犬の愛好家の間で伝わる「犬の十戒」ですが、元は作者不明のまま伝わっている英文の詩で、日本では「犬の十戒」として知られています。

ノルウェーのブリーダーが飼い主に渡していた「お願い」が元となっているのです。

今回は、その内容と、そこに含まれる意味について公益社団法人日本愛玩動物協会の翻訳文章を基にご紹介します。

犬を飼う際の心がまえ

第一、第二と第三は犬を飼う際の心構えのようなことが書いてあります。

第一戒は、「私の生涯はだいたい10年から15年です。あなたと別れるのは何よりも辛いのです。私と暮らし始める前に、どうか別れのことを考えておいてください」

第二戒は、「あなたが私に望むことを理解するまでには、少し時間がかかります」

第三戒は、「私にとって一番大事なことは、あなたから信頼してもらえることです」

という内容になっていて、犬との良好な関係を築く際にベースとなる、まず心に留めておかなければならないことです。

別れを前提に思い描いておかなければというのは当然ですし、そらだからこそ一緒に暮らす時間が一層濃密なものになっていくのです。

また、最終的には人間同士以上に犬のことを信頼してあげることが、何事においてもベースになってきます。

実際の犬との生活について

第四、第五と第六までは、実際に犬を飼う際の接し方について書いてあります。

第四戒は、「私のことを長い時間叱ったり、罰として閉じ込めたりしないでください。あなたにはあなたの仕事や楽しみもあり、友達だっているでしょう。でも、私にとってはあなたが全てです」

第五戒は、「私にちゃんと話しかけてください。あなたの話している言葉の意味はわからなくても、話しかけてくれるあなたの声はよくわかるのです」

第六戒は、「あなたが私にどんなふうにしてくれたか、それを私は絶対に忘れません」

犬達はなのもわからないのではなく、色々なことをわかっているんだよ、ということを教えてくれています。

確かに、犬を置いて出かける時などは、寂しそうな顔をすることがありますし、こちらの会話を理解しているのかと思うこともよくあります。

事情があってペットホテルに預けなければいけない話などしているだけで、食欲が落ちたりすることもありますよね。

犬から飼い主へ、少しだけ説明

第七と第八は、犬から飼い主への自身の状況について説明するような内容になっています。

第七戒は、「私を叩いたりする前に、私はあなたを噛んだりしていないことを思い出してください―私の歯はあなたの手の骨をかみ砕くことぐらい簡単にできるのに」

第八戒は、「私が言うことを聞かないと怒る前に、何か原因があるのではないかと考えてみてください。食事はちゃんとしているか、かんかん照りの日なたに置き去りにしてないか、年を取って体が弱ってきていないか、と」となっています。

言葉を話せない犬ですから、色々なことを説明できないのは当たり前です。

こちらが十分に彼らのことを注意深く見守って行かなければならないです。

犬は我慢強い動物ですから、はっきりと体調の不良がわかるときにはかなり悪くなっているということも考えらえます。

普段から十分に接することで、彼等との時間を少しでも長くすることができると思います。

犬との生活の最後について

そして、第九と第十では、犬との生活の最後、別れについて書いてあります。

第九戒は、「私が年を取ったら、どうか優しく世話をしてください。あなただって、年老いたら同じようにそうなるのですから」

第十戒は、「私が旅立つその時を安らかに迎えられるように、どうか最期まで一緒にいてください。「可哀想で見ていられない」なんて言わないで、私を独りぼっちで逝かせたりしないで欲しいのです―だって、私はあなたが大好きなんですから」となっています。

勿論、別れはやってきます。

元々人間に比べれば短い時間しか生きられない彼等は、最後の時も急に訪れることがあります。

丸っこい本当に可愛い仔犬の時期を経て、やんちゃないたずら盛りがやってきて、そして成熟した成犬となって落ち着いて時間がやってきます。

しかし、濃厚な時間を過ごす彼らに老いは急にやってきます。

足腰が弱ったり目や歯や耳が悪くなり、例えば粗相をしたりとか今までできていたことが色々できなくなったりもします。

そして静かに眠っている時間が増えてきて最後を迎えることになりますが、例え、病気になったりしても彼らに残された時間はそんなに長くはありません。

ありのままの彼らを受け入れて、そして彼らと過ごした時間を振り返り、彼等に感謝しながら静かに寄り添っていてあげたいものです。

私たちが側にいることが何よりも彼等の喜びなのですから。

改めて愛犬の大切さを教えてくれる犬の十戒

なんだか改めて読み返すと、いつも涙が溢れてくるような思いがします。

そして、犬たちの瞳を見ているといつも語りかけてくれているような感じがしてしまいます。

犬を飼うことで、犠牲にしなければいけないこと等もあると思いますが、彼らが与えてくれることの大きさを改めて知らせてくれるような詩です。