アクアリウムに無くてはならないのが「照明」です。
光差す水槽は、唯でさえ美しい熱帯魚を一際輝かせてくれます。
透明な水を明るい光が照らし出し、キラキラと光る様は、自然界の美しさを切り取ったかの様に錯覚してしまいます。
水槽用の照明は何を使っても一緒、と思う方も多いと思いますが、そんなことはありません。
照明は濾過フィルター同様に、どの様な目的でアクアリウムを始めるかによって使う種類が異なってくるからです。
ではどの水槽にどの照明を用いれば良いのかご紹介します。
水草育成なら蛍光灯
もしもあなたが水草を育成する事を目的にアクアリウムをしているならば、照明は「蛍光灯」を使う事をオススメします。
水草を育成するには、光合成に必要な色の光と波長が必要です。
蛍光灯は植物の光合成に必要な「赤色」の波長を含んでいる物が多く、光の強ささえ確保できれば水草育成には最適な照明です。
最近では様々な種類の照明が出回っていますが、一昔前はアクアリウム照明と言えば蛍光灯、と呼ばれる程流通していました。
それだけ用いられて来たと言う事は、蛍光灯で水草を育成してきたと言う実績がある事を示しているのです。
実際に現在アクアリウムで使われている水草の中で、蛍光灯で育たない種類のものはほとんど無いとされ、あったとしても別の蛍光灯で育成が出来る可能性が非常に高いと言います。
また蛍光灯は種類が豊富で、コストパフォーマンスにも優れています。
蛍光灯には主にスターター型、インバーター型、ラビットスタート型の3つの種類が有ります。
スターター型の蛍光灯は最も一般的でほとんどの商品はこれに当たります。
インバーター型は消費電力が低く光量がある反面、価格は高めです。
ラビットスタート型は蛍光管が不要な照明で、昔はこれが主流でした。
蛍光灯はあまり長い期間は使えず、使い続けていると光量も落ちてくると言う欠点は有りますが、長年アクアリウムの世界で愛用されてきたと言う実績は、かなり魅力的に思われます。
魚メインの水槽ならばLED
水草よりも魚をメインに飼育したいのであれば、LED照明が宜しいでしょう。
LED照明の最大の魅力は電気代が安い事と、インテリア性が高い事が挙げられます。
蛍光灯などに比べると、LED照明は長寿命でランニングコストが掛かり難く、電気代も余り掛からずに光量を得る事が出来ます。
また最近では薄くて軽い照明や、インテリア性が高いお洒落な物も多い為、水槽の外観を損なわずに設置する事が出来ます。
インテリアとして水槽を置いている方には是非オススメな照明です。
しかし、LED照明は水草を育成するには不向きなものが多いとされ、主に魚メインの水槽で用いられます。
LED照明は水草を育成するのに必要な波長が足りない為、水槽育成のプロは使わない、なんて言う話も有りますが、最近では水草育成用のLED照明も出始め、アクアリウムショップ等でもLED照明を多く見掛ける様になりました。
実際にLED照明で水草を育てているアクアリストもいらっしゃる様なので、必ずしも水草育成には不向きという訳では無く、水草育成用LEDか、そうでないかがハッキリ分かれているだけな様です。
サンゴ育成ならばメタハラ
メタハラとは、メタルハライドランプの事を言います。
これは野球場で使われるライトと同じ種類のもので、他の照明に比べて圧倒的な光量が有ります。
見た目が最もアクアリウムの様な造りをしていて、上級者向けなイメージの照明です。
メタハラは植物が光合成をするのに最も適した波長と十分過ぎる光量を放ち、現在太陽光に最も近い照明とされています。
その特性の為、育成が難しいとされるサンゴ水槽に用いられます。
サンゴは飼育する条件が非常に多く、その内の一つに「太陽光かそれに近い光による光合成」があります。
メタハラはそんなサンゴの育成に非常に適した照明だと言えます。
しかし強すぎる光の為にコケが発生しやすく、本体が高温になる為、水温も上がりやすいという欠点もあります。
また通常の水草育成で用いると、強すぎる光のせいで水草が育ち過ぎる等という事態も起こり得ます。
本体の価格も非常に高価である等、メタハラは使い方を選ぶ照明の様です。
初心者には蛍光灯がオススメ
アクアリウム用の照明には上で挙げた通り、蛍光灯、LED、メタハラの3種類があり、それによって用途が異なります。
あなたのアクアリウムは何を目的としたものなのか、それが分かればどの照明を選べば良いのかも自ずと分かってくるはずです。
また初心者の方は汎用性が高い蛍光灯を用いるのが無難でしょう。
一般的に水槽セット等に付いているのは蛍光灯が多い様です。
しかし最近ではLED照明付きのセット商品が出回ったり、サンゴが育成できるLEDが出てくる等、LED照明が主流になってきているようにも思われます。
蛍光灯が主流であったアクアリウムの照明が、LED照明主流のものになる日も近いかも知れません。