食エサが食べにくそう、口を気にする、毛づくろいをしなくなった、よだれに血が混じる、などが挙げられます。

普段の生活で変化がないか、気をつけて見てあげましょう。

猫風邪

猫ウィルス性鼻気管炎は、猫風邪とも言われており猫ヘルペスウィルス1型の感染により引き起こされる感染症です。

症状は、発熱、元気消失、食欲不振、目やに、結膜炎から始まり、くしゃみ、咳、鼻汁などが挙げられます。

特に膿性の鼻汁を排出することが多く、炎症が強いと血液混じりのものが見られる場合もあります。

また子猫が感染した場合、症状が悪化しやすく結膜炎から結膜の癒着が起こり、視力を失うこともあります。

原因ウィルスである猫ヘルペスウィルス1型は一度感染すると完全に排除されることは少なく、何らかの原因で体調が悪く免疫力が低下してくると症状が再燃してきます。

これは人がヘルペスウィルスに感染すると、疲れなどから免疫力が低下した時に、口の周りなどに繰り返し症状が出てくるのと同様といえます。

そのため、感染する前の予防が大変重要になってきます。

感染前であれば、ワクチン接種を済ませておくことで感染を防御できます。

また感染後でもワクチン接種をすることで、ウィルスの完全排除は難しいものの、抗体価を上昇させ悪化を防ぐことが期待できます。

症状が悪化すると、肺炎や膿胸になり、命に関わる場合もあります。

クリプトコックス症

クリプトコックス菌による真菌感染症で、鳩の糞などから原因菌を吸入することで感染し、多くは免疫不全状態、特に猫エイズ末期に感染することが多いと言われています。

猫エイズとは、猫免疫不全ウィルスによる感染症で猫に免疫不全を起こす病気で、感染猫とのケンカの際の咬傷による感染が主と言われ、ワクチン接種が有効とされています。

クリプトコッカス症の症状は、くしゃみや鼻の周囲の腫脹が特徴的で、鼻の腫脹により顔貌も変化してきます。

炎症も強く血が混じったくしゃみや鼻汁、神経症状がみられる場合もあります。

治療は抗真菌剤の投与、また感染源である鳩の糞を回避するなど、感染の機会を絶つことが予防に繋がります。

更に、クリプトコックス症は人にも感染し得る人獣共通感染症です。

人も正常の免疫状態であれば感染する可能性は低いとされていますが、感染すると呼吸器症状や神経症状が見られるため、注意が必要です。

鼻腔内腫瘍

猫の鼻腔内腫瘍の代表的なものにはリンパ腫、扁平上皮癌、腺癌などが挙げられます。

鼻腔内腫瘍では片側性の鼻出血、鼻分泌物、顔面の腫脹、流涙が多く見られます。

特に片側性の鼻分泌物、鼻出血が見られた際には注意が必要です。

鼻腔内腫瘍が疑われる場合には、CT/MRI検査が第一選択の画像診断法とされており、確定診断には生検が必要になります。

また根治的な治療は難しく、治療の目的は局所病変のコントロールが主になります。

ワルファリン中毒

ワルファリンはネズミを駆除するための殺鼠剤として使われており、凝固異常を引き起こします。

猫が誤って殺鼠剤を誤食することで口腔内出血、鼻出血などの異常出血や呼吸困難、虚脱、元気消失など様々な程度の症状を示します。

また症状は殺鼠剤の摂取直後ではなく、2~3日後に発症するため、注意が必要です。

摂取直後であれば催吐や胃洗浄の処置を行いますが、重篤な場合は輸血が必要になることもあります。

猫の鼻血の原因を知ろう

猫の鼻血には様々な原因があり、日々のケア、飼育環境の整備やワクチン接種によって防げるものもあります。

そういった原因を知ることで、猫の病気の予防につなげていきましょう。

また、日々の体調の変化にも気をつけることで、病気の早期発見にもなります。