犬が地面を掘る心理や理由

犬が地面を掘ろうとする。

犬を飼っているとよく見掛けるシーンです。

しかし、何も持っていないのに、そこは地面ではないのに掘り出す、飼い主からすると疑問な部分もありますよね。

そこには一体どんな心理が隠されているのでしょうか。

寝床の確保をしたい

犬は今からここで寝る、と決めるとなぜかまずそこ前足で掘りだします。

そこが、ソファの上だろうと、カーペットの上だろうとです。

そしてしばらくすると満足したようにその上で寝そべります。

屋外で生活する犬は、もちろん地面の土を掘って、その上に寝そべります。

これには気温が関係していて、屋外で生活している犬等は特にですが、地面の土の中は表面よりもひんやりしている、温度が低いということを犬は本能で知っており、より快適な寝床を確保する為に掘っている訳です。

では屋内で生活している犬達は一年中空調の効いた快適な部屋にいるにも関わらず、どうして掘る動作をして寝そべるのでしょうか。

これもまた同じ理由の本能です。

掘っても冷たくはないのですが、掘ってからそこで寝る、ということで満足するためです。

ですが、ソファやカーペットを掘るという行動は飼い主としては是非止めたいところです。

大事な物を隠したい

子供にお気に入りのおもちゃがあるように、犬にだってお気に入りのおもちゃやおやつがあります。

いつでも好きなだけ遊んだり食べたりできるならば犬としても安心ですが、そういう訳にはいきません。

飼い主は散らかったおもちゃは片付けたいですし、おやつも肥満防止で与え過ぎまいと片付けます。

犬は、取り上げられてなるものか、と思い、大事なそれらを隠そうとするのです。

地面を掘って穴を作り、その中に大事なおもちゃやおやつを入れ、掘った穴をまた埋めます。

飼い主から見ればその穴は丸わかりである場合が多いのですが、とりあえず犬は一安心です。

ですが犬も飼い主もすっかり忘れていて、後から犬小屋や木の根元からわんさかおもちゃやおやつが出てきた、なんてこともよくある話です。

屋内で生活している犬は掘って隠すことが出来ない為、また掘る仕草だけになりますが、ベッドの下やソファの下、家具の裏等、目に付きにくい所にこっそり隠していたりします。

大事な物を隠したい、という可愛い本能です。

何かを見付けた

先程の隠したい本能とは逆の本能行動です。

犬は鼻がよく効くというのは誰もが知る話ですが、とにかく犬は終始どこかを嗅ぎまわっています。

部屋の中でも、散歩の時でも、寝る時以外は常に嗅いでいます。

臭いで色んな情報を得て、確認しているのですが、その時に興味を魅かれる臭いに遭遇することがあります。

何の臭いだろう、知りたい。と犬が思ったら、掘り始めます。

そこに埋まっている何かを掘り出す為にです。

事前に隠したおもちゃやおやつかもしれませんし、臭いの強い何かかもしれません。

飼い主にとっては掘り出して欲しくない物の場合もよくあります。

目的の物が出てきた場合は満足するでしょうし、なかなか出てこない時は根気よく掘っています。

屋内の場合は、犬の目線より下に臭いのある物(特に食べ物)を仕舞っておくと棚等を前足で掘られてしまうので要注意です。

狩猟本能

これは犬種にもよりますが、狩猟目的で改良され生まれた犬種等で見られる行動です。

ダックスフンド等はアナグマ狩り、ケアンテリア等は小石の隙間の小動物を狩る等の本能から、狭い隙間等を見付けると、いきなりそこらを掘りだします。

ものすごい勢いで掘りだしますので、これには飼い主も何事かと驚きますが、あまりにやられると床や家具、壁などに傷が付きますので、要注意です。

足先が不快

季節等によっては、指の間にダニがついて痒みが出たり、爪が伸びすぎて気持ち悪い等の理由で掘る仕草をすることもあります。

噛む仕草と掘る仕草、両方見られることもあります。

足先が不快で掘る仕草をする場合は、飼い主が声を掛けてもあまり反応しません。

一心不乱に掘っていたりします。

掘るというより、掻いている感覚なのかもしれません。

その場合は、犬がいったん落ち着いたら、足先を見てあげて、ダニ等がついていればもちろんですが、発疹や発赤が出ていたりすれば病院に連れて行ってあげましょう。

爪が伸びすぎている場合は適宜カットが必要です。

ストレス

犬はなかなか繊細な動物です。

飼い主に従順であるが故に、長時間離れた時の寂しさ、散歩が足りていない等運動不足、色々なストレスを紛らわせる為に掘るという行動に出る犬もいます。

こういう場合に掘るのは、カーミングシグナルと呼ばれる行為です。

この行動を見付けた場合はできるだけ早くストレスの原因を取り除いてあげましょう。

ただ掘るのが好きなだけ

犬は本来遊び好きです。

一度掘ってみたら予想外に楽しかったから、何ていう事もあります。

またその時に、飼い主が大騒ぎした場合、犬にとっては、飼い主の気を引けたんだと喜ばせてしまったかもしれません。

犬の掘ろうとする心理を知って対応していこう

こうして見てみると、犬の、掘るという行動にも色々な理由があるようです。

飼い主も、その理由がわかっていて頭にあると、今そこで掘っているのは何なのか。

それは叱るべきなのか、見守るべきなのか、見直すべきなのか。

ただ叱るだけではなく、飼い主側も掘られてもいいように色々と対策を取ってあげるのも大切です。

飼い主の心構えひとつで、大切な犬との生活がより良く変わってくるのではないでしょうか。