愛犬が普段人の事が好きだとしても、初対面の人にはうなって近付かないという行動も見受けられます。

この場合、犬の中ではどのような心境が考えられるのか、その心理をご紹介します。

「敵なのでは?」という心理

初対面の人にうなって近付かない行動の一番多い心理状態は、相手が敵かも知れないという警戒心の心理です。

自分が何かされるかもしれない、危険性があるかもしれない、そういった恐怖心がうなるという行動に繋がり、信頼出来ない為に近づきません。

特に小型犬などは、自分の体が小さいことから、警戒心が強いと言われています。

うなることで威嚇して、初対面の人が危害を加えてくる人かどうかを観察している状態と言えるでしょう。

危険性がない、敵ではないという信頼を得れれば、うなる行動もなくなり、自ら近付いてくるようにもなります。

初対面の人とはすぐに信頼関係を築くことが出来ない為に、初めは警戒していることが多いのです。

スキンシップをとったり、観察が終わるまでじっくりと時間をかけると、徐々に変化が見られるでしょう。

「自分の方が強い」というアピール

犬同士の間では上下関係を付けるものですが、相手が人間になっても上下関係を必要とする犬もいます。

初対面の人とは上限関係が成り立っていない状態のため、「自分の方が強い」「自分の方が上だ」という思いを、相手に示していると言えます。

野生の動物などにも見られる行動ですが、犬でもそうした本能が残っているケースがあります。

弱い立場に見られたくない、自分を下だと認識されたくないという思いが隠されている行動でしょう。

自分の強さを見せたり大きさを感じさせることで、相手が自分よりも下だと思わせる行動です。

人にはあまりない行動ですが、犬には上下関係を築く習慣がある為、こうした反応を見せている場合があります。

「飼い主を取らないで」という嫉妬心

初対面の人と言っても、飼い主にとっては見慣れた人だったり付き合いの多いケースだってあります。

そうした中でも初めて会う犬にとっては、自分の飼い主を取られたような気持ちになり、嫉妬してしまう犬もいます。

「私のご主人を取らないで」といった気持ちを、うなったり近付かないという行動に出ていると考えられます。

犬は従順で飼い主以外を認めようとしないことも多く、特に初対面の人はどういった人なのか分からない為、余計に不信感を持ちます。

また、自分の飼い主が危険な目にあってしまうのではないか、という心配からうなっているケースもあり、飼い主を守っている感覚でいる犬もいることでしょう。

飼い主と犬の信頼関係が強く、かなり愛情を持って飼われていることが分かります。

自分は危険なことはしない、飼い主とは友達ということを認識してもらえば、犬に安心感が現れるでしょう。

「何か臭いがする」と危険を察知している

初対面の人ということは、臭いもまた初めて嗅ぐもの。

初対面の人が動物を飼っている場合にはその動物の臭いを嗅ぎつけますし、お酒が好きな人であれば少なからずアルコールの臭いがします。

犬の嗅覚はものすごいものなので、どんな些細な臭いにも敏感。

目の前にある初対面の人の様子の裏にあるものを、臭いで分析し、危険を察知していることが考えられます。

他の犬の臭いがする、嗅いだことがない臭いがするといったように、自分が遭遇したことのない臭いと出会い、危険を感じてうなり、近付かないのかもしれません。

また、香水のような刺激の強い臭いもかなり反応を示します。

得体の知れない裏の存在に、危険を察知して不安を感じていることもあります。

何度も同じ臭いをかぐことで学習し、慣れてくるとうなったりしなくなることも。

安心できない何かがあるから、近づけないのでしょう。

「初対面はいじめてくる」というトラウマ

外で飼われている犬などは、見知らぬ人を見かけることも多くなります。

その時に小さい子に石を投げられたことがあったり、追いかけまわされたという記憶がある場合、初対面の人には特に警戒心が強くなります。

「この人は何をしてくるか分からない」「また同じようにいじめてくるかも」といった恐怖心を隠すため、うなって近付こうとしないのかもしれないのです。

外で飼われている犬は、常に飼い主が近くにいてくれる訳ではないので、守ってくれる存在がいません。

自分の身は自分で守らなければならないという思いが強いために、このような行動に至ったのかもしれません。

徐々に距離を縮めていく、という工夫が必要となるでしょう。

犬が自分から近づいてくることを待とう

初対面の人に対してだけうなってしまったり、近付こうとはしない行動には、これらの心理状態が考えられます。

犬自身の性格によって、その後すぐに慣れてしまう犬もいれば、何回も会わなければ警戒心がほどけないという犬もいます。

また置かれた環境によっても異なってくる為、一概に警戒心だけでうなっているとは言えないでしょう。

安心感を持たせること、危害を加えない人だということを把握出来た後、自然と心を開くのを待つのが良いでしょう。