ベタといえば、熱帯魚ショップでは必ずと言っていいほどよく見かける、キレイな熱帯魚です。
一般的なベタ(トラディショナル・ベタ)も目を見張るほど美しいのですが、より美しい形状と色彩を持った「ショーベタ」という品種もいます。
今回はショーベタについて、特徴と飼育方法についてご紹介します。
ショーベタの基本情報
ベタの原産国はタイやカンボジアです。
お店で見かける一般的なベタはトラディショナル・ベタといい、さらに品種改良され観賞用のショーのために生み出されたのがショーベタです。
寿命は2年程度ですが、適切な飼育を行えば5年も生きる個体もいるそうです。
値段はピンキリで、500円程度の個体から数千円の値が付く個体もあります。
ベタは「闘魚」という異名を持つほど、同種間で激しく争う特性があります。
ヒレや体がボロボロになっても、相手が死ぬまで戦います。
そのため、特にオス同士での混泳はできません。
メス同士の混泳の場合は、問題ないこともありますが、個体によってはオス同様に闘争が起こることも考えられます。
広い水槽に水草をたくさん植えることで隠れ家を増やし、争いを回避できるような工夫が必要でしょう
ショーベタの特徴
ショーベタはアナバスの仲間です。
アナバスは、他の熱帯魚には見られない特徴を持っています。
彼らはラビリンスという独自の補助呼吸器官を持っており、空気呼吸を行うことができます。
また、産卵の時には泡でできた巣を作るという珍しい習性を持っています。
雌雄の区別は容易で、オスは各ヒレが大きく、とても派手な見た目をしています。
一方でメスはヒレが短く、地味な印象です。
オスは見た目が良いので、メスに比べ流通量が圧倒的に多いです。
ショーベタの種類
ショーベタには様々な品種があります。
それぞれヒレの長さや形に個性が表れています。
ヒレの形状の違いの他にも、様々なカラーがあり、魅力にあふれています。
①クラウンテール
ヒレにたくさんの深い切れ込みが入り、ひも状になっています。
ひも状になったヒレがたなびき、王冠に見えることからクラウンテールという名前が付きました。
新しく作出された品種です。
②プラカット
ヒレが短めで、スマートな品種。
野生の個体に近い体系をしています。
体色のバリエーションが最も多い品種です。
③フルムーン
その名の通り、各ヒレが満月のように丸く大きく広がった品種です。
尾びれが二つに分かれ、ダブルテールとも呼ばれます。
とてもゴージャスな印象を与えます。
④ハーフムーン
ショーベタの代表的な品種です。
フルムーンの品種に似ていますが、ヒレの広がり方がやや狭くなっています。
尾びれが180度に広がっています。
ショーベタの飼育方法
ショーベタはラビリンス(呼吸器官)のおかげで、狭い容器でも飼育可能です。
しかし狭い瓶詰状態での飼育は、やはり生体にストレスを与えてしまいます。
ヒレも広げられず、発育が悪くなってしまいます。
そのため、通常の熱帯魚の飼育に準じた飼育方法が適切です。
①水槽のサイズと水温
ベタは同種間で獰猛な性質を持つため、基本的に単独飼育になります。
健康に飼育するためには、水槽の水量は最低でも3ℓ以上の小型水槽が必要と考えましょう。
水温は25~28℃に保ちましょう。
30℃前半の高温には耐えられますが、低水温には弱いので、冬場は小型ヒーターを使用しましょう。
②フィルター選び
ショーベタの飼育には、ろ過フィルターを使わない人も多いです。
フィルターを使うと水槽内にベタが嫌う水流が発生してしまうためですが、水質を良好に保つにはろ過装置を使うほうがよいでしょう。
なお、ベタは空気呼吸を行えるため、エアレーションは不要です。
③ベタは水流が苦手
ショーベタのオスはヒレがとても大きいため、泳ぎが遅く苦手です。
そのため、水槽内には水量を発生させないような工夫が必要です。
ろ過装置を使う場合、水の排出が強いときは、排出口を水槽の壁面に向けて水流の勢いを緩和させてみましょう。
④エサ
ベタ用の発色がよくなる人工エサがオススメです。
ショーベタは本来は肉食性のため、たまに赤虫や糸ミミズなどの生きエサを与えるのもよいでしょう。
それが難しい場合は、冷凍エサでも代用できます。
エサは一回で食べきれる量を与え、食べ残しはこまめに掃除しましょう。
⑤フレアリングでヒレのトレーニング
ショーベタのオスは、別のオスの姿を見るとフレアリングという行為をします。
これは、ヒレを大きく広げて相手を威嚇するものです。
フレアリングを行うと、ヒレの開きがよくなり美しく保たれるのです。
これを行わないと、ヒレは柔軟性を失い、美しさを損なってしまします。
フレアリングは鏡でも代用できますので、一日10分程度、水槽越しに鏡をあて、ショーベタにフレアリングを行わせてみましょう。
育てがいのある宝石のような熱帯魚ショーベタ
ショーベタはカラーバリエーションと形状が豊富です。
自分だけの一匹を選び、丁寧に飼育してあげることで、美しさを引き出せます。
コレクターもいるほど奥深い魅力がある一方、小型水槽で飼育可能なので設備投資も少なく済み、アクアリウム初心者にもオススメの熱帯魚の一つです。