長く美しいヒレと優雅な姿が人気のベタは、グッピー同様に古くからアクアリストの間で親しまれてきました。

その長い年月の中でベタは愛好家たちの手によって、より美しく品種改良をされ、今では沢山の種類のベタがいます。

一体どんな種類のベタがいるのか、代表的な種類と、その特徴をご紹介します。

ワイルドベタ

ワイルドベタとは品種改良を施されていない、野生のままのベタの事を指します。

ベタと言えば一般的に色鮮やかな体色と長いヒレを思い浮かべますが、ワイルドベタは短いヒレと控えめな体色が特徴的な、野性的な魅力のあるベタです。

ワイルドベタは主に東南アジアに多く生息しており、一口にワイルドベタと言っても50種類以上のものがいます。

その種類によって体色や大きさにかなり差があり、大きなものですと全長10㎝にもなる種類もいます。

また、ワイルドベタは姿形だけでなく、性格も品種改良されたベタに比べて大人し目なのも大きな特徴です。

通常ベタは気性が非常に荒く、雄雌同士であっても同じ水槽で飼育するとケンカを始めてしまう為、別々に飼育する必要があります。

しかし、ワイルドベタは雌雄のペアであれば一緒の水槽で飼育もできる程度には温和なので、繁殖もさせやすい傾向にあります。

トラディショナル・ベタ

一般的に「ベタ」というと、このトラディショナル・ベタを指します。

ワイルドベタを品種改良したタイプのベタで、流通量もかなり多く、ベタの中では一番安価に販売されている種類になります。

トラディショナル・ベタは100年以上歴史を持つベタで、ワイルドベタとは異なり、非常に気性が荒く、雄同士で混泳させると、どちらかが死ぬまで戦うと言われる程です。

しかし、反面非常に人懐こく、長く飼っていると飼い主に懐き、水槽に近づくと寄ってきてエサを強請る事もあると言います。

気性の荒さからは想像もできない愛嬌ある仕草は、魚というよりも犬猫を飼っているような気分にさせてくれます。

また、トラディショナル・ベタの特徴として挙げられるのが、他のベタに比べて身体が非常に丈夫である事でしょう。

ベタは基本的に飼育がし易く、身体も丈夫ですが、トラディショナル・ベタはその中でも特に身体が丈夫で飼育しやすいです。

よくコップやビン等で飼育されているベタの大半がこのトラディショナル・ベタで、初心者で、これからベタを飼おうとしている方にはオススメの種類になります。

クラウンテール

クラウンテールはより美しく改良されたタイプのベタで、海外では大変に人気のある種類のベタです。

クラウンテールの特徴はその名前の通り、王冠の様なギザギザとしたヒレにあります。

厳密にはヒレが糸状に長く伸びたものを「コームテール」、コームテールを更に品種改良して、より鮮やかに作られたものを「クラウンテール」と分類する様ですが、最近ではこの2種をまとめて「クラウンテール」と呼ぶ様です。

トラディショナル・ベタはホームセンター等でも販売されていてよく見かけますが、このクラウンテールは「ショーベタ」と呼ばれる、より美しく品種改良されたタイプに分類されるベタですので、専門店以外ではあまり見かけないかもしれません。

「ショーベタ」はベタの中でも美しく高価なものが多いですが、クラウンテールはその中でも安価な部類に入りますので、「ショーベタ」の飼育を始めたい方はまずクラウンテールの飼育から始めるのが良いでしょう。

デルタテール

デルタテールは、トラディショナル・ベタを更に品種改良して、よりヒレを大きく美しくした「ショーベタ」に分類されるベタです。

デルタテールの特徴は尾びれが他と比べて大きく広がるところで、横から見るとその大きさに圧巻される事でしょう。

またデルタテールには幾つかの種類があって、それによって尾びれの大きさが変わってきます。

「デルタテール」「スーパー・デルタテール」「ハーフムーン・デルタテール」の順に尾びれが大きく、特に「ハーフムーン・デルタテール」と呼ばれる品種は、尾びれが180度以上開く程で、ショーベタとしての価値も高い品種になります。

プラガット

別名を「ショートベタ」とも言われるタイプで、ワイルドベタの様に短いヒレが特徴的なベタです。

プラガットはワイルドベタの品種改良種で、現地では「闘魚」と呼ばれるベタ同士を闘い合わせる遊びがあり、プラガットはその為に作られたと言われています。

その為プラガットは、より闘争本能を強く、気性を荒くなる様に改良されていて、トラディショナル・ベタはその過程で生まれたとも言われています。

元々は闘うために作られたベタですが、その美しさと精悍さは観賞魚としても価値は高く、近年では純粋に観賞用として飼育されている事が多いです。

ベタの種類ごとの特徴を知って飼育に挑戦してみよう

一口にベタと言ってもその種類は数多く、上記した以外にも色々なタイプのベタがいます。

元々はプラガットの様に闘うために品種改良をされた魚ですが、最近では観賞用として品種改良をされる事が専ら多く、次々に新しいタイプのベタが生み出されています。

ベタの飼育を始めたい方は、品種改良も視野に入れてみては如何でしょうか。

世界に一つだけの、オリジナルのベタを生み出せるかも知れませんよ。