犬が持つ臭いを嗅ぐ習性は広く知られています。
子犬の時は、とにかく顔の前にあるものの臭いはなんでも嗅いでみて、何かを確認している仕草が可愛いものです。
成犬になっても外出から帰ってきた飼い主の臭いを嗅いでみたり、来客者の臭いを嗅いでみたりすることがあります。
そんな犬が臭いを嗅ぐ理由と、嗅ぐ場所にどのような意味があるのかをご紹介します。
犬は相手を知りたがっている
犬は、臭いで相手のことを知ろうとします。
臭いを知る方法として、舐めることが伴うことがほとんどです。
臭いを嗅ぐことで何がわかるのかは人間に全てを知る由もないのですが、一説では、相手の性別と年齢を知ることができ、特有の臭いを感じて相手を覚えられると言われています。
また、相手に付いている臭いで、どこから来たのか、何を持っていたのかなど、相手の行動に察しをつけることが出来ます。
犬同士のコミュニケーションとしても、相手の臭いを嗅ぐことがきっかけになります。
犬同士の場合は特にお尻の臭いを嗅ぐことで、相手を知ろうとします。
そして、お尻の臭いを嗅がせてくれる相手とは仲良し、嗅がせてくれない相手とは不仲、という認識を持つのです。
この様に犬は、相手を知るためのコミュニケーションの一つとして臭いを嗅ぐのです。
口の臭いを嗅ぐ
犬は、顔、特に口元の臭いを嗅ぐことがあります。
口元には相手が食べたものの臭いがします。
相手がごはんを食べたばかりならば、相手の口元からは食べ物の臭いがします。
犬はそれを知ることで、相手から自分にもごはんが与えてもらえると認識します。
犬は、子犬の時に母犬が一度咀嚼して柔らかくしたものを食べることがあります。
それを本能的に記憶していて、成犬になってもごはんをくれる飼い主の口元の臭いを嗅いでごはんを食べることができるかどうか確認します。
また、犬の習性として口元の臭いを嗅ぎ舐めることは、相手に対して自分は格下であることを表現する方法のひとつとなっています。
したがって、犬が口元の臭いを嗅ぐのは、自分はあなたに服従します、だからごはんを与えてください、という表現になります。
手の臭いを嗅ぐ
犬が手の臭いを嗅ぐのは、相手が自分に対して敵意を持っているかどうかを知ろうとしている時です。
相手が手の臭いを嗅がせてくれる存在である場合犬は、相手に敵意がなく自分に危害を加えないことを知ります。
そして多くの場合相手の手を舐め、自分が相手に服従しますという合図をします。
犬を怖がる人は、犬に手の臭いを嗅がせようとはしません。
手の臭いを嗅がせてもらえないと察知した犬は、その相手は友好的ではないと判断し、相手に近づこうとせず警戒心を高めます。
臆病な犬や、警戒心の強い犬には、まず手の臭いを嗅がせてあげることで、犬を安心させて落ち着かせることができます。
ただし、噛み癖のある犬には注意は必要です。
足の臭いを嗅ぐ
犬は、足の臭いで相手のことを知ろうとします。
犬は嗅覚が優れていることに対して、視覚はそれほど優れていません。
そのため、なんでも臭いを嗅ぐところから始まります。
足の臭いを嗅ぐのは、相手が自分の知っている人かどうかを確認しています。
一度でも嗅いだことのある足の臭いであれば知っている人、嗅いだことがない臭いならば初対面の人で、どんなところを歩いてきたか、自分の知っている場所から来たのか、などを調べています。
飼い主の履いていた靴下をおもちゃにしてしまう犬が多くいます。
これは犬にとって靴下が、知っている人の臭いがする安心させられるアイテムだからです。
股間・お尻の臭いを嗅ぐ
犬は、犬同士のコミュニケーションとしてお尻の臭いを嗅ぎ合います。
これと同様に人に対しても同じ思いで、股間の臭いを嗅ぐのです。
犬はその相手を知り、覚えるために特有の臭いを感じます。
そして臭いを嗅ぐ行動によって相手との友好と信頼を深めようとします。
一説には、雄犬は女性の股間に雌犬が持つ特有の臭いを感じて、臭いを嗅ぐというようなことも言われています。
否定はできないものの、やはり単なる挨拶として臭いを嗅いでいるだけであると考える方が自然です。
なぜならば、女性だけでなく男性に対しても同じ行動を示す犬が多いからです。
また、犬が股間やお尻の臭いを嗅ぐという行動は、相手に服従しますという意味も含まれています。
飼い主の臭いを嗅いだり、可愛がってくれると知っている人の臭いを嗅ぐのは、しつけられている犬であれば当然の行動です。
視覚より嗅覚が発達していることが理由
犬は、視覚が比較的劣性なのに対して、嗅覚が圧倒的に発達しています。
人間であれば目で見ることで相手が誰なのか、どのような状態なのかを知るところを、犬は臭いを嗅いでそれを知るのです。
また、臭いを嗅ぐということは、相手に対する挨拶、コミュニケーションのきっかけ、友好の印であることが特徴的で、そのことが敵意を示すことは皆無です。
犬に臭いを嗅がれるということは、実は光栄なことなのです。