あまり日本ではポピュラーではない、変わり種のペットに、蜘蛛の仲間タランチュラがいます。
特にローズヘアータランチュラは、体毛の美しさと飼いやすさが評判で、愛好家にも人気を博しています。
どのような特徴のある蜘蛛なのかご紹介します。
ローズヘアータランチュラの特徴
ローズヘアータランチュラは、クモ目オオツチグモ科に属する蜘蛛の仲間です。
別名「チリアン・コモン」などと呼ばれることもあります。
一般的にタランチュラと呼ばれている種類の仲間で、蜘蛛の中では大型のものが多く、毒を持っています。
全身に柔らかい体毛が生えていて、頭部の毛が赤みを帯びた美しい色をしているため、この名前が付けられました。
特に「レッドモルフ」と呼ばれる品種は、より赤色が映えて美しく、人気があります。
体長は6cmくらい、足を広げた状態でも全長10センチ程度と小さめで、タランチュラの中でも扱いやすい蜘蛛です。
チリやアルゼンチン、ボリビアなど南米地域に広く分布しています。
温暖で乾燥した環境を好み、砂漠の近くに多く生息しています。
陸上で生活する種のため、体から出した糸を編み込んで、地面に広げて巣を作ります。
ローズヘアータランチュラの性格・性質・寿命
ローズヘアータランチュラは、他のタランチュラに比べて大人しく、温厚な性格をしています。
人に懐くということはありませんが、大事に扱っていれば攻撃的な態度はとりません。
充分に気を付ければ、手の平に載せてスキンシップをとることも可能です。
食性は肉食で、カエルやネズミ・昆虫などを捕食します。
鳥の巣を襲って卵や雛を食べることもあるため、鳥喰い蜘蛛(バードイーター)とも呼ばれます。
共食いもすることがあり、メスがオスを食べてしまう場合があります。
基本的に動きが少なく、じっとしていることが多いです。
食欲も旺盛というほどではなく、脱皮前などには絶食をして、半年近くエサを受け付けなくなります。
悪環境にも耐性があり、日本の冬の気候でも暖房なしで生き抜ける生命力を持っています。
飲み水と一定の温度が保たれた環境があれば、2年以上エサなしで生き続けたという記録も残っています。
ローズヘアータランチュラは、オスとメスで寿命が大きく異なります。
オスは成体になり繁殖期を過ぎると死んでしまう場合が多いですが、メスは飼育下だと20年以上も生きる場合があります。
ローズヘアータランチュラの毒性
タランチュラは世界的にも毒蜘蛛として有名ですが、タランチュラの持つ毒は弱く、死亡例も存在しません。
蜂やクラゲなどと比べても危険性は低いです。
恐ろしい毒蜘蛛のイメージは、イタリアを発端として語り継がれている伝説上の化け物蜘蛛であるタランチュラからくるもので、一般的に知られているオオツチグモ科のタランチュラとはまったくの別物です。
タランチュラの仲間は、爪の先に大量の毒を持っています。
タランチュラトキシンと呼ばれる毒で、出血や貧血などの血液異常をもたらす壊血症状を引き起こすと言われていますが、人体にはほとんど影響がない毒のため、危険視されていません。
しかし刺されると激痛が走り、赤く腫れるため、扱いには注意が必要です。
また、ネズミなどを捕食する習性から、何らかの病原菌を媒介している危険があるため、野生の個体を取り扱う時には感染症に気を付けなくてはいけません。
爪の毒以外にも、お腹に刺激毛と呼ばれる特殊な毛を持ち、身に危険が迫ると脚を使って周囲に飛散させます。
刺激毛が動物の皮膚や粘膜に着くと、痒みや炎症を引き起こします。
タランチュラの人間との関わり・扱い方
かつて、初めて新大陸で発見されたタランチュラは、ヨーロッパの人々から猛毒の殺人蜘蛛だと恐れられてきました。
その誤った常識はアジアを含む日本でも定着し、現在でもタランチュラは危険な蜘蛛だと思っている人が非常に多いです。
度々、逃げ出したものが外で見つかったり、輸入されてきた食料品にくっついて入ってきたものが発見されて、大騒ぎになることがあります。
しかし、実際は人体への危険がないため、ペットとしての輸入は制限されておらず、飼育に特別な許可も必要ありません。
タランチュラは愛好家には非常に人気のある種類で、一時期は輸出用に乱獲されて数を減らしました。
現在は人工的な繁殖が頻繁に行われるようになったため、流通量も安定しています。
ローズヘアータランチュラは、頭部の体毛の美しさから特に評判が良く、大人しくて世話が容易なため、初心者向きの飼育蜘蛛として人気を集めています。
ローズヘアータランチュラの値段と購入時・飼育時の注意点
ローズヘアータランチュラは、爬虫類などを販売する専門店で取り扱われています。
稀に、ホームセンターなどでも販売されている場合もあります。
また、繁殖を行っている愛好家も多いため、譲り受けたり、オークションなどで購入することも可能です。
値段は1,000円~3,000円程度の安価で手に入ります。
そのため初心者には手を出しやすく人気ですが、非常に長生きする生き物なので、飼う際には長く付き合う覚悟をもって購入することが必要です。
飼育設備も簡易なもので良く、手間のかからないペットですが、管理が甘いとよく脱走するので注意しなければなりません。
初心者向きだが飼育には根気が必要なローズヘアータランチュラ
大人しくて手間のかからない、飼育入門としてはうってつけのローズヘアータランチュラ。
しかし、長生きするため根気強く付き合う必要があること、絶食するタイミングを見てエサの管理をするなど、飼いやすさが逆に飼育の難しさに繋がることもあります。
タランチュラの特性をよく理解したうえで、飼育を始めるのが理想的です。