冬眠する亀

エサが減って寒い冬を、なるべく体力を使わないように過ごすために冬眠する動物がいます。

亀もその仲間です。

ここでは、亀の冬眠の基礎知識についてご紹介します。

亀はどうして冬眠をするの?

冬眠とは、エサが減って寒い冬をなるべく体力を使わずに過ごすために動物がとる行動です。

動物の冬眠には、大きく分けてクマ型、ヤマネ型、両生類・は虫類型の3種類があります。

クマは冬眠の間もあまり体温が下がりません。

ヤマネ型は、体温は下がりますが、冬眠の間でも起きて活動したりします。

しかし亀などの両生類・は虫類の冬眠は、クマ型やヤマネ型と違い、ほとんど仮死状態に近い冬眠です。

ですから、冬眠の間に起きて活動することはありません。

野生の大人の亀は、冬になると、川や池の水底の泥や落ち葉の中にもぐって冬眠します。

また、夏から秋に生まれた卵は、土の中でふ化した状態で春を待つものと、ふ化しないで卵の中で冬を過ごし、春になってからふ化するものがあります。

亀は、気温が下がると冬眠の準備に入ります。

1日の最高気温が20度より下がると動きが鈍くなってエサを食べなくなり、気温が10~15度以下になると冬眠します。

冬眠中はエネルギーを節約するために体温を下げ、体に蓄えた栄養を少しずつ使います。

亀は普段肺呼吸ですが、冬眠中は水中の酸素を腸や皮ふから体に取り入れるのです。

また、冬眠中はエサを一切食べません。

そうして春が来るのを待っています。

冬眠しない亀もいる

全ての種類が冬眠するわけではありません。

亜熱帯や熱帯地方では、一年中日本の夏のような気候で、気温も水温も高いままです。

だから、そこに住む亀たちは冬眠しなくても平気です。

気温や水温が高い地方に住んでいるゾウガメやウミガメは、冬眠しません。

これに対して、日本のように温帯や寒帯の地方に住むミドリガメ、クサガメ、ニホンイシガメは冬眠する亀です。

家で飼っている亀は冬眠させた方が良い?

冬眠には良い面と悪い面があります。

まず良い面ですが、冬眠は亀が元々持っている生活リズムに合っているということが挙げられます。

自然界と同じ行動をさせることは、順調な成長には良いことです。

また、冬眠させると繁殖もしやすくなります。

悪い面としては、冬眠はとても体力を使うので、亀が冬眠中に病気になったり、死ぬことがあるということが挙げられます。

これらのことを考えて、あなたの亀を冬眠させるかどうか決めてください。

健康な大人の亀なら、できるだけ冬眠させてあげましょう。

冬眠をさせない方が良い亀は、3歳以下の子亀や病気の亀、老亀。

冬眠には体力が必要なので、これらの亀は冬眠の間、体力が持つか心配だからです。

特に秋以降に入手した子亀は、夏にエサを食べていたかどうかわからないので、冬眠はさせないようにします。

亀を冬眠させない場合は、室温で飼うのではなく、秋から春は保温器具を使って飼育容器を保温することです。

飼育容器を保温する道具は、は虫類専用ライト(太陽光の代わりに紫外線を出すライト)、スポットライト(亀が体を暖めるための保温ライト)、水中ヒーター(水を保温するためのヒータ)などを使います。

秋になったら冬眠の準備をする

亀が冬眠を始めるのは気温が10~15度になる10月下旬から11月初め頃です。

冬眠前はしっかり体力をつけておくことが大切です。

夏に十分にエサをあげてください。

そして、温度が下がり始めて亀があまりエサを食べなくなったら、冬眠の準備をします。

冬眠の一か月くらい前になったら、エサをあげないようにします。

腸の中に消化できてないエサがあると、冬眠に失敗する確率が高くなるからです。

動きが鈍くなってきたら、ケージを日の当たらない場所で、暖房のないところに移動させます。

そして、エサをあげない状態で水温が自然に下がるのを待ちます。

また、エサをあげるのをやめた頃から、ケージの水を少しずつ深くしてください。

約20センチに水深を増やしましょう。

こんな時は、冬眠を中止

二週間頭に一度くらい亀を観察しましょう。

甲羅を持って、そっと水槽から出します。

頭を少し触り、手足を甲羅にひっこめるようなら大丈夫、すぐに水槽に戻します。

長時間外に出さず、お尻の方からそっと水に入れてあげましょう。

頭を触ったとき、手足がだらんとしている、亀の目がはれて膨れている、手足の皮膚が白かったりブヨブヨしている、水槽の中で亀が浮かんでいる。

など様子が変なときは、すぐに冬眠を中止して、飼育容器を保温する道具を使い保温し、冬眠を中止しましょう。

亀の冬眠について知っておこう

冬眠は、日本のような温帯や寒帯の地方に住む亀にとって、元々持っている生活リズムです。

亀の成長や繁殖に冬眠は良いことですが、冬眠には体力が必要なため、病気の亀や子亀や老亀はさせない方が良いでしょう。

もしご自宅で飼われている亀を冬眠させるときは、飼い主の方が、亀の状態を見極めて、冬眠させるのかどうか選んであげてください。