人懐っこい犬は、飼い主さんをペロペロと舐めてきます。
犬を飼ったことがある方ならば経験したことがあるとは思いますが、犬はとにかく飼い主さんをペロペロするのが大好きです。
実はこの「舐める」という行為は、場所によってその意味合いが違ってくることをご存知でしょうか。
飼い犬が何を思ってそこを舐めてくるのか、場所ごとの意味をご紹介します。
口を舐めるのは敬意や甘えの表れ
犬が舐めてくる場所として、恐らく一番多いのは「口」です。
犬が飼い主の口を舐めてくる理由には諸説あります。
まず最初に考えられるのは「上位の者に対する挨拶」です。
犬の祖先にあたる狼は、群れの下位の者が、上位の者の口を舐める事によって敬意や好意を表します。
犬が飼い主さんの口を舐めるのは、その時の名残だと言われています。
次に考えられるのが「ご飯を強請っている」為です。
子犬は母犬の口を舐める事で食事を催促するという習慣があり、飼い主を母親と見なしている為に同様な行動をすると言われています。
何れにせよ、犬が飼い主さんの口を舐めてくる場合は、飼い主さんへの愛情表現や敬意、甘えを意味する場合が多いです。
手を舐めるのは遊んでほしい
手は口同様に、犬が舐めてくる場所としては特に多いでしょう。
犬が手を舐める理由として最も考えられるのが「遊んでほしくて催促している」事です。
手は頭を撫でたり、お腹を撫でたりと、犬に最もよく触れる部分です。
ですので、犬にとって飼い主さんの「手」は非常に愛着深い個所と言えます。
飼い犬が飼い主の手を舐める場合は、遊んでほしい、撫でてほしいと催促していると考えられます。
また他にも、手を舐めるのは「安心している」という意味もあります。
人間の子供が、お気に入りにぬいぐるみを抱きしめると安心するのと同じように、犬も飼い主さんの手を舐める事で安心しているのではないかとも考えられます。
犬は初対面の人間の手を舐める事で、その相手を分析すると言われていますので、犬にとって「人間の手」とは重要な個所なのかもしれません。
鼻や耳を舐めるのはしょっぱいから
多くの場合、犬は口や手を舐める事が多い様ですが、鼻や耳などの特定の部分を舐めてくることもあります。
基本的に犬が飼い主さんの顔を舐めてくる場合は「飼い主への甘えや愛情」をします場合が多いですが、鼻や耳などの特定の部分を良く舐めてくるようならば、別の理由も考えられます。
飼い犬が鼻を舐めてくる場合「鼻の粘膜や鼻水を舐める」為だとも言われます。
犬を初めとする動物は、塩分やしょっぱいものが大好きです。
鼻水や粘膜は塩辛いですから、それを味わいたくて舐めている、のではないかと考えられます。
耳も同様に皮脂や垢が溜まりやすい個所ですので、耳を舐める場合も同様だと思われます。
足を舐めるのは臭うから
顔や手の他にも、足を舐める犬も多く見られます。
飼い犬が足を舐めるのは、手と同様に遊んでほしい時にじゃれてくる場合が多いです。
特に足は手よりも皮脂や汚れが付き易い個所ですので、その臭いに惹かれて舐めてくるのではないかとも言われています。
犬が飼い主の靴下を好むのは皮脂や汗の臭いが強いからなので、足を舐めるのも、それと同様の理由からなのかもしれませんね。
また上記しましたが、犬は塩辛いものが大好きです。
足の他にも、脇などの汗をかきやすい個所は特に舐めてくることがあります。
放っておくと癖になり易いので、止めさせる様にした方が無難です。
腕や脚などを舐めるのはストレスが酷いから
手や足でなく、腕や脚(太腿・脹脛)を舐めてくる犬もいます。
こういった場合は、じゃれている事もありますが「常同行動」という、ストレスからくる異常行動の可能性もあります。
常同行動とは、言ってしまえば「犬のノイローゼ」の事です。
運動不足やあまり構ってくれないストレスから起こる現象だと言われています。
常同行動の場合は特定の部位だけを、ひたすらに長時間舐め続けることが多いので、普段からよく観察するようにしてあげましょう。
常同行動には舐める以外にも、噛む、引掻く、クルクル回る等の行動をひたすら繰り返す場合もあるので、心配な様でしたら、一度専門家に相談してみる事をオススメします。
舐めてくる犬の気持ちに応えてあげよう
犬にとって「舐める」という行為は、非常に日常的に行われる行為であり、人間でいえば挨拶に近いものがあります。
言い換えれば、犬は色々なものを舐めているので、衛生面から言えばあまり舐められるのは良くないでしょう。
また犬の75%は口腔内に「パスツレラ菌」という細菌を持っており、この細菌は人間にも感染する怖い細菌です。
パスツレラ菌は粘膜や傷口から感染する為、顔や口などを舐められると感染のリスクが高まります。
飼い犬が飼い主の顔を舐めている光景は微笑ましいかもしれませんが、こういった病気の感染を防ぐためにも、舐められるのは程々にしておく様にしましょう。