1991年に新種記載されて以来、爆発的な人気を博している「スネークヘッド」は、日本国内のみならず海外でも人気の熱帯魚です。

その独特な風貌からか、どちらかと言えば怪魚マニアや大型魚マニアに人気のある上級者向けの熱帯魚のイメージが強いです。

スネークヘッドとはどんな魚なのでしょうか。

その特徴や生態をご紹介します。

スネークヘッドとは

スネークヘッドは日本でもお馴染みの「雷魚」の事を指します。

雷魚は主に中国や朝鮮半島、アムール川までの広域に生息する魚です。

「スネークヘッド」として販売されている個体は、主にインド北東部、ブラフマプトマ川周辺に生息するものを指していることが多いです。

元々は観賞魚と言うよりも食用魚としての面が強い魚でした。

スネークヘッドの中でもとりわけ色彩が美しい「レインボースネークヘッド」の到来により観賞魚としての地位を得たようです。

スネークヘッドはその名の通り、蛇のように前後に長い身体つきをしており、円柱形のずんぐりとした恰幅の良さがあります。

背びれや尾びれの棘条があまりなく、丸みを帯びた滑らかな形態をしています。

頭のすぐ後ろから尾びれのすぐ手前まで、胴体全体に及んでいる長い背びれが特徴です。

大きな口で獲物に噛みつく習性があり、顎も強く歯も鋭く丈夫なので、噛まれないよう取り扱いには十分気を付ける必要があります。

スネークヘッドの生態

スネークヘッドは「ベタ」同様に空気中から酸素を得ることが出来る特殊な器官があります。

鰓のすぐ近くにある「上鰓器官」と呼ばれるその器官は、グラミー等のキノボリウオ科が持つ器官と同じものです。

これにより空気中から直接酸素を得られるので、溶存酸素量の少ない劣悪な環境でも生存していくことが出来ます。

スネークヘッドは湖や池などの止水域、もしくは中下流の河川水域によく見られ、流れが緩やかで水草や浮き草などの水生植物が群生する水域を好んで住処とします。

夜行性で日没後から早朝の薄暗い時間帯に活動し、日中はじっとしていることが多いです。

食性は主に魚食性ですが、肉食性や雑食性の一面も強く、カニやエビ等の甲殻類、カエルや昆虫なども捕食し、時にはスズメや水鳥、陸地の小動物にまで喰らいつく貪欲さがあります。

獲物が近づくと水中から飛び掛かり、大きな口で食らいつくその様はまるでサメのようです。

繁殖期になると水草で巣を作り産卵し、親魚が卵を保護して孵化させます。

しかし種によっては口に中に卵を入れて、孵化するまで保護すると言うユニークな繁殖行動を取るものがいるのも、スネークヘッドの特徴でしょう。

スネークヘッドの性格

上記したように、スネークヘッドは非常に貪欲で獰猛な性格をしています。

種によっても性格は異なりますが、基本的に肉食魚なので攻撃性が強く、縄張り意識も強いです。

住処に近づいてきた者を容赦なく攻撃する気性の荒さがあります。

スネークヘッドを飼育する場合は他の魚との混泳は止めておいた方が無難でしょう。

しかし小型のレインボースネークヘッドの中には気性の穏やかな個体も存在します。

そういった個体であるならば同種間での混泳は成功しやすいです。

大き目の水槽で水草や流木などを沢山使い、複雑なレイアウトをする等の工夫がされており、かつスネークヘッド同士での混泳なら不可能ではないでしょう。

スネークヘッドの飼育

スネークヘッドは単独飼育が基本です。

柔軟性の高い魚なので、小さめの水槽でも飼育は可能です。

しかし、スネークヘッドは大型の種類が多く、遊泳性も高いので、それ相応の大きな水槽で飼育するのが本来ならば望ましいでしょう。

水槽内には水草や流木などをなるべく入れるようにします。

元々水草が生い茂る場所を好みますので、入れた方が落ち着きやすいでしょう。

水温の適応範囲は広いですが、なるべく低めの水温の方が望ましいです。

インド原産なので、水温は高めの方が良いと思われがちですが、実はスネークヘッドは高水温に弱い魚です。

水温が30度を超えてしまうと体調を崩してしまいますので、夏場の水温管理には気を付ける必要があります。

逆に低温には強く、15度位までであれば耐えられることが出来ますので、場所によってはヒーター等の機材なしで飼育することも可能です。

スネークヘッドの寿命と価格

スネークヘッドは種類によって寿命が異なり、レインボースネークヘッド等の小型の種類ならば5年前後、カムルチーのような大型の種類であれば10年前後は生きるようです。

また飼育下では長生きすることも多く、中には20年以上生きた個体もいます。

スネークヘッドは昔こそ高価で希少な魚でしたが、今ではそれなりに流通量があり、比較的安価な個体も多いです。

人気のあるレインボースネークヘッドは大体2,000円~3,000円程度のものが多く、珍しい種類のものでも1万円を超えることは少ないでしょう。

基本的に小型種や幼魚は安価な傾向があり、大型種で珍しい種類のものや、野生個体のものですと高価になるようです。

高価なものですと、数万円から十数万円する個体もあります。

スネークヘッドの特徴を知ろう

スネークヘッドは、昔は怪魚や大型魚を好む愛好家たちに需要の高い魚でした。

カラフルで美しいレインボースネークヘッドの到来によって、一気に観賞魚としての人気に火が付きました。

当時は高級観賞魚として名をはせたスネークヘッドですが、今では流通量も多く、価格も安価な個体が多くなったので、飼育のハードルはかなり低くなりました。

きちんと最後まで面倒を見られるのであれば、身構えることなく飼育にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。