バリニーズは、突然変異として時々生まれていた長毛のシャム猫を、品種として固定した猫です。
シャムのスレンダーなスタイルはそのままで、ロングヘアによってより優雅な姿となりました。
しかし、その優雅な姿からは想像がつかないかもしれませんが、実はとても人間が大好きで、甘えん坊の遊び好きの猫です。
バリニーズの身体的な特徴
バリニーズは、長毛である点を除けば、シャムと同じような身体的特徴を持っています。
スラリとした体型・細くて長い脚・末端が黒くなる「ポインテッド」と呼ばれる毛色・ブルーの瞳は、まさしくシャムそのままです。
毛色も、シャムと同様の基本の4色(シール・ブルー・チョコレート・ライラック)のポインテッドカラーがアメリカの公認団体(CFA)によって公認とされています。
これら以外の色のバリニーズも熱心なブリーダー達によって作り出されましたが、アメリカのキャットショーでは公認されませんでした。
そこで、シャムの基本の毛色以外の数色が認められた「ジャワ(ジャワニーズ)」という、更に新たな品種として公認されることになりました。
しかしヨーロッパの団体などでは、「ジャワはバリニーズの変種」とされていることが多いのです。
バリニーズ特有のロングヘアは、ペルシャやメインクーンなどのような厚くてフサフサの長毛種というよりは、身体に密着して生えていて、長さは5センチ程度で「セミロング」と言ったところです。
しかし、尾の毛は長く、飾り毛が伸びてフサフサと広がっている猫もいます。
そして、全体的にふわふわとして、触り心地の良い手触りの毛皮を持っています。
体重は3~5キロ程度と、猫の中では中型です。
脚や身体は細くて筋肉質で、顔は尖ったくさび型をしています。
耳は顔に対して大きくて、目は深いブルーのみが認められています。
細い身体を維持するために、エサの与えすぎには注意が必要です。
遺伝性の疾患にかかりやすい種でもあるので、肥満によりそれらを誘発してしまうリスクが上がる場合があります。
バリニーズの性格
バリニーズは長毛のシャムというだけあって、性格もシャムと似ています。
甘えん坊で人懐こく、わがままでおしゃべりで、よく鳴きます。
ただ、やはり長毛種の特徴も持ち合わせており、シャムよりは鳴き声も小さく、優雅なロングヘアから受けるイメージもあって優しく穏やかと、人気が高まっています。
運動神経も良く、遊びが大好きなので、特に若いうちは充分に構ってあげると喜びます。
ただ、人間が大好きな分とても甘えん坊で、長く留守番をさせるとストレスから病気になってしまうような精神的に弱い子もいるので、留守がちな飼い主は配慮が必要でしょう。
運動好きなので、家の中で登って遊べるキャットタワーなどを用意してあげると喜びます。
バリニーズの歴史
バリニーズとは、バリ島のダンサーから名付けられた品種名です。
しかし、この種の原産地はバリ島ではありません。
バリニーズの変種とされている「ジャワ」も、ジャワ島の出身ではありません。
この長毛のシャム猫は、アメリカで生まれました。
シャムの繁殖の過程で長毛のシャムが生まれることは、実は昔から時々ありました。
しかし、「シャム猫は短毛」ということで、長毛のシャムは「シャムの出来損ない」とされ、そもそも認められませんでした。
この美しい姿と優雅な長毛はアメリカのブリーダーの目にとまり、1940年代になってから「ロングヘア・シャム」という品種として定着させようという動きが始まりましたが、この名前では公認を拒否されてしまいます。
そこで、1970年に、優雅なこの猫の姿からバリ島の踊り子にちなんだ品種名「バリニーズ」として、新たにアメリカのCFAに公認されることとなりました。
バリニーズの寿命
バリニーズの寿命は、平均で10~13年程度と言われています。
一般に、現代では猫の平均寿命が13~15年と言われているので、それよりも若干短めと言えるでしょう。
長毛のシャムであるこの猫は、シャムと同じように、加齢に伴って遺伝性の病気にかかりやすくなります。
例えば、眼病、皮膚病、泌尿器疾患、循環器疾患、神経疾患、腫瘍などです。
動物の医療の発達した日本では、15歳以上まで生きる子も少なくはありません。
この種に限ったことではありませんが、大切な愛猫と少しでも長く一緒に暮らせるためには、日頃のスキンシップやグルーミング等を通して、身体に異変がないかどうかを確かめたり、定期的に健康診断を受けさせるなど、病気の早期発見を心がけることが大切です。
美しい佇まいと飼いやすさが魅力のバリニーズの特徴を知ろう
以前、「シャム猫は鳴き声がうるさい」と、敬遠されていた時代がありました。
しかし現代では、そのシャム猫も品種改良が進み、以前よりもおとなしくなったと言われています。
シャムの美しい姿は魅力的だけれど、鳴き声は少し静かで穏やかな方がいい、という方は、ぜひこのバリニーズを家族に迎えることを検討してみてはいかがでしょうか?
ただし、日本ではまだ数があまり多くない猫のため、入手は近所のペットショップで…というわけにはいかないでしょう。
国内のブリーダーで見付からない場合は、インターネットを利用して、海外のブリーダーを探してみることをオススメします。