犬が人間の膝の上に乗りたがるとき、そこにはどのような心理が働き、どういう気持ちでいるのでしょうか。
ただ愛嬌をふりまいて、飼い主を喜ばそうとしているわけではないのかもしれません。
膝の上を独占したがる犬の行動の裏側についてご紹介します。
自分の立場を示している
犬は主従関係の下で人間と暮らし、立場や相手との優劣を考えながら生活をしています。
飼い主はそれを理解して、しつけとお世話をしなくてはなりません。
正しい主従関係が結ばれているのならいいですが、ときどき犬は自分の方が人間より優位であると考えてしまいます。
それを示すために、相手の膝の上に乗ることがあります。
膝の上で自由に動いたり、眠ったりすることで、自分が立場上偉いのだと誇示しているのでしょう。
飼い主の横にくっついたり、少し遠い位置で大人しくしているなら、そこには正しい主従関係が存在するといえます。
やたらと膝の上に乗ってくる行動は一見かわいらしく思えますが、犬の心にはちょっと油断ならない考え方が芽生えているのかもしれません。
甘えたい気持ちのアピール
犬は相手との適切な距離を見定め、近づき過ぎないでコミュニケーションを取ることができる動物です。
しかし子犬の頃はまだまだ上手な距離感を掴めず、とにかく甘えたいという欲求のままに行動することがあります。
飼い主の膝の上に乗って、全身を預けるような仕草を見るなら、まだ子供の感覚が残っている証なのかもしれません。
相手の都合よりも、とにかく自分をかまってほしい。
そういったわがままな理由だけで通用する子犬時代を、未だに引きずっているのでしょう。
まだ犬が小さいのなら、甘えたいアピールをそのまま受け入れてあげてください。
冷たく突き放すよりかは、きちんと愛情を持って接する方が、犬の豊かな感情を育む助けになります。
けれどただ甘やかすだけでなく、しつけと両立させる工夫も必要です。
子犬のうちから主従関係を確立させておかなければ、膝に乗るという行動の意味が、少しずつ変わっていってしまうでしょう。
幼い頃の習慣
犬は離乳期に母親の口元を舐め、食事を催促するような行動を見せることがあります。
それは甘える気持ちや立場を示す行動とはもちろん関係がなく、本能にそった動きの一つです。
そんな子犬の頃の感覚が、大人になって飼い主の膝に乗るという行動に変化することがあります。
膝の上から顔や口元を舐めるようなら、子犬の感覚が濃く残っているのかもしれません。
犬からしたら自然とやってしまう行動なので、深く考えずに飼い主や来客者の膝を占領してしまいます。
飼い主からしたら可愛い行動でも、他人からすれば迷惑になることもあるでしょう。
簡単に膝に上がらせるばかりではなく、ときには叱って落ちつかせるようにしつけるといいですね。
一人遊びができない
子犬の時期を過ぎたのにいつまでも飼い主にべったりで、膝の上にも頻繁に乗ってくるようなら、犬は上手に一人で遊ぶことができないのかもしれません。
通常犬は成長するにつれて少しずつ落ち着きを持ち、一人で過ごす時間を多く取るようになります。
散歩や挨拶などの接点は大切にしますが、ずっと飼い主に付きっきりというわけではなくなるものです。
膝の上に乗りたがるのは、その子の性格もありますが、一人でいることに不安や退屈を感じている可能性があります。
生活していれば、どうしても犬と離れる時間ができるでしょう。
その間に一人で遊ぶ術を持たないと、犬はストレスを覚えるかもしれません。
犬が一人でも安心できる環境を考え、玩具やクッションなどで一人でも居心地のいい住処を作ってあげるといいでしょう。
日々の行動で、飼い主としての威厳を示す
膝に乗る犬の心理はときに複雑で、それでいて単純でもあります。
膝の上に乗ること全てが悪いわけではなく、そこで間違った主従関係を示し、わがままな要求をするようになることが問題です。
日々しつけが施され、飼い主としての威厳が保たれているのなら、例え膝の上に乗ってきたとしても、それは犬とのコミュニケーションの一つになります。
散歩中に飼い主の命令を聞いているか、叱ったときは素直に従うか、そういった毎日の行動を観察して犬が飼い主のことをどう思っているのか知りましょう。
正しい主従関係の構築は、犬のためにも重要な要素です。
大切だからこそときには厳しく、犬に威厳を示すように心がけましょう。
特に子犬のうちから強固な関係を築いておけば、犬は問題なく育ち、純粋な気持ちで膝の上に乗ってくれるようになるはずです。
本当の意味を見抜くためにも、客観的な視点を持つ
犬の行動から心理を見抜くことは難しく、いくら手慣れた飼い主でもときには間違います。
常に客観的な視点を持ち、どれだけ犬のために時間をかけてあげられるかが重要になるのでしょう。
犬が膝の上に乗るとき、頭の中でどんなことを考えているのかを想像してみてください。
そうして日々を過ごすことで、やがて少しずつ本当の理由が見えてくるかもしれません。