小型のカンガルーとして人気の高いワラビー。
その中でもさらに小さなダマヤブワラビーは、日本でも多くの愛好家がいて、ペットとして飼育されています。
ダマヤブワラビーの特徴についてご紹介します。
オーストラリアの固有種
ダマヤブワラビーはフクロネズミ目カンガルー科に分類される動物です。
ワラビーという名前は、オーストラリア先住民アボリジニ―の言葉が由来となっています。
ワラビ―とはカンガルー科の仲間を大きさで分ける際に使用される名前です。
カンガルー・ワラルーに続いて小さな種類をワラビーと呼びます。
成体の平均体重が25㎏以下の種類に用いられていますが、学術的に厳密な区別がされているわけではありません。
オーストラリアでは若いワラビーや、カンガルーの仲間を含む有袋類の子供を「ジョーイ」と呼んでいます。
ワラビーはオセアニア地域の固有種で、昔から主にオーストラリアで生息してきました。
現在では人間の手によって海を渡り、ニュージーランドや近隣の離島、イングランドなどヨーロッパ地域にも分布を広げています。
オーストラリアの南部や森林地帯、草原地帯などに広く生息しています。
数頭~数十頭程度で群れを作って、コロニーと呼ばれる集団生活を行います。
巣などは作らず、広い範囲を移動しながら生活する群れもいます。
ダマヤブワラビーの特徴
ダマヤブワラビーは体長が40~70cm、体重が2.5~10kg程度で、ワラビーの中でもさらに小型の種です。
灰色に近い茶褐色の体をしています。
体色は年齢や暮らす環境によって変わることもあります。
一般のカンガルーに比べて後ろ足が小さめで、短い尻尾が特徴です。
発達した後ろ足で地面を蹴って、跳びながら移動します。
移動速度も距離も大きく、外敵から逃げるのが得意ですが、前にしか進めないので方向転換が苦手です。
お腹に育児嚢と呼ばれる大きなポケットのような袋を持ち、その中で出産、子供を育てます。
周囲の環境が出産に適さないと判断すると、オスが精子を作らなくなったり、受精を遅らせるといった特性を持っています。
一度に育てられる子供は基本一匹で、子供が独り立ちできるまで一年近く、袋の中で世話をします。
手先はとても起用で、小さなものやエサを掴んで持ち運ぶことができます。
草食が主で、野生下では牧草を食べています。
飼育下ではうさぎのエサや野菜・果物なども喜んで食べます。
口の中が弱く、固いものや尖ったものを食べるとすぐに傷つきます。
口内を怪我すると化膿して顎の骨が腫れる「カンガルー病」という病気になる危険があります。
病気が進行すると口がうまく動かせなくなり、エサを食べられずに死んでしまう場合もあります。
ダマヤブワラビーの性格
ダマヤブワラビーは臆病な性格をしています。
大きな音や激しい動きに敏感で、一度恐怖を覚えると常に警戒するようになります。
ひどく驚くとパニックに陥って辺りを跳んで逃げ回り、障害物にぶつかって怪我をすることもあります。
しかし、基本は好奇心旺盛で人懐っこい性格です。
人間や人間の持ち物にも非常に興味を示し、驚かせなければ勝手に近寄ってくることもあります。
静かに優しく接することで良く慣れます。
懐いた相手にはエサをねだるなど、好意的になります。
適温は25℃~30℃くらいで寒い環境は苦手ですが、順応性が高いため寒冷地でも長く生活していると、ある程度は慣れてきます。
ダマヤブワラビーと人間との関わり
カンガルーの仲間はオーストラリアの象徴として扱われ、国章にも描かれています。
現地では非常に身近な生き物で、昔から飼育だけでなく、食用としても用いられてきました。
人間の生む地域にも頻繁に出現するため、車や人との衝突・接触事故が頻繁に起こり、問題の一つになっています。
ある程度温帯の地域では環境に順応できるのがダマヤブワラビーです。
そのため、オーストラリア以外の地域に移住した個体が数を増やして農作物を荒らすなどの被害が出ることから、害獣として扱われている地域もあります。
日本でもペットとして輸入された個体が逃げ出し、一部の地域で野生化している可能性があり、問題視されています。
ダマヤブワラビーの購入方法・注意点・寿命
ワラビーはカンガルーよりも小型のため飼育しやすく、日本でもペットとして密かな人気があります。
外来種指定などもされていないため、難しい手続きなどをしなくても飼育が可能です。
ダマヤブワラビーは、珍しい動物を取り扱っている専門のペットショップなどで販売されています。
繁殖などはほとんど行われていないため、情報を集めて根気強く探す必要もあります。
値段は20万~40万円くらいです。
ダマヤブワラビーは小型と言っても、カンガルーと同じように長距離を飛び跳ねて移動する動物です。
狭い場所に閉じ込めているとストレスや運動不足で体調を崩してしまいます。
ある程度自由に動き回れる広い飼育場所を確保する必要があります。
寿命は10年~15年程度です。
かなり長生きするので、維持費や最後まで飼いきる根気なども考慮して購入を考えることが大切です。
ダマヤブワラビーの特徴を知ろう
広大なオーストラリアで自由奔放に生活するダマヤブワラビーは、人に慣れはしても従順ではありません。
静かに気ままに過ごすことを好むワラビーは、過度なスキンシップをストレスに思うことも多いため、扱いには気を遣わなくてはいけません。
安全でのびのび過ごせる環境を用意できれば、飼い主を癒してくれる可愛いペットとして迎え入れることができます。