犬を飼っていると、他の犬のお尻に向かい、臭いを嗅ぐような仕草を見ることがないでしょうか。

そのとき犬は何を考え、何のためにそんな行動をしているのでしょう。

犬が他の犬のお尻を嗅ぐ心理を知ることで、もっと犬が身近に感じられるかもしれませんよ。

犬同士のあいさつ

散歩や通院で犬同士が出会うとき、もちろんそこに信頼関係はありません。

お互いは言葉を交わすこともできず、ただ緊張感の中で睨みあうことになります。

しかしそんな状況が長く続けば、互いにストレスが溜まって疲弊してしまうでしょう。

そうならないように、犬たちはお互いのお尻を嗅ぎ合い、あいさつの代わりとしています。

飼い主のしつけがきちんとしている犬ほど、威嚇のために吠えたり、逃げ出したりすることはしません。

まずは相手を知り、自分を知ってもらうことが礼儀だとわかっているのでしょう。

あいさつは、犬の世界でも重要なマナーの一つです。

敵意がないことを相手に伝え、そして相手からも同じ気持ちをもらうことで、犬はそこに小さな友情を生みだすのでしょう。

相手の情報を知る

犬のお尻には肛門腺という器官があり、そこからは独特の臭いのする分泌液が出ています。

その臭いは犬の状態を詳細に表します。

犬の嗅覚があれば、その分泌液から性別や大まかな性格、体調の良し悪しまで知ることができます。

臭いは犬にとっては感情表現の一つでもあります。

まずお尻にある肛門腺を嗅ぐことで、その犬がどういう気持ちで自分に向かってきているのか、これから仲良くできるのかを判断します。

一度嗅いだ臭いは、犬の頭の中に保存され、また出会ったときに相手を識別するための情報となります。

犬がたくさん集まるような場所でも、以前に知り合った相手なら、お尻の臭いを嗅ぐことで見分けることができるのでしょう。

飼い犬が積極的に相手のお尻を嗅いでいるのなら、もしかしたら気の合う仲間を探しているのかもしれませんね。

順位をつけようとしている

犬は自分や周囲の生きものに順位をつけ、その結果によって態度を変えることがあります。

お尻の臭いを嗅ぐ行動にはあいさつと情報交換の他に、自分が相手よりも順位が高いと知らしめるために行っていることがあります。

基本的には、上位に位置する犬が下位の犬の臭いを嗅ぐと言われています。

初めてあった犬同士が、逃げるようにくるくると回りながら相手のお尻を嗅ぎ合っているのは、相手に弱みを見せたくない。

まずは自分が優位に立ちたいという気持ちの表れなのでしょう。

しかし犬同士に明確な優劣ができてしまうと、飼い主の間でいざこざが起きかねません。

また犬同士の仲が悪くなり、ケンカや怪我につながる可能性もあります。

普段から飼い主がしっかりと犬のしつけをして、あまり横柄な態度をとらせないように注意するといいでしょう。

敵か味方か判断する

お尻の臭いから相手の情報を探り、あいさつを交わすことで、犬は相手にとりあえずは敵対しないという意思を示します。

人間が握手すると、その間にはわずかでも親愛の情を感じることができるでしょう。

犬も似たような感覚で、お尻の臭いを嗅がせることが、その後の関係をスムーズに運ぶ一番の手段だと知っているのです。

自分はあなたの味方であると主張して、無用な敵を作らないようにする。

それが犬の処世術の一つなのでしょう。

ときどき人見知りの犬が、頑なにお尻を嗅がれることを拒否する場面を見かけます。

もちろん性格なのである程度は仕方がないことですが、余計なトラブルや散歩中の敵を作らないためにも、飼い主は犬に一歩踏み出す勇気を与えてあげてください。

犬は相手を尊重し、優しくできる生きものです。

必要のない敵対心は、お互いの関係にプラスになることはないでしょう。

人間に同じ行動をとることも

お尻の臭いを嗅ぐことが、犬同士のあいさつであることはわかりました。

しかし犬はときどき、人間にも同じような行動をとることがあります。

特に初対面の相手だと、執拗にお尻を追いかけ、なんとかして嗅ごうと頑張っている姿を見るかもしれません。

しかし犬はいたずら心や意地悪でやっているわけではなく、見知らぬ犬にやるように、人間相手でもお尻から情報を得ようとしています。

むやみに叱ったりせず、やんわりと人間相手には必要のないことであると教えてあげましょう。

下手に逃げたり騒いだりすると、犬は相手が喜んでいるのだと勘違いし、毎回同じ行動をとるようになります。

体の弱い人や女性相手には迷惑になる行為でもあるので、しっかりと管理してあげてください。

お尻を嗅ぐことで、犬は安心して過ごすことができる

犬にとって出会いとは、たくさんの楽しみと緊張を含んだイベントです。

知らない犬を相手にしたとき、犬は期待と不安を持ってそこにいます。

お尻の臭いを嗅ぐことは、そんな気持ちを相手に伝え、そして受け取るための大切なプロセスです。

犬が自主的に相手の犬に向かっていったなら、飼い主として優しく見守り、いい仲間が作れるように祈ってあげてください。