犬が体や顔をスリスリする姿を見ると、なんだか可愛いと感じる方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
何か楽しげだなーとか、甘えてきてなんて可愛い子と思うのが、飼い主の気持ちです。
しかし、犬が体や顔をこすりつける気持ちは、本当に飼い主の気持ちと同じなのでしょうか。
その理由をご紹介します。
本能によるもの
ロングリードを使って公園で遊ばせている時、歩道や公園の芝生に体をこすりつける犬が多くいます。
体がかゆいのかな、じゃれているのかな、などと飼い主は考えがちですが、犬にとってこの行動は、飼い主の考えもしない全く違うものです。
犬はそもそも獲物を捕獲するという習性があります。
犬が地面に体をこすりつける行動は、犬が獲物を捕獲する時に、地面の臭いを自分自身の体に着けて自分の臭いを消すことにより獲物に気付かれにくくする、いわゆるカモフラージュするための行動です。
獲物を獲る必要など無いのにと、飼い主は考えますが、犬にとっては本能のままに自然に行う行動なので、優しく見守ってあげましょう。
自分自身の臭いを取り戻すため
シャンプーの後に、犬がソファーやいつも自分が遊んでいるタオルなどに体を押しつけるようにこすっていることが良くあります。
ドライヤーもしたし、もう体を拭かなくても大丈夫だよ、などと飼い主は考えます。
しかし、犬にとってはたいへん深刻な状況から起こす行動です。
犬の嗅覚は人間より何万倍も優れているということはよく知られていることです。
人間にとって良い香りのするシャンプーは、犬にとっては刺激の強い異臭に過ぎません。
嗅覚が優れた犬にとっては一大事です。
自分の体に着いた異臭を消して、本来の自分の臭いを取り戻そうとするため、いつも自分がいる場所に体をこすりつけているのです。
はこの行動を、せっかくシャンプーしたのにと考えず、犬が安心して生活するための行動であることを理解してあげましょう。
飼い主とのスキンシップ
犬が顔や脇腹を飼い主に体を寄せてすりつけることは、飼い主にとって犬のことがいっそう可愛く思える時間です。
犬にとってもこの時間は、やはり安心する時間です。
飼い主に自分の体を触れさせることは、犬にとって飼い主に信頼して欲しいと考えています。
甘えているという見方もありますが、甘えているというよりも、お互いの信頼感の確認である意味合いが大きいです。
したがって、飼い主も犬の気持ちを理解してあげて、体を撫でてあげること、声をかけてあげることを行うことで、犬への信頼感を伝えてあげることが大切になります。
飼い主を見下している
飼い主やその他の人が寝そべっていたりすると、顔や頭に、犬が体をすりつけてくることがあります。
遊んで欲しくて甘えてるのかな、と飼い主は考えますが、実はこれは飼い主に重大な欠点があります。
犬は、自分より目下の存在、いわゆる子分に、自分の体の臭いを着ける習性があります。
相手が自分に従うことの証として、自分の体の臭いを着けるという習性があります。
これを飼い主にしているとなると、これは深刻な状況と考えるべきです。
犬が人を見下している証拠なので、飼い主の犬の飼い方、しつけに問題があります。
普段の何気ない飼い主の行動が、犬にとっては見下す理由になります。
もう一度しつけについて考え直した方が良いでしょう。
目の病気にかかっている
犬がカーテンや壁に顔をこすりつけるような仕草には注意が必要です。
併せて手で目をこするような仕草がある場合もあるので、よく観察してください。
犬は目に異常を感じた時に、顔全体を何かにこすりつける習性があります。
主に、結膜炎、ウイルス性または寄生虫によるアレルギー反応が起こっている可能性が考えられます。
目に異物が入っている場合は、しばらく時間が経つと行動が収まることがありますが、長く続く時には獣医さんに診てもらった方が良いでしょう。
また、重傷である場合、角膜炎を起こしていることもあります。
シャンプーの後や散歩の後に顔を床にこすりつけるような行動を見せたら注意してください。
耳の病気にかかっている
犬が首を床や壁にすりつける行動をする場合、耳が聞こえにくくなっている可能性があります。
主にアレルギー反応や細菌、耳に水が入ってしまった時に起こる外耳炎にかかっていることが考えられます。
そのような仕草を見せたら、耳の中の色が赤くなっていないか、耳の臭いが普段と違う臭いになっていないか、首の周りを触って痛がる仕草を見せないか、を確認して、異常があるようでしたら、獣医さんに診てもらいましょう。
犬は耳の病気にかかると、顔から首までに、主にかゆみと痛みを感じるようになります。
これが原因で顔や首をこすりつける行動を見せることが多くあります。
犬が体や顔をこすりつける理由を日頃の観察から見つけよう
犬が体や顔をこすりつけるには、何か必ず理由があります。
こすりつけられた飼い主は、甘えていてなんて可愛いのだろうなどと、飼い主主体に軽く考えず、犬は何かを訴えているのだと認識することが重要です。
また、糞に体をこすりつけたり、汚水に体を浸けたりするなどの行動にも、理由はあるにしても、ウイルスや細菌に感染する可能性が高くなるので、そのような行動を制してあげるしつけも必要です。
常日頃、犬の行動を観察しておき、顔や体をこすりつける仕草がいつもどおり、いつもと違うという見分けをできるようにしておくことが大切です。