猫の様子を観察していると、一日のほとんどを寝ているか、毛を舐めて過ごしていると言う印象を受けます。
猫はそれくらい普段からよく自分の毛を舐めている動物です。
では、猫が自分ではなく、お互いの毛を舐め合っているときというのは、どんな気持ちなのでしょうか。
なぜ舐め合うのか、その心理や性質についてご紹介します。
毛を舐めあうのは親和行為
猫は本当にこまめにグルーミングをする生き物なのですが、グルーミングには2つのパターンが存在します。
ひとつは自分で自分の毛を舐めてグルーミングするとき。
もうひとつは、他の猫の毛を舐めてグルーミングをするときです。
猫が毛を舐めるという行為には、いろいろな意味があるとされています。
特にお互いの毛を舐め合っているというには、仲の良い証拠だと考えられます。
こうした行動は、猫の親和行為と言われています。
舐めあう理由は3つ
それでは、なぜ仲の良い猫同士はお互いの毛を舐め合っているのでしょうか。
お互いの毛を舐め合っていたと思ったら、ちょっとしたことでいきなりシャーっとケンカし出したりすることもあります。
また、まじまじと観察してみると、よく舐めている部分とそうでない部分があったりといろいろなことに気付くはずです。
その理由を大きく分類すると、3つの理由が考えられます。
ひとつは、自分でするように、毛のグルーミングのため。
それから、毛を舐めて唾液をつけることで、自分のにおいをつけるため。
そして、舐めたりにおいをつけたりすることによって愛情を表現しているという場合があります。
グルーミングのため
ご存知のように、猫はグルーミングが大好きです。
あっちをぺろぺろ、こっちをぺろぺろと長い時間をかけて自分の体を舐めています。
実は猫の舌には喉の奥の方にかけて、たくさんの突起が細かく並んでいます。
この舌を使って、毛に付いた埃や汚れを取ったり、毛並みを整えているのです。
普段から、よく自分の足や体を舐めている様子は頻繁の目にしますよね?さらに、猫同士がお互いを舐めるのは猿でいう毛繕いのような意味合いがあります。
耳の後ろや背中、お尻の方など、自分ではどうしても届かずにグルーミングできない箇所があります。
仲の良い猫は、お互いにそうやってやりにくい場所をグルーミングし合っています。
また、相手に舐めさせるというのは、敵ではなく仲間として心を許している状態でもあります。
自分のにおいをつけるため
不思議なことに、オス猫同士はそれほどお互いを舐め合ったりすることがありません。
まったくしないわけではありませんが、比較的珍しいことだとされています。
主にお互いを舐め合っているのは、メス猫同士や、オスメスで行うことが多いと言われています。
これは、舐めることで自分のにおいを相手につけているからのようです。
猫がよく遊び相手の猫のお尻のにおいを嗅いでいる姿を見たことがあると思います。
猫は目が良いわけではなく、その代わりにおいに敏感な生き物です。
また縄張り意識もあるため、オス同士でこうしたことをすることは少ないとされています。
お互いに「仲間だよ」とか、「自分の親しい人だよ」という意味を込めて舐めてにおいを付けているのでしょうね。
相手への愛情表現
猫が人の指や服を舐めてきたり、親猫が子猫を舐めたりする様子もよく見かけたりします。
こうした行動は、猫の愛情表現のひとつだとされています。
舐めるのも、舐めさせてあげる方も、お互いに気を許してリラックスしている状態です。
ときには、じゃれているようなつもりで舐めているときもあるでしょう。
もともと猫は群れで生活する動物ではないので、こうした行動は少ないとされています。
猫なのでもちろん私たちのわかるような言葉にはしませんが、「かわいいね」とか、「遊ぼうよ」といった親しみを込めた行動でもあります。
ですが、このじゃれあいが行き過ぎると、突発的にケンカが始まってしまったりすることもあります。
あまり顔を舐めたりする姿は見かけないので、猫の中にも「親しき仲にも礼儀あり」ということがあるのかもしませんね。
栄養補給のため
こうした愛情や親しみ意外にも、舐め合うことで体の調子を整えているとも言われています。
毛や皮膚を舐めることで塩分やビタミンDを摂取することができるそうです。
というのも、猫は紫外線を浴びることで、ビタミンDを合成することができるそうです。
猫がひなたぼっこが好きなのは、こうした理由もあるのかもしれませんね。
猫同士が舐め合う心理を知ろう
猫同士が舐め合っていたり、舐められて目を細めている姿というのは、微笑ましい限りですよね。
こうした姿を見るために、猫を多頭飼いする人も多いのではないでしょうか。
人に懐いてくれる猫というのも嬉しいものですが、猫同士のじゃれあっている姿はまた別な可愛さがあります。
しかし、こうした行動は、やはりお互いに仲良くないと見せてくれません。
ですが、ぜひともケンカにならない程度に節度をもって舐め合ってもらいたいものですね。