犬を飼っている皆さんは、どうして犬は昼にこんなに寝ているんだろうと思ったことはないでしょうか。
ひょっとして何かの病気なのかも、なんて心配になることもありますよね。
夜行性ではないはずなのにお昼からぐーぐー寝ている姿を見ると心配にもなりますが、そこにはちゃんと理由があるのです。
狼だった頃の習性
そもそも犬の祖先は狼です。
狼は狩猟をして生きている動物ですから、夜行性です。
他の動物が活動しているお昼にはぐっすり寝て体力をつけておきます。
そして、獲物が寝静まる頃を見計らって狩りに出ていました。
犬は狼の中でも人間とともに生活することを決めたものたちの子孫であり、人間の生活リズムに合わせて次第に夜行性から日中活動するようになりました。
人間についていれば夜に狩りをしなくても飢えることがなくなったのです。
そしてお昼には人間とともに活動するようになりました。
ですが、かつての夜行性だった頃の活動リズムが犬の中に残っていて、それが原因でお昼でも寝てしまう犬が多いようです。
狩りをする必要のないお昼のうちに寝ておこうと体が意識してしまいますから、お昼からぐっすりです。
また夜になると活発になるというのも同じ理由で、狩猟本能が働いているからと言えます。
人間と違う1日のリズム
犬がお昼から寝てしまう理由は他にもあります。
それが人間とは異なる1日のリズムがあるということです。
人間は基本的に24時間を1日と考えて活動しています。
ですから、日のあるうちは活動して夜になったら眠って体を休めるというのが当たり前の行動パターンです。
一方で犬の場合の1日は7時間ほどだと言われています。
起きてから7時間たったらもう1日の終わりです。
体が疲れて睡眠を求めるのですが、睡眠は体を休めるだけでなく、脳がその日の活動や経験を整理するためにとても大切なことです。
そこで脳のリフレッシュのために体が1日の終わりを感じ取って眠くなるのです。
ですからお昼でも寝てしまいます。
起きるとまた脳がリフレッシュして活動できるようになるのですね。
睡眠は大切だと言われていますが、犬に取っても同じなのでしっかりと休めておく必要があります。
お家で安心している
もう一つの理由として、現代の犬は大抵家の中で飼われています。
もちろん外飼いの犬もいますが、室内飼いしている犬の場合、外敵に襲われるということがほとんどありません。
犬は元々狼で、狩猟をしていたというのは前述ですよね。
ですから、敵がいないときには休んでおく必要があるのです。
そうすることで敵が現れたとき、狩りのときに素早く動くことができます。
室内外の犬も同じことを考えて、敵のいないときに寝ておこうとします。
すると敵はやってきませんから結果的に一日中まどろんでいる、グータラしているという風に見えてしまうのです。
例えば知らないお客さんが訪れたとき、宅配のときなどにまどろんでいたはずの犬が急に飛び起きて吠え始めた、玄関に真っ先に飛び出していったなんて経験はないでしょうか。
それは犬が危険を感じたからであり、そのようなときのために普段は休んでいるのです。
そのため、犬にとっての敵が滅多にこない家の中ではずっと寝ているかのように見えてしまいます。
睡眠レベルが浅い
最後に紹介する犬がお昼から寝てしまう原因は、睡眠のレベルが浅いということです。
睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠から成り立っています。
レム睡眠は浅い眠りのことで体は寝ていても、脳は起きていてその日あったことの整理などをしています。
一般的に、このときに夢を見ると言われています。
一方でノンレム睡眠はとても深い眠りのことを指します。
人間でもこのレム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れることで、良いリズムの眠りができると言われていますよね。
犬の場合も同様ですが犬はレム睡眠が9割ほどを締めると言われています。
残りの一割がノンレム睡眠という深い眠りです。
つまりほとんどの時間は浅い眠りです。
これには先ほどの狩猟で生きていた頃の習性が関わっています。
そもそも狩りは夜行うと言っても、いつ獲物が出てくるかはわかりません。
時にはいきなり敵に襲われることもあったでしょう。
そんなときのためにすぐに飛び起きることができるようにと眠りが浅くなったのです。
その代わりに一回にたくさん睡眠をとるのではなく、何回かに分けて短い時間でこまめに眠るようになりました。
その結果、お昼から寝ているように見えるのです。
犬のお昼寝の理由を知ろう
犬がお昼から寝てしまうのにはこれらのような理由があります。
犬を飼っている皆さん、まだお昼だからと犬の睡眠を妨げていませんでしょうか。
犬がお昼から寝るのにはちゃんと理由がありますから、できる限り犬が寝やすい環境を整えてあげましょう。
人間と同じように犬に取っても睡眠とその質はとても大切です。