通常はあまり気にかけることもないと思いますが、猫にも唾液が存在しています。

普段より猫の唾液が多い時や、よだれを垂らしている時にはどういう状態が考えられるのでしょうか。

その原因と、症状についてご紹介します。

猫のよだれは異常のサイン

猫がよだれを垂らしていたりする時というのは、基本的に何かしらの異常のサインだと思ってください。

犬と違って、普段のけんこうな猫は唾液が多かったり、よだれを垂らしたりするようなことはしませんよね?

もちろん美味しいエサを目の前にすれば唾液の分泌は活発になります。

しかし、そういうタイミング以外でのよだれはとても気になる症状です。

よだれを垂らすようになる原因は、いろいろと多岐にわたります。

それぞれの原因や症状、予防策について知っておくようにしましょう。

異物が入ってしまってよだれが出る

口の中や歯茎に、骨や何か鋭いものが刺さってしまったりするとよだれを垂らすようなことがあります。

痛がったり、口を閉じることができないので、普段よりよだれが多くなります。

また、口を開けたり閉じたりするのが辛いので、急に食欲が落ちたようになります。

しきりに口の中が気になり、前足で掻くような仕草も見られるでしょう。

ひとまず、普段から大人しい子なら、あーんと口の中を見させてもらいましょう。

その周辺を触ると痛いので、口を開けたり触られるのを嫌がる子もいます。

普段から大人しくできない猫には噛まれたりする可能性があるので注意しましょう。

もし口の中に異物があるようであれば、やさしく取り除いてあげてください。

中毒症状のひとつ

異物が刺さってしまうこと以外にも、何かしらの誤飲により、中毒症状を起こすことがあります。

この場合は吐き出そうとしたり、免疫機能の正常な働きによって、唾液の量が増える。

ただし、これだけでは本当に中毒かどうかということはわかりません。

もし、明らかに誤飲をしている場合は、すぐに取り除くようにします。

誤飲の時には水などを飲ませることもありますが、タバコの誤飲には逆効果なので注意が必要です。

中毒症状の場合には、体の麻痺や意識障害、てんかんなどの症状が出ることも多いです。

よだれ以外にもこうした症状があれば、すぐに病院へ連れて行きましょう。

歯周病によるもの

猫の口腔内のトラブルで多いのは口内炎と、歯肉炎です。

どちらも唾液の分泌が増えてくるので、よだれが出るようになります。

また、症状として口臭のにおいがきつくなるという傾向もあります。

口内炎は、口の中が赤く腫れ上がり、極端に食欲が落ちてしまうので、そのうちに衰弱してしまいます。

慢性的な口腔内の衛生状態が悪い時や、ケンカで口の中が傷ついた時に起きたりします。

また、他の病気の予兆や合併症として起こることもあるので注意しましょう。

歯磨きをせず歯垢を放置すると歯石となってしまい、そこに繁殖する細菌が歯茎の炎症を起こしたりします。

これが歯肉炎で、歯がグラグラとしたり、歯茎から出血したりすることがあります。

そのままにしておくと、歯が抜けてしまったり、深刻な症状に悪化することもある危険な病気です。

熱中症にかかっている

人間も猫も、口を閉じることができなくなると、必然的に口の中が乾くようになります。

その結果、たくさんの唾液が分泌され、よだれが出てきます。

このようなシチュエーションが予想される時、もっともポピュラーなのが熱中症です。

猫も犬と同じように、呼気によって熱くなった体を冷やそうとする性質があります。

熱中症になっている時には、よだれ以外にもいくつか典型的な症状があります。

長い時間にわたってはあはあと息を荒くしていたり、歩く時にふらつきが見られるようになります。

とりあえずの応急処置として涼しい場所に避難させてあげ、体を冷やすことがもっとも大切です。

しかし、しばらくして改善が見られない時には、よほど深刻になっている可能性があります。

病院へ連れて行き、処置や検査などしてもらいましょう。

猫風邪をひいている

猫風邪とはよく聞かれる病気ですが、これによってよだれが多くなることもあります。

というのも、猫風邪とは複数のウイルスによる感染をまとめた名称として使われています。

その中のカリシウイルスによる感染というのは、口腔内の腫瘍や口臭、よだれの増加が顕著に現れます。

猫風邪の予防には、定期的なワクチン接種がもっとも大切です。

きちんと毎年接種していれば、ほとんどの場合は防ぐことができる病気です。

万が一かかってしまった時には、すぐに病院へ行きましょう。

人間の風邪と異なり、猫風邪は自然と治癒するものではないので甘く見ないようにしてください。

上皮がんにかかっている

年を取って恒例になった猫に見られる病気のひとつに、扁平上皮がんというものがあります。

症状として、口の中の下や歯茎に腫瘍が出来てしまうことがあり、口の中で出血を伴うことが多くあります。

ですので、普通のよだれと違い、よだれに粘り気があり、血が混じってくることが多くあります。

がんによる腫瘍は、人間と同じように外科的な処置になることが多いです。

抗がん剤や放射線治療は、猫の場合にはあくまで補助的な治療ですので、とにかく早く見つけて切除することが大切になります。

治療方法については獣医さんとしっかり相談して、方針を決めて行くようにしましょう。

最近では猫の寿命もだいぶ延びてきて、高齢の猫というのもだいぶ増えてきました。

こうした長寿化が進むことで、猫のがんも珍しいことではなくなっています。

猫のよだれが多い時に考えられる原因を知ろう

やはり、猫のよだれというのは、何かしらの病気などの可能性が高いようです。

普段、キレイ好きな猫がよだれを出すというのは、「あれ?」とちょっとおかしく思いますよね。

いろいろな原因があるので、まずはしっかりと猫を観察することが必要です。

しかし、いずれの原因にしても、そのままにして良くなることはありません。

ずっと続いているような場合には、早めに動物病院に連れて行くようにしましょう。