ペットを飼うときにはいろいろと気を付けることがあります。

性格や値段ももちろんですが、飼育する上で気を付けなければならないことは他にもあります。

それが、ペットから人間にうつる病気で、人獣共通感染症と言われています。

犬の場合には狂犬病などもよく知られていますが、亀からはどんな病気がうつることがあるのでしょうか。

今回は、亀から人間に感染する可能性のある病気についてご紹介します。

1.サルモネラ菌

誰でも「サルモネラ菌」という名前は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

O-157などとともに、食中毒を引き起こす細菌として広く知られていますよね。

亀から感染する病気として、まず筆頭に挙げられるのが、このサルモネラ菌です。

サルモネラ菌は亀ももちろんなのですが、水で暮らす多くの動物が持っています。

亀自身はサルモネラ菌を保有していても、特に症状を示したりすることはありません。

またサルモネラ菌の感染源となるのは、亀だけでなく、犬や猫、鳥なども同様です。

このように、サルモネラ菌は自然界にも普通に存在しているものです。

しかし、人の体内に入って腸まで達すると炎症を起こし、これが食中毒の症状の原因です。

常にリスクはあると言えますが、サルモネラ菌は一定量以上に数が増えると急に激しい症状を引き起こします。

感染したときに見られる症状は、嘔吐や下痢、発熱といった典型的な食中毒の症状です。

ですが、抵抗力のない人が感染すると、重症化したり合併症を起こして命を落とすこともあります。

幸いなことに、サルモネラ菌は手洗いやしっかりとした衛生管理で簡単に防ぐことができます。

2.アメーバ赤痢

アメーバ赤痢と聞いて、「アメーバ」とか「赤痢」という言葉からなんとなくイメージは湧くかもしれません。

しかし、サルモネラ菌と比べると、あまり耳馴染みのない病気です。

このアメーバ赤痢も、亀から感染することのある代表的な病気です。

赤痢アメーバによって引き起こされる伝染病で、消化器に影響を及ぼします。

具体的には、赤痢アメーバが人の体内に入ると、大腸や直腸などに寄生して潰瘍を作ります。

その影響で、粘液血便や痙攣性の腹痛が見られるようになります。

このアメーバ赤痢の主な感染ルートは、亀の排泄物からの経口感染です。

亀の場合には赤痢アメーバがいても、基本的に症状を示すことはありません。

しかし、排泄物にその嚢子が含まれることで、感染してしまいます。

このアメーバ赤痢はサルモネラ菌とも共通しますが、亀に触れた後の手洗いが有効です。

亀を飼育するときには、亀や亀の生活する水槽に触れる機会が多くあると思います。

そうした接触の後に、手などをしっかりと清潔にすることが効果的な予防策となります。

3.飼育するときの注意点

亀から人間に感染する病気というのは、サルモネラ菌とアメーバ赤痢の2つが代表的なものです。

どちらも珍しい病気というわけではありませんが、もちろんじゅうぶんに注意をする必要があります。

というのも、どちらも症状が重症になると、命に関わることがあるからです。

まず基本となるのは、亀や亀の水槽を触った後には、必ず石鹸で手洗いをすることです。

どちらも空気感染したりせず、手洗いでほとんど防ぐことができます。

こうしたことは、他のペットに触れるときも、基本の基本といえるでしょう。

亀を飼育している場合のポイントは、掃除などの世話をするときは手袋を使うようにしましょう。

こうした菌は石鹸で洗っても、爪や手のシワなどに残っているために感染しやすいものです。

そのため、少し大げさに聞こえるかもしれませんが、こうすることでかなり手に付着するのを防ぐことになります。

また、水槽の掃除は定期的に行い、清潔にするように心がけましょう。

亀は排泄物で水槽をよく汚してしまいがちな動物です。

しかし、放置してしまうと、その中でさらに繁殖してしまったり、リスクを高めたりする原因となってしまいます。

4.小さな子どもは要注意

いちばん最初に紹介したサルモネラ菌は、非常に劇的な症状をもたらします。

またアメーバ赤痢も、当初は軽い症状でも、重症化すると衰弱してしまいます。

手洗いや水槽などの衛生管理で、しっかりと予防できるものですので、それほど心配する必要はありません。

しかし、亀を飼っているときには、常にこうしたリスクがあることは認識しておくべきでしょう。

飼っている本人はじゅうぶんに分かっていても、家族や来客がそうした知識があるとは限りません。

亀との接触があるひとには、くれぐれもその後の手洗いを忘れずに促してください。

紹介した病気は、特に珍しいものではなく、初期対応を間違えなければ死に至ることは多くありません。

しかし、体力や抵抗力のない小さな子どもや、高齢者に感染すると非常に危険です。

脱水症状や衰弱、または敗血症などの合併症により、重篤化する可能性が高いと言えます。

そのため、小さな子どもがいる場合には、目を離した隙に触ったりしないように注意する必要があります。

手の触れないような場所に水槽を置いたりするといった工夫も必要かもしれません。

手を洗うときにも、ぜひいっしょに指先や爪、手首までしっかりと石鹸を使って洗うように見てあげましょう。

亀からうつる病気に注意しよう

どんなペットにも、飼っているときに気を付けるべき病気があります。

亀の場合には、飼育の環境として水槽や水がどうしても必要になります。

しかし、そうした不衛生な水などを媒介して、サルモネラ菌やアメーバ赤痢に感染する可能性があります。

また、熱帯魚などと比較すると、水槽が不衛生になりやすく、その管理には少し注意が必要といえるでしょう。

しかし、比較的簡単に予防することもでき、多くの人々が注意しながら飼育を楽しんでいます。

基本を忘れずに、亀も人間も安心して暮らせるように頑張ってみましょう。