犬のしっぽの動きには、その時の犬の感情や心理状態がよく出ると言われています。

嬉しくて喜んでいるときに、しっぽを立てて激しく振っている姿は、誰にでもぱっと思いつくのではないでしょうか。

こうしたしっぽの動きの中で、犬がしっぽを後ろ足の間に丸めこむようなことがあります。

では、このようなときというのは、犬はどのような心理状態にあるものなのでしょうか。

1.強い恐怖心を感じている

犬がしっぽを丸めて後ろ足の間に挟んでいるようなときは、かなり強い恐怖や不安を感じているときです。

簡単にいってしまえば犬が怯えているときですが、その恐怖心の大きさはちょっとやそっとではありません。

日頃見せる仕草や行動の中で、最大級の恐怖心の表れだと思ってよいでしょう。

恐怖を感じたときに取る犬の行動というのも、いくつかのパターンがあります。

歯を見せて唸ったり、体を低く構えて警戒するなど、状況によって異なるものです。

しかし、しっぽを丸めているようなときには、とりわけ強い恐怖心を感じている状態です。

例えば、仔犬が大きな音を立てる掃除機を見たときに、こうした仕草を取ることがあります。

もちろん、なかには「何者だ、こいつは?」と吠えたり攻撃してくるような犬もいたりします。

しかし、得体の知れない存在に、怖がって逃げ出してしまう犬もいるのです。

2.完全に降伏している

このようなしっぽの動きをよく見るのは、自分よりも強い犬に出会ったりするときに多いです。

強く吠えられたり、ちょっかいを出されて攻撃を受けたりしたときに見せたりします。

相手を畏怖したりするのを通り越して、「完全に降参です」という意味のポーズとして使うことがあります。

犬が「降参です」という気持ちを表すときに、お腹を見せたりすることもあります。

しかし、お腹を見せるというのは、気を許した信頼関係のある相手に見せる行動です。

しつけの最中などに見せたりすることがありますが、これとは違った意味合いがあります。

犬同士でこうしたポーズを見せるときは、「あなたのほうが強いです」と認めているときです。

犬ももともと野生動物ですから、当然ケンカや縄張り争いをすることもあります。

そうしたときに殺し合いのケンカをするのではなく、自分の弱さを認めて相手を立てているともいえます。

3.背中を丸めている

しっぽを丸めて足の間に挟んでいるときには、よく観察すると、腰が引けているような体勢になっていたりします。

背中を丸くして、いかにも怯えている姿が見て取れるでしょう。

心理状態の現れる行動としては、人間にもとてもわかりやすいものだといえます。

また、ぐっと後ろ足に力を入れて、強い緊張状態が続いている状態でもあります。

相手の目をじっと見て、これ以上攻撃してくる様子がないかを心配しているのかもしれません。

腰を引いて低く構え、いざというときにはすぐに逃げ出せるようにしているという可能性もあります。

よく相手に完敗して逃げるようにして去ることを、「しっぽを巻いて逃げる」と表現することがあります。

この表現は、この犬のしっぽを足の間に巻いて隠す仕草からきていると言われています。

古くからこうした仕草と心理状態は、広く知られていたのでしょうね。

4.肛門線を隠すため

犬はケンカをしたりするときに、非常に興奮してしまうことがあります。

遊びに夢中になったりするときにもそうですが、そうしたときは、しっぽをあげたりすることがあります。

気持ちの高ぶりというのは、しっぽの高さに現れることが多いのです。

しかし、しっぽを下げるようして、足の間に挟むというのは、もうひとつ別な意味があります。

犬の肛門には肛門腺というにおいを出す臭腺があります。

しっぽを足の間に挟むのは、この臭腺を隠すためだという風にも言われています。

犬はマーキングという行動に顕著に見られるように、自分の存在をにおいでアピールします。

そのため、自分のにおいというのは、人間でいうところの個人情報のようなものです。

自分の存在を小さく見せようと、臭腺を隠すようにしっぽを挟むとも考えられています。

5.予期せぬ行動を取ることも

ここまで紹介してきたように、しっぽを足の間に挟んだりしているときには、とても強い恐怖心を感じています。

また、極度の緊張状態が続き、ストレスがかかっているという状態でもあります。

そのため、咄嗟に攻撃的な行動に出たり、予期せぬ行動をとることがあるんです。

よく体の小さな犬が、近寄ってくる人に向かってこうした行動を取ることがあります。

これに気が付かずに、不用意に触ろうとすると激しく吠えたり、噛まれたりするようなことがあります。

飼い主はこうした仕草に注意を払い、落ち着かせたりする必要があるでしょう。

人間でも、ひどく怯えているときや、叱責されているときには心が緊張状態になります。

そういうときには、ちょっとした物音や刺激に過剰に反応したりするものです。

こうしたことには犬にも起こるので、しっかりと気持ちを察してあげることが大切です。

しっぽを丸めて足の間に挟む犬の心理を知ろう

このように、しっぽを丸めて足の間に挟んでいるようなときには、犬は強い不安や恐怖を感じています。

それと同時に、極度の緊張状態にあり、強いストレスを感じているときでもあります。

ですので、飼い主としては、早くその原因から遠ざけてあげるようにしたいものです。

また、このような状態に無理やり近付いたり刺激を与えることは、突発的な行動によってトラブルを起こすことがあるので、じゅうぶん注意しましょう。