紀州犬という言葉は、最近の日本犬ブームで一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
凛とした顔立ちに、堂々とした気構えが人気の正統派の日本犬です。
今日は紀州犬についてご紹介します。
紀州犬の特徴
紀州犬は体高がオスで約49~55cm、メスで約43~49cmになり、体重は約15~30kgと幅広くなっており、紀州犬の95%が白毛になっています。
残りの5%は胡麻、赤毛、虎毛、黒毛になっていて、昔に比べて今はほとんどが白毛になっています。
これは、イノシシ猟に出る際に白以外の毛色だと、間違えてしまうことがあるので白毛が主流になったからです。
メスはオスよりも一回り小柄で、性格もおとなしい犬が多いです。
紀州犬とはガッチリとした体格の中型犬で、鼻筋が通りピンとした三角耳の端正な顔立ちに、くるりと巻いたふさふさの巻き尾が特徴的です。
被毛は柔らかい毛と硬い毛からなる二重構造になっていて、寒い冬や暑い夏といった日本風土特有の様々な気候や気象条件から体を守ってくれています。
忍耐強く穏やかで忠実な性格
よく、気性が荒く凶暴、と印象を持たれる紀州犬ですが、本来はとても穏やかで忍耐強く、飼い主には忠誠心が強い犬種です。
とても勇敢な性格で、飼い主や家族に危険が迫ると命がけで守ろうとしてくれる、警戒心がとても強い犬なので番犬に適していますが、家族と判断した人には、人懐っこく甘えん坊な一面もあります。
とても頭の良い犬種で理解力がありますので、子犬の時からきちんとしつけをしてあげ、他の犬とのコミュニケーションを積極的にとると優秀な家庭犬になってくれます。
しつけをする際にも、しっかりと信頼関係を築き主従関係を明白にすることが大切です。
体力があるので運動はしっかりと
紀州犬はとても体力があり、走り回ることが大好きなので運動不足はストレスになります。
1日二回の散歩も1時間以上しっかりとしてあげることがポイントです。
自転車などと並走することも、紀州犬には良い運動になります。
運動後は体を濡れタオルなどでしっかりと拭いてやり、ブラッシングをしてあげると良いでしょう。
また紀州犬は、犬の親指に当たる狼爪を持つ子犬が生まれやすいので、感染症の予防から除去するためにも医療機関とよく相談しましょう。
紀州犬はきちんとしつけてあげると温厚で安全な犬種なのですが、一部の地域では紀州犬は危険犬種に指定されています。
その為、檻の中で飼育しないといけない場合がありますので、飼う前にはルールが無いかをきちんと確認しておきましょう。
紀州犬の値段は
紀州犬は平均約10万~15万円前後になり、血統やカラーによって値段が変わります。
ペットショップではあまり見かけない犬種ですので、もしも欲しいと思われた時には、日本犬保存会や紀州犬保存会といった保存団体に問いかけてみると良いでしょう。
ブリーダーから譲って貰う場合は、飼育されていた環境や親犬の様子をしっかりと確認し、こちらの質問にもきちんと答えてくれるような信頼の置けるブリーダーから譲ってもらうようにしましょう。
寿命は約14年
紀州犬の平均的な寿命は約14年前後になります。
これはだいたいの犬には当てはまる数字ですが、紀州犬もかかりやすい病気などがありますので注意が必要です。
まず日本犬に多いアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患です。
耳の辺りをよく痒がったり、毛が抜けてきたりするとアトピー性皮膚炎の可能性があります。
体や顔を地面に擦り付けたりと明らかに痒がる素振りを見せますので、そういう行動をした時には動物病院に行き痒み止めなどをもらうようにしましょう。
他にも、緑内障や白内障といった眼の疾患や、代謝がうまく行かずに毛が薄くなったり太ったりする内分泌性皮膚病の甲状腺機能低下症などもかかりやすい病気の一つです。
また、先天的に心室中隔欠損という心臓の奇形がある犬が稀にいますので、きちんと検査を行い重症化しないようにしてあげましょう。
いつもと様子がおかしい、違った行動を取るといった場合には、早期発見早期治療が鍵となりますので速やかに病院を受診するようにしましょう。
紀州発祥の天然記念物の犬種
紀州犬の歴史は古く、祖先は紀元前から日本にいた中型犬と言われており、逸話も残っています。
紀伊半島の和歌山、奈良、三重の三県で飼育されており、イノシシ猟に行くために品種固定されました。
イノシシ猟には、ハンターの代わりに紀州犬がイノシシを捕らえに行っていたと言われています。
那智犬、熊野犬、太地犬、奥吉野と各地で呼び名がありましたが、日本犬保存会に紀州犬と登録されたので、紀州犬が正式な呼び名となりました。
1934年には天然記念物に指定されています。
紀州犬は調和の取れた体と様々な魅力のある犬種
紀州犬はとても忠実で賢く、大切に飼ってあげると、飼い主のことを一番に考え、期待に答えてくれる犬種です。
白く美しい毛並みに凛とした表情は、とても魅力的で、洋犬とはまた違った可愛さを持ち合わせています。
紀州犬を家族に迎え入れると、従順で頼もしいパートナーになってくれるでしょう。