飼育下のインコにとって、毎日の野菜はとても大切なものです。
ブロッコリーはほぼ通年出回っているため、ヒトの食卓に上がることも多く、栄養価も高い優秀な野菜です。
ただし、インコに与える際には注意すべき点がいくつかあります。
インコにブロッコリーはよく洗って与える
ブロッコリーに限った話ではないですが、インコに野菜を与える上での基本中の基本です。
とは言え、インコ用だからといって特に気を使う必要はなく、ヒトが食べるときと同じように水でしっかり洗えば大丈夫です。
残留農薬が心配な方もいるかと思いますが、ブロッコリーはそもそも農薬が残りにくい野菜です。
加えて、残留農薬による健康被害を防ぐため、厚生労働省が厳格な残留基準を設けていますので、それほど神経質になる必要はありません。
アップルサイダービネガー(リンゴ酢)を使用すると農薬を落とせる、と推奨されていることがありますが、風味が変わってしまい食べなくなるインコも多くなります。
有機栽培や無農薬栽培の野菜でも土や虫は付いていますので、与える前にきちんと洗いましょう。
ブロッコリーの食べ過ぎに要注意
ブロッコリーやキャベツ、小松菜などをはじめとしたアブラナ科の野菜には、ゴイトリンという物質が含まれています。
ゴイトリンは甲状腺機能を阻害するゴイトロゲンの一種で、甲状腺ホルモンの合成を妨げます。
したがって、アブラナ科の野菜の摂り過ぎは、インコにとって甲状腺腫などのリスクを高める可能性があります。
ブロッコリーだけ、小松菜だけなど同じ野菜ばかりを毎日続けて与えることは避け、できるだけいろいろな種類の野菜を食べさせるようにしましょう。
その他の予防策としては、ペレット以外を主食にしている場合は特に、ボレー粉などのヨードを含んだ食品を積極的に与えましょう。
ボレー粉が嫌いで食べないなど、場合によってはサプリメントの利用も視野に入れるべきでしょう。
余談ですが、農薬を使わずに栽培した野菜は、農薬を使用して栽培した野菜と比較して、ゴイトロゲンが多くなるという説があります。
ブロッコリーの蕾(つぼみ)の部分は与え過ぎない
ブロッコリーの蕾(正確には花蕾と言います)にはシュウ酸が含まれています。
体内に取り込まれたシュウ酸は、カルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム」を形成し、骨へのカルシウムの吸収・沈着を妨げるようになります。
ただしこれも毎日ブロッコリーだけを続けて食べるなどしなければそれほど問題にはなりません。
野菜のシュウ酸の含有量は調査はされていますが結果にばらつきがありはっきりしていません。
しかし、ブロッコリーのグラムあたりのシュウ酸含有量はほうれん草よりはずっと少なく、少なくとも半分以下であるとされている調査結果がほとんどです。
ブロッコリーは鮮度が落ちやすい
野菜が一般のスーパーや青果店に並ぶ時点で収穫からかなり時間が経ってしまっていることが多く、すでにあまり新鮮といえる状態ではありません。
特にブロッコリーは他の野菜に比べて鮮度が落ちやすいと言われます。
ブロッコリーは上の緑の蕾の部分に花が咲くため、茎を切り取った後も花を咲かせようとして養分を多く使うためです。
店頭でブロッコリーを買う際は、蕾の緑が濃くて黄色っぽくないもの、茎の切り口が新しいもの、茎が多く残っているものを選ぶようにしましょう。
また、野菜をもっとも新鮮な状態で与えられるのは自家栽培でしょう。
ブロッコリーはプランターでも栽培可能なので、お宅に庭やベランダがある方はトライしてみても良いですね。
ブロッコリーを生で与えるか、加熱して与えるか
日本人は生でブロッコリーを食べることはあまりないと思いますが、インコに与える場合は、生のまま与える方が多いでしょう。
お湯で茹でると栄養が水に流れ出てしまいますし、加熱により壊れるビタミン類もあります。
ブロッコリー本来の栄養を余さず摂取させるには、やはり生の方が有利です。
また加熱すると生の状態よりも鮮度が落ちやすくなりますので、特に夏場や飼い主が長時間家を空けて交換できない場合は衛生面でのリスクがあります。
しかし、蕾に含まれるシュウ酸は加熱することによってある程度減らせますし、時間が経って鮮度が落ちたものを生のまま与えるのは、また別の不安が生じます。
生のままだと嫌いだけど、加熱すれば食べるという子もいるかと思います。
そういった場合は、栄養素を出来るだけ逃さないように、電子レンジや蒸し器などを利用して加熱するのもアリです。
前述しましたが、くれぐれも腐敗には注意してください。
また、乾燥させたブロッコリーも市販されていますが、これは熱風で乾燥させるためにあまり栄養素が残っていない上、うさぎなどの小動物用のものは衛生面で不安があります。
乾燥したものを与える場合は、栄養をそのまま保持できるフリーズドライの製品が適しています。
インコにブロッコリーをあげる際の注意点を知ろう
ブロッコリーは手に入りやすく気軽に与えられる反面、成分的にはインコに与えるにはやや適していない面もあります。
しかしこれらの難点は、「ばっかり食べ」を避け、他の野菜や果物と一緒に与えることでカバーできます。
栄養価が高くとても優秀な野菜ですので、与え過ぎないように注意しつつ、上手に活用していきたいものです。