「猫は流体である」という言葉がありますが、大変特徴をついた言葉であります。
ぐでんぐでんにだらりと伸びきった姿を見せることもあれば、自分の体よりも明らかに小さい箱にすっぽり収まっていることもあります。
箱座りもそのうちの一つ。
誰が名付けたのか知りませんが、大変的を射ているネーミングです。
あんなにグニャグニャした肉体が、まるで箱のようにカクカクとなっている様は圧巻です。
そんな箱座りする猫たちは、一体何を考えているのでしょう。
箱座りをする猫の心理についてご紹介します。
箱状態で目を開けている時はのんびりした気持ち
人間で言えば、楽な姿勢であぐらをかいたり、足を投げ出したりして座るといった状況に近いです。
座ってリラックスしてできることを楽しむときのような心理状況です。
動こうと思えば動けるけれども、積極的に立ち上がる気にもなれないし、ならないという気持ち。
とりあえず今はこうしていたい、といった気分です。
ゆったりとした気持ちで、飼い猫なら飼い主さんと同じように遠くからテレビの中で動く文字や人物を眺めているのかもしれません。
外にいる猫でしたら行き交う人や鳥を眺めているのかもしれませんが、とにかく気分は「一旦停止」です。
箱状態で目を閉じている時は眠い
テレビを見ながら、読書をしながら、だんだん何となくねむーくなることはありますよね。
足を投げ出したまま、座椅子やソファの背もたれにもたれかかり、ぼーっとなる。
箱状態で目を閉じたときは、まさにそんなときです。
かろうじて目覚めていた意識が、だんだんと遠のく。
なんだか眠くなってきたなー。
どうしようかなー。
そんなことを考えながら、疲れた目を閉じて休ませつつ周りの音を聞く、そんな状況です。
箱状態で目を閉じている猫をよく観察すると、目は閉じていても、耳は音のする方にゆっくり傾いたりしていることがあります。
人間と同じく、目からの情報を得ることをストップして、耳から入る情報だけを得ている状態です。
箱状態のまま毛繕いを始める時はリラックスしている
箱座りの際に、ときどきそのまま毛繕いを始めることがあります。
猫が毛繕いをするのは、たくさんの説がありますが、毛をなめることにより皮膚の血流を促したり、また、高ぶった気持ちを落ち着かせる効果があると言われています。
人間が肩や足を揉みほぐし、リラックスするのと似ています。
箱状態のまま毛繕いをしたときは、特にやることはないけど体のケアとともにリラックスしたい心境です。
箱状態のまま寝ている
箱状態で目を閉じている時との見分け方は?と思うかもしれませんが、意外に一目瞭然です。
箱状態で寝ている時は、物音がしても、あまりに大きい音以外は耳が動きません。
また、見た目にも若干の変化があります。
それは「箱の形がやや崩れてきている」ということです。
寝ると筋肉が緩み、体から力が抜けます。
それに伴い、かっちり組んだ箱型も緩みます。
上げていた頭も、あごを前にして地面に水平につけている姿勢になっている場合も多いです。
人間で言えば、「寝落ち」の状態に近いでしょう。
ここでは寝るつもりはなかったのに、きちんとベッドで横になるつもりだったのに結果として床やソファで寝てしまった。といった状況です。
猫が寝る時は基本的に、自分のお気に入りスポットで体を横にして寝ます。
ここなら安全で安心と思う場所で、のびのびと体を横たえて寝る方がずっと身の危険も少なく安心して寝られるのです。
あくまで箱状態は、仮の状態であって、リラックスしてはいるものの、決して寝る体勢ではなかったのに寝ちゃった。
そんなうっかりミスです。
猫の箱座りの気持ちを知ろう
人間も動物、猫も動物。
人間ならではの行動や、猫ならではの習性、いろいろありますが、表現の方法こそ違うだけで喜怒哀楽の表現には共通したものがあります。
猫が箱座りをしている時は、喜怒哀楽の「楽」の状態であって、非常にリラックスした状態だと言えます。
「楽」の状態のとき、人はどうするのか、どう感じるのかを考えていくと、猫が箱座りしている時の心理が少しずつ読み解けるのではないでしょうか。