猫が何を考えているかは、体のパーツから読み取ることができます。
特に猫の耳は猫の感情を豊かに表現しています。
猫が耳を後ろに倒すことがありますが、そういう場合に猫は何を考えているのでしょうか?
1.警戒
見慣れないものに出会ったとき、食べなれないものを食べたとき、慣れない臭いを嗅いだときなどに、猫は耳を後ろに倒します。
「お前は誰だ?」「これは何だ?」「この食べ物は何だ?」「この臭いは何だ?」など、猫の頭の中では処理しきれない疑問が渦巻いています。
そして頭の中では「警戒」サインが点灯し始めます。
警戒→逃走、と進めるように、猫は耳を倒して準備しています。
後退したいという気持ちが猫の耳を後ろに倒すのです。
2.恐怖
「警戒」よりもさらに危険性を察知した「恐怖」の場合も、猫は同じように耳を後ろに倒します。
自分よりも優位な敵(と思われるもの)に出会ったとき、自分に危害を加えそうなものに出会ったとき、自分に大きなストレスを与えるものに出会ったときなどです。
例えば見知らぬ人間、自分よりも大きい猫や犬、大きい音を出すもの(例、掃除機、スピーカー)に遭遇した場合です。
この場合猫は恐怖で縮みあがっていて逃走モードに入っているので、後退するために耳が後ろに倒れます。
そして相手から自分を隠すため、自分をできるだけ小さく見せるために耳を倒すのです。
実際逃走するときも、耳を倒したまま逃走します。
3.怒り
猫が「恐怖」を感じているとき、逃走する前に最後の意地で抵抗を試みることがあります。
これは「怒り」の表現として表れます。
相手を嚇そうとして歯をむき出したり、「シャー」と威嚇音を出すことがあります。
しかし耳が後ろに倒れているときは、強がっているだけで心の中は恐怖心でいっぱいです。
「お前は誰だ、あっちへ行け。怖くなんかないぞ。(でも本当は怖い、逃げたい…。)」という矛盾した気持ちを倒れた耳が表しています。
明らかに優位な立場にいる相手に対して怒りを表すときにも、このモードになります。
例えば飼い主にからかわれたり不愉快なことをされて怒ったとき、自分の方が立場が下だとわかっているので、耳を倒したまま歯をむき出したりして抵抗します。
逆に相手の立場が明らかに自分より下で怒りを表すときには(例えば不愉快な小動物に対するとき)耳を立てて自分を大きく見せて威嚇します。
4.降伏
「恐怖」の次の行動は、逃走か、怒りを表して抵抗するか、もう一つの選択は「降伏」です。
相手の方が明らかに優位だとわかると、猫は降伏体制に入ります。
猫が耳を後ろに倒して地面に伏せたり後すざりするときには「参った」という姿勢を表しています。
同時にしっぽをお腹の下に巻き込んでいます。
「抵抗はしないから、どうか攻撃しないでほしい」と、耳を倒して自分を小さく見せて相手に懇願しています。
さらに進むと、仰向けになってお腹を見せるようになりますが、これは飼い主など自分に絶対に危害を与えないとわかっている相手に対してだけです。
5.ストレス
猫にストレスを与えるものがあると、耳を後ろに倒します。
嫌いな人や他の猫、嫌いな音や臭い、嫌いなエサなどに遭遇すると耳を倒します。
「嫌なものから逃れたい」という逃走願望から耳を倒すのでしょう。
特に何があったわけでなくても猫がずっと耳を後ろに倒しっぱなしにしている場合は、慢性的にストレスを感じている可能性があります。
愛情不足、引っ越しなどによる住環境の変化、その他猫にとってストレスになるような要因が生活環境にあるはずです。
心身に不調をきたす前に、良く確かめて猫のストレスの原因になるものを取り除いてあげましょう。
6.甘え
猫は飼い主に甘えるときに耳を後ろに倒すことがあります。
今までに挙げた猫が耳を後ろに倒す理由は、警戒、恐怖、怒り、降伏、ストレスなど、すべてネガティブなものでした。
「甘え」という理由だけ違うような感じがしますが、しかし矛盾はしていません。
飼い主のような自分より優位な立場のものに対して、猫は耳を倒して自分の方が立場が下であることを示します。
そして「立場が下なんだから、いじめないでかわいがってね」というサインを送るのです。
自分をより可愛らしく、しおらしく見せているつもりです。
「飼い主が頭を撫でやすくするために猫が耳を倒すのだ」という意見もありますが、本当に猫がそこまで考えるものかどうかはわかりません。
しかし耳を倒して甘えてくる猫を見ると「もしかすると猫はそんなことを考えているのかもしれない」と思ってしまいます。
耳を後ろに倒す猫の気持ちを知ろう
猫が耳を後ろに倒すときというのは、逃走モードであったり、相手に対して自分を小さく見せようとするときです。
身を隠したいときや、相手に自分の立場が下であることを示して身を守ろうとしたり、愛情を得ようとするときです。
猫の耳は猫の気持ちを実に良く表すパーツです。
猫の気持ちが知りたかったら、猫の耳の動きをよく見て気持ちをくみ取ってあげましょう。