飼い主さんが外出先などから帰ってきたり、少し目を離した隙に、飼っている愛犬が壁をひっかいたり、かじったりしてしまい、ボロボロになってしまった経験、一度はあることかと思います。
それを目にした時、衝撃を覚えますし、飼い主さんのショックも大きいことでしょう。
壁を傷つけられると、ご自宅が持ち家でも賃貸でも、その後の処理にやはり困ってしまうものです。
では、なぜ犬は壁をひっかいたりかじったりしてしまうのでしょうか。
壁に興味がある
犬は自分が知らないものを知ろうとする、好奇心の強いいきものです。
自分のまわりにあるものを嗅いでみたり、それを実際に口にしてみたりして、それが食べられるものなのか、危険なものなのか、具体的にどんなものなのかを調べようとします。
まるで人間の赤ちゃんと同じですね。
ですのでこの場合、「壁」というもの自体に興味があり、それはどんなものなのかを調べていることになります。
試しにひっかいたり、かじったりして調べてみたら、壁紙が破けたり、ビリビリ音を立てたりしておもしろい、と犬は思います。
それから壁をいじるのがやみつきになって、何度もしてしまう子もいます。
主に見るものすべてが新鮮で、好奇心旺盛な、子犬に多く見られる行動です。
犬の歯が痒い
子犬であれば、初めて歯が生えてきていたり、乳歯から永久歯への生え変わりの時期にはどうしても歯が痒く、ものをよく噛むようになります。
子犬の甘噛みなどは、主に生えてくる歯が痒くて人の手を噛んだりしますよね。
それと同じように、壁をかじったりして痒い気持ちを紛らわせているのです。
他にも、犬は歯磨きのためになにかものをかじることがある、という例もあります。
その名残りもあります。
もし「歯が痒い」という理由が考えられる場合には、代わりに犬に固めのおもちゃを与えてやるなど、壁をかじる必要がないようにしてあげましょう。
犬の口が寂しい
犬が成長し落ち着いてくると、おもちゃで遊ぶことが少なくなり、置く必要がなくなったりしておもちゃを引き上げている、なんてことはありませんでしょうか。
他にも、いたずらをするからという理由で、犬が噛んで良いものがまわりにひとつもないこともあるのではないでしょうか。
普段落ち着いている子でも、ときどき口寂しくなり、なにかを口にしたくなることがあります。
そんなときに壁の噛みごごちや、壁紙を剥がすという新しい楽しさを一度知ってしまうと、癖になってしまうものです。
口が寂しいという理由が考えられる場合は、犬の様子を見ながらなにか噛みごたえのある犬用ガムや馬の蹄(ひづめ)など、食べられるものを与えてあげましょう。
これなら、おもちゃで遊ばない子も、気軽に噛んでくれるのではないでしょうか。
ただし与える際は、犬が誤ってそれらを喉に詰まらせないように、様子を見ながらにしましょう。
壁の向こうが気になる
犬は鼻が良いことで有名ですが、同じく耳もいい動物です。
人間では到底聞こえないような小さな音も、犬には良く聞こえます。
壁の向こうからなにか聞こえてくる…そうなると気になってしまうのは犬だって同じです。
向こうから聞こえる人の話し声だったり、家電のモーターが動く音だったり、テレビの電波音だったりが「この音は一体なんなんだろう」と不思議でしょうがないのです。
これは考えたくないことですが、壁の向こうになにかネズミなどの生き物がいる気配だったりも犬は容易に感じ取ったりもします。
その正体を突き止めるために壁をひっかいたり、かじったりしているなんてことも考えられます。
犬にストレスがたまっている
普段の生活の中で、長時間の留守番や運動不足などでイライラしてしまい、犬にストレスがたまっていることも考えられます。
この場合、ストレスを発散するために壁をかじってしまったのでしょう。
犬は本来、狩りをする動物でしたので、走り回ったり、動いたりと、体を動かすことで体力を使います。
なのでずっと動かずにじっとしていると、有り余った体力に行き場がなくなり、どうしてもそわそわしてしまいます。
犬なりにどうにか気持ちを落ち着かせようと、挙げ句の果てにはものを壊してしまう、なんてこともあります。
運動不足が考えられるのであれば、いつもの散歩の時間を増やしたり、お気に入りのおもちゃで一緒に遊んであげたりしましょう。
体力を使わせて疲れさせるなどして、ストレス発散をしてあげるのも良いでしょう。
信頼する飼い主さんと遊ぶだけでも、犬は気持ちが満たされるものです。
犬が壁をかじるには意味がある
犬のひとつひとつの行動には、必ず意味があります。
壁をひっかいたり、かじったりするという行動にも、上記のような意味が含まれているのです。
一見問題と思われる行動も、理由が分かると、対処法も見えてきます。
犬からのメッセージを汲み取ることができれば、愛犬ともより深い絆ができます。
きちんと愛犬と向き合い、一緒に有意義な日々を過ごしましょう。