ヒラヒラとした尾びれと色鮮やかな体色が美しいベタは、恐らくほとんどの人が一度は見た事がある熱帯魚でしょう。
淡水魚の中でも飛び抜けて美しいその姿に、一度は飼育したいと考えた人は多いはずです。
ここでは初めて熱帯魚を飼育する人にも分かりやすいように、ベタの飼育のポイント、値段、寿命についてご紹介します。
ベタは1匹で飼育する
ベタを飼育する際に最も気をつけなければならないのが、この「1匹だけで飼育する」事です。
ベタは雌よりも雄の方が美しい姿をしていますので、違う体色のベタ同士を複数飼育したくなる事があります。
しかし、ベタはその美しい姿からは想像もできない程に気が強く、獰猛な一面があります。
ベタは別名を「闘魚」、つまり闘う魚と言いわれる程に闘争心と縄張り意識が強い魚です。
例えば1つの水槽で雄のベタ同士を飼育しようとしても、水槽に入れた瞬間にお互いを威嚇して、どちらかが死ぬまで闘い合うと言われる程なので、雄同士の混泳はまず不可能です。
雄と雌、または雌同士ですと平和的に混泳する場合もあるそうですが、ほとんどの場合はケンカしてボロボロになってしまう事が多いので、雌雄に係わらずベタは一匹だけで飼育するようにした方が無難です。
水流は作らない
ベタは元々沼や池などの、水流の無い場所に住んでいた魚です。
あまり泳がずに水中を漂っていることが多く、また長いひれのせいか、泳ぐ事そのものが苦手なので、出来る限り水槽内に水流が出来ない様にしてあげるのが飼育のポイントです。
ろ過装置などを用いるとどうしても水流が出来てしまいますが、ベタの飼育にはろ過装置が無くても大丈夫です。
ベタは他の魚とは違い、「ラビリンス器官」という特徴的な呼吸器官を持っていて、それにより水面から直接酸素を取り入れる事が出来ます。
他の魚はエラ呼吸しか出来ませんので、エアレーション等による酸素供給が必要ですが、ベタは肺呼吸によって必要な酸素の6割を取り入れる事が出来るので、ポンプ等の器具を必要としないのです。
熱帯魚ショップでベタが小さなビンに入って売られているのはその為で、大きな水槽だと逆に落ち着かずにストレスを与えてしまいます。
飼育の際には適度な大きさの水槽を選ぶ様にしましょう。
水温は高めで
ベタは洪水の後に出来た水溜りにも住めると言われる程、丈夫な魚です。
ろ過装置等も必要としない為、ボトル・アクアリウム等に用いられる事もあるくらいですので、飼育難易度は高くありません。
しかし、元々熱帯地方に住んでいた為、低水温には弱く、それが原因で病気になる事もあります。
ベタを飼育する際の適水温は大体27℃前後で、寒くとも20℃は下回らないようにして下さい。
水質等にはそれほどうるさくないので、そこまで気を張る必要はありませんが、急激な水質の変化には弱いので、水替えの際は注意しましょう。
またベタはとても活発な魚ですので、水槽から飛び出してしまう事が偶にあります。
飛び出し防止の為に、水槽には必ずフタをする様にします。
ベタの値段
ベタは熱帯魚ショップ以外でも、ホームセンター等で見かけることがある位流通している魚なので、基本的に安価なものが多いです。
特に「トラディショナル・ベタ」と呼ばれる一般に流通している種類のものは、精々数百円から千円程度で販売されている事がほとんどですので、初めてベタを飼育する方にオススメです。
しかし、ベタの中にも愛好家たちの手によって改良されて、より美しくなった種類のものは高価な事が多いです。
「クラウンテイル」や「ショートテイル」等の通称「ショーベタ」と呼ばれる種類のものがその典型で、ほとんどが数千円程度、質の良い個体や珍しいものですと1万円以上するものもいます。
ベタの寿命
生き物を飼育する上で避けては通れないのが「寿命の話」です。
一般的にベタの寿命は1~2年程度と言われていますが、稀に3年以上生きるベタもいます。
中には5年以上生きた個体もいるそうですが、これはかなり稀な事で、大体1~3年程度と考えれば良いでしょう。
これはどんな生き物にも言える事ですが、飼育する環境の良し悪しで生き物の寿命は長くも短くもなります。
ベタはあまりエサをやり過ぎるのは良くないので、少なめに与えた方が良いかもしれません。
また最近ではビンやボウルでベタを飼育する人がいる様ですが、長生きをさせたいのであれば、きちんとした水槽で飼育する事をオススメします。
ボトルでも飼える初心者向けのベタ
ベタは初心者でも飼いやすい魚で、闘魚という物騒な呼び名に反して非常に人懐こく、水槽に近づくと寄ってくる等、可愛らしい一面があります。
また小型水槽で飼える、エアレーションを必要としない、見かけの美しさに反して安価である等の理由から、手軽に飼い始める人も多いです。
最近ではボトル・アクアリウム等でベタが用いられる事も多く、熱帯魚を飼育したいけれど敷居が高いと思っている方は、これを機にベタの飼育を始めてみては如何でしょうか。