おうちでくつろいでいるときなどに、犬がそばに寄ってきてピタッとお尻をくっ付けてきたことはありませんか?
または、そばに来たのに何故か背中を向けて座るものだから、そっぽを向かれたようで寂しい気持ちになってしまったりしませんか。
実は、犬が私たちにお尻を向けるという行為には、犬なりの心理があります。
ここでは、そんな犬がお尻を向けてくるときの心理についてご紹介していきます。
犬にとってお尻とは
犬の急所というと「お腹」が真っ先に浮かぶと思いますが、お尻も犬にとっては重要な急所です。
後ろ足やお尻を傷つけられることは死を意味することです。
後ろ足やお尻が弱ってしまうと、自然の中で生きていくために必要な、敵から逃げることも獲物を捕まえることもできなくなってしまうからです。
そのうえ排泄や生殖行動にも支障をきたしますし、そうなれば病気にかかりやすくなり、子孫を残すことも難しいでしょう。
また、お尻は匂いを発する場所です。
犬同士の挨拶としてお尻の匂いをかぐという行為があります。
これはお尻から出ている匂いを確認し、相性を確かめていると同時にお尻を見せても良い相手=信頼できる相手かどうかを見極めているのです。
オスとメスでお見合いをするときにも、お尻の匂いをかいでお互いを気に入れば成功です。
つい人間と同じように考えて、お尻を向ける=そっぽを向く、失礼、といったイメージを持ってしまいがちですが、犬と人間ではお尻で伝えられることに違いがあるのですね。
信頼しているからお尻を向ける
とても重要な場所であるお尻を向けるのですから、これは相手のことをよほど信頼していないとできない行為ですよね。
お尻をくっつけて座ることで、「飼い主さんを信頼していますよ」というメッセージを送っているのです。
また、犬は本来群れで生活しているため、チームワークとしてお尻をくっ付ける習性があります。
どこから敵が来てもいち早く察知するために、群れ全体の視界を広くする方法としてお尻をくっ付けあって周囲を見渡すようにしています。
サルの群れでも同じように、お尻をくっ付けあって辺りを見渡している光景を見かけます。
もちろん現代では家で飼われているので敵から身を守る必要はありませんが、信頼の証としてお尻をくっ付けるという行為は受け継がれているのですね。
落ち着いてほしい
お尻や背中を相手に向ける行為にはもう一つ、相手に落ち着いてもらうためという意味があります。
まず自分が落ち着いて「私はあなたを信頼しています」という姿勢を示すことで、相手にも落ち着いてもらうのですね。
私たち人間も、相手がリラックスしている姿を見ることで自分も緊張がほぐれる経験をしたことがあると思います。
また、先述の群れで生活していくための知恵としてお尻をくっ付け、視界を広げるということにも繋がりますが、「こっちは私が見ていてあげるから、安心していいよ」というメッセージでもあります。
飼い主さんが、何かドキドキするようなことに意識が向いていたり、集中して作業したりしているときに、犬がお尻をくっ付けてきた。
それは、飼い主さんが安心して自分のことに集中できるよう、背中を守ってくれているのですね。
撫でてほしい
大好きな飼い主さんに撫でてほしくて、お尻を向けているということも考えられます。
実は、背中や尻尾の付け根辺りは犬がとても気持ちいいと感じるポイントで、撫でられるのが大好きなんです。
なかには少し撫でただけで、もっともっと。
とグイグイお尻を押し付けてくる子もいます。
もちろん、お尻もお腹と同じく急所なので基本的に信頼している相手以外に向けることはありません。
お尻をくっ付けて、振り返って飼い主さんの顔を見ていたら、それは信頼している飼い主さんに甘えたくて背中やお尻を撫でてもらおうと自らアピールしています。
気持ちいいけれど大切な場所ですから、やさしく撫でて愛情を伝えてあげるといいですね。
匂いを付けたい
犬のマーキング方法には、オシッコを掛けること以外にもいくつかの種類があります。
身体を擦りつけることで相手の匂いを自分に移したり、反対に自分の匂いを相手に移すこともあります。
大好きな飼い主さんにお尻をくっ付けるということは、愛情表現であることも考えられますね。
犬にとって匂いは重要です。
もし、犬が飼い主さんの身体やお尻に自分のお尻を擦りつけるような動きをしていたら、自分と飼い主さんの匂いを同じにして絆を深めているのでしょう。
また、犬は飼い主さんを信頼できるリーダーとして認めています。
そんなリーダーと同じ匂いをさせていれば、周りの犬達に「自分は信頼できるリーダーと暮らしているんだよ」とアピールすることにも繋がります。
犬がなぜお尻を向けてくるのかを知ろう
犬にとってお尻は急所であり、また、挨拶を交わすために重要な場所なんですね。
そんな場所をくっ付けてきてくれるということは、飼い主さんを信頼しているということです。
ときには、飼い主さんを安心させるためにお尻を向けることもあり、お尻を使ってさまざまなメッセージを伝えてくれています。
マーキングとしてお尻をくっ付けることもありますし、また、尻尾の付け根辺りは触られると気持ちよく、撫でてほしくてアピールしてくることも。
もし、犬がお尻を向けてくることに「嫌われているのかな?」と寂しい思いをしていたのなら、これからは存分に信頼の気持ちを受け取ってあげてくださいね。