猫の所属する地域社会において、絶対的な権力を有するボス猫ですが、その生態にはどのような特徴があるのでしょうか。

ボス猫らしさを観察して、他の猫たちの生活と比べてみることで、何か面白い事実が見えてくるかもしれません。

ボス猫は縄張りでは絶対の力を持つ

猫はそれぞれが自分の縄張りを持ち、その場所を他の猫によって汚されることを嫌います。

ときにはケンカをしてでも縄張りを死守し、自分の力を認めさせる必要もあるでしょう。

特にボス猫は自分のテリトリーにうるさく、侵入してくる雄猫は力づくで追い出します。

逆にいえば楽々相手を追い出せるほどの力がないと、ボス猫として周囲を抑えつけることができないのでしょう。

縄張りにいる雌猫を自分だけのものにできる強さこそが、ボス猫の持つ一番の特徴といえます。

周りの猫たちはボス猫の強さに圧倒されれば、自然と縄張りを侵さなくなるでしょう。

やがてその地域にはルールできて、むやみやたらと暴れたり、弱いものいじめをする猫がいなくなります。

ボス猫を怒らせることが、自分の身を危険にさらすことだと理解します。

広い縄張りは強さの象徴であり、ボス猫が生み出す社会的な特徴となります。

ボス猫は道の真ん中を堂々と歩く

ボス猫は例え歩道であろうと堂々と真ん中を歩き、周囲の猫たちに威厳を見せつけるような行動をとることがあります。

自分の存在をアピールし、他の猫たちの行動を抑制するのでしょう。

猫は塀の上など狭い道を歩きます。

そこで他の猫と相対したとき、どちらかが道を譲らなくてはなりません。

ボス猫はもちろん、相手に道を譲るわけがないので、睨みを利かせて相手をどかします。

常に胸を張って相手を威嚇することが、ボス猫として君臨するための秘訣なのかもしれません。

よその地域から来た猫などは、相手をボス猫と知らずに攻撃的な態度をとることがあります。

ボス猫は威厳を保つために、相手の目を見て睨みあいを始めます。

ケンカ慣れしてるボス猫は、だいたいこの睨みだけで相手を打ち負かしてしまいます。

敗北を認めた猫は目をそらしたり、その場にうずくまるような姿勢をとります。

ボス猫はそういう戦いを繰り返して、ボスという地位を築いてきたのでしょう。

ボス猫はトイレの後始末をわざとしない

猫はトイレが終わると、自分の排泄物に砂をかけて隠します。

これは外敵に自分の存在を知られないように、においの跡を消す野生の知恵だと言われていて、自宅で飼っている猫でもその姿を見ることができるでしょう。

しかしボス猫は、あえて自分のトイレの後始末をせず、そのままにしておくことがあります。

普通の猫と違って、ボス猫は獲物に逃げられたり、相手に襲われるといった心配がいらないからかもしれません。

においをそのままにしておくことは自己のテリトリーであることを強く主張し、周囲の猫への威嚇に最適です。

社会的に地位の低い猫ほど、ボス猫に配慮してトイレをキレイに始末します。

トイレの様子一つで、猫の持つ地位がはっきりと見えてくることもあります。

マーキングなども強い猫が積極的に行い、弱い猫を追い立てます。

ボス猫はそんな競争の激しい猫の世界でも、頂点に立てるほどの器と実力が必要だとわかりますね。

ボス猫に体格は関係ない?

一般的なボス猫のイメージといえば、大きく太った体に、いかつい顔面といった、強さを前面に押し出した見た目ですが、実際はそういう猫ばかりではないと言われています。

猫のケンカは体の大きさだけで決まるわけではなく、むしろその巨体が弱点ともなりえるのです。

小柄でも素早く、動体視力に優れた猫がボスとなることはありますし、度胸や勇敢な心を持つことで、ボス猫として周囲を認めさせることもあるでしょう。

相手に強いと抱かせる見た目はもちろん大事ですが、それだけでボスになれるほど猫の世界は甘くないのかもしれません。

その地域に長く住み、その街の地理や周囲の猫の状況に精通していることも、猫にとっては強みになります。

力だけで戦う若い猫は、賢く立ち回る猫相手には苦戦するでしょう。

ボス猫になれるのは、才能を持ってそれを上手に活かすことができる猫に限られるのかもしれません。

ボス猫以外はみんな平等

猫の世界には優劣が存在し、その最頂点に立つのがボス猫です。

優位な猫は高い位置に陣取って相手を見下ろし、自分が優位であることを見せつけます。

ボス猫は自分以外の全ての猫に同じ行動をとる権利があり、猫たちもボス猫の強さを認めてそれに従います。

しかしボス猫以外の猫たちには、そういう明確な優劣がありません。

そのときの状況や心理によって、ころころと相手との力関係が変わるのです。

ボス猫の下で平等な他の猫たちは、自分のテリトリー内であっても無駄な争いを避け、お互いに無視をするように努めます。

しかしときにはケンカとなり、その場での優劣をはっきりとつけることもあるでしょう。

また猫たちは子猫を相手にすると、決まって大人の方から顔を背けて争いを回避します。

子猫はケンカすることができないので、大人の方から一歩引いてあげるのです。

これはボス猫にも当てはまり、子猫を目の前にしたらやっぱり顔を背けます。

ボス猫の存在が、地域の猫たちを守る

ボス猫はその力を使い、我が物顔で街を歩いているだけではありません。

地域に秩序を与え、大勢の猫たちの頂点で日々バランスを取りながら暮らしています。

ただ強いだけではなく、一種の魅力が必要です。

強さを上手に扱い、周囲を威嚇し続ける度胸と胆力のある猫が、ボスとして大きくなり、やがてボス猫らしい特徴を身につけていくのでしょう。