サカマキガイは小型の淡水性貝類で、殻の大きさは最大で10mmほど。

北米・ヨーロッパに由来し日本の水域にも生息しています。

淡水の水槽で時折見られます。

この貝は魚やエビ、水草にとって直ちに害ではありません。

主に繁殖し過ぎることが美観上問題とされます。また事情によっては有用でもあります。

サカマキガイは害はないが殖える

「害はないのだが殖えてしまう」のがサカマキガイです。

雌雄同体で2匹から殖え、1匹の混入でも自家受精にて繁殖可能です。

似た貝にモノアラガイがいますが、サカマキガイのほうが繁殖力が強いです。

どちらも一般には、益がなく邪魔な「スネール」とされることが多いです。

主に水草を買ってきた際に混入しやすく、良く洗ってチェックする/チェックしきれない葉は切ってから植えるなどでサカマキガイの混入を予防できます。

水草についたコケを多少食べることはありますが、水槽で有益というほどでありません。

魚の残りえさや枯れた葉、フン、沈殿した有機物などなんでも食べる雑食性です。

ルックス的には普通の巻き貝ですから、少数しかいない状態が続くなら放置でもOK。

一方殖え過ぎた貝およびゼリー状の卵塊がガラス面や水草の葉に多量につけば、一般には美観の問題が出てきます。

サカマキガイを手で駆除する

もっとも手軽なのは、サカマキガイを手で取り除く方法です。

ガラスについている個体を潰したり、つまめるものは取り出したりします。

ゼリー状の卵塊は、スクレーパーやプラスティック製のカード(期限切れのポイントカード、キャッシュカード等)などで掻き取ります。

「時々サカマキガイが気になる」といった程度なら、この駆除方法で差し支えありません。

しかし繁殖スピードが増してくると、特に込み入ったレイアウト水槽では、手では間に合わないこともあります。

水を酸性寄りにしてサカマキガイの繁殖を防ぐ

淡水性の貝類全般に、酸性の水を嫌います。

魚種によって対応できるときはやや酸性に傾けてあげることで、サカマキガイの繁殖を防げます。

または繁殖スピードが落ちます。

ろ材にピートモスを入れたり、底床の砂をソイル系に変える、また流木の追加や添加剤で水を酸性よりとできます。

しかしサカマキガイが死滅するほどの酸性では、むしろ魚に対する害のほうが大きくなります。

魚が対応できる範囲までとします。

繊細な魚ではPHによる対策は避けたほうが良いでしょう。

魚を移動させられるときは、その上でPHを落とす方法があります。

フグ類を用いたサカマキガイの駆除

小型シクリッドであるアノマロクロミス・トーマシィやフグ類(アベニー・パファーなど)は、サカマキガイを含めて貝をよく食べます。

口より大きな貝も食べます。

他魚種やエビとの折り合いはそれほど良くありません。

トーマシィとフグは、良く考えたうえで使うと強力です。

コイ類を用いたサカマキガイの駆除

クラウンローチは15cm以上とやや大きくなりますが、おとなしい魚です。

1cm程となったサカマキガイでも食べられます。

この他、中型のコイ類(ドジョウ、バルブ、キンギョ)は除去に使えます。

カワコザラガイなどに比べると大きめの貝ですから、あまり小さな魚(チェリー・バルブなど)では稚貝のほかは口に入りません。

このほかバジス・バジス、グーラミィ類などが予防・駆除の候補となります。

なお、オトシンクルスやプレコはガラス面や水草の上を這うなど貝と似た行動もとります。

サカマキガイの行動や卵塊生育の邪魔とはなりますが、これだけでの除去は難しいものです。

ホタルのえさとしてサカマキガイを使えるメリットも

ヘイケボタル、ゲンジボタルなどホタルの幼虫は、淡水に住む巻き貝を食べます。

サカマキガイはえさとしてサイズ的にも良いものとなります。

魚や水草の水槽に時々発生したりするなら、わざわざ購入する必要なしです。

ホタルの飼育ではカワニナやヒメタニシなど本来必要な貝を与えますが、それら貝の飼育がホタル以上に難しく、全滅なども起きえます。

サカマキガイは「スペアのえさ」として有用です。

バケツや水槽に水を張り、野菜や水草の葉、金魚のエサ等をたまに与えていればサカマキガイは容易に殖えていきます。

30℃程度まで水温を上げるとより早く殖えます。

また屋外の池などでホタル飼育に挑戦する際も、サカマキガイを利用できます。

フグのえさとしてサカマキガイを使えるメリット

淡水フグ各種は、クリルや冷凍アカムシ、環境に慣れれば人工飼料も好みます。

フグは神経質な面もあり、調子を崩すと生きエサしか食べなくなることも。

そんな時サカマキガイを使えば食べてくれる可能性が出てきます。

小型で殻も柔らかいので小型フグにも食べやすい貝です。

サカマキガイは買った水草から見つけるほか、ショップで譲ってもらうこともできます。

専用水槽で殖やしても良いですし、他の水槽にいるものを適宜フグのえさとして取り出しても良いです。

ビオトープにサカマキガイを使えるメリット

屋外の大型ビオトープでは、サカマキガイがいてもそれほど大きな美観上の問題にならず、全体的なバランスに寄与することもあります。

また水生昆虫のえさになったりもします。

ただし、導入して上手くいくかどうかは状況によります。

サカマキガイは本来、有機物の多い富栄養の水(いわゆる汚れた水、濁った水)を好み、水槽のような澄んだ水は好きではありません。

水質を見るバロメーターにはなるかもしれません。

サカマキガイと水槽の関係を知ろう

サカマキガイは、特に魚や水草に害がないものの、殖えやすい「スネール」の一種でもあります。

基本になるのは水草購入時のチェックです。

手で駆除する方法が簡単ですが、それでは間に合わない時は生体を使うなどします。

また美観上迷惑なスネールとしてだけでなく、ホタルやフグのえさとして見ると有用な一面も持っています。