人間が咳をする時にまず考えるのは、「風邪を引いたのかな?」ということです。

咳って辛いですよね?原因を知り、正しく治療すれば楽にしてあげることができます。

犬が咳をした時には、どんな原因が考えられるのでしょうか?

1.ケンネルコフ

免疫が落ちている子犬で良くみられる感染症です。

ウイルスや細菌の感染が原因で咳やくしゃみ、鼻水などの症状を呈します。

ペットショップやブリーダーのところで感染し、新しいお家にお迎えされたなどで環境が変化したことでストレスがかかり、免疫が落ちることで発症してしまうことが多いです。

もし、同居に他の犬がいる場合、感染が広がってしまうことがあるため、隔離などの対応が必要になります。

混合ワクチンにはこのケンネルコフの原因となるウイルスが含まれているので、ワクチン接種を定期的に行うことも予防の一つになります。

もし、ワクチンを打っていない場合は必ずワクチンを打ちましょう。

子犬が咳をしている場合はこの感染症の可能性が高いので、まず病院に行ってしっかり治療をしてもらって下さい。

2.異物が食道に詰まっている

ものが床に落ちて、盗れると思って急いで犬が落ちたものを口に入れたり、ボールなどで遊んでいる時に勢い余ってそれを口に入れたりした際、飲み込んだものが食道に詰まることがあります。

大きさが小さいものであれば食道に詰まることはないですが、大きいものだと詰まる可能性はあります。

食道に詰まると、犬は吐き出そうと何度もえづきます。

それが飼い主さんから見ると咳をしているようにみえるかもしれません。

えづいているうちに食道から異物が出ればいいですが、出ない場合は病院での早急な対応が必要になります。

全身麻酔をかけて内視鏡で摘出を行ったり、内視鏡で摘出できない場合は開腹手術で異物を摘出したりしなければなりません。

こういった状況にならないために、床にものを極力落とさないようにすることや、飲み込む可能性があるような大きさのおもちゃでは遊ばないなどの工夫が必要です。

3.心不全による咳

チワワやシーズーなどが、シニア期になってから咳をし始めた場合は、心臓病による咳の可能性があります。

心臓が悪くても咳は出ます。

心臓病で心臓の大きさが大きくなると、大きくなった心臓が気管を圧迫することもあります。

進行した心臓病では、肺に負担がかかり肺に水がたまる「肺水腫」になったりすることで咳が出ます。

このように心臓病が原因で咳が出ている場合は、心臓病が結構進行している可能性が高いです。

気付かず、治療せずに放置していると、突然死をしてしまうこともあります。

心臓病が原因の咳の特徴は、朝方や寝る前に咳が出やすい傾向があります。

また、興奮した時に咳が出たり、疲れやすかったりします。

もう少し進行すると、寝ている時に呼吸がいつもより速くなったり、運動をするとすぐに息が切れたりします。

こういった症状が出た場合は、病院でしっかりとした検査をして、診断をすることをオススメします。

4.肺炎

肺に細菌やウイルス、真菌が感染することで肺炎になったり、唾液や食べ物が気管に入ることで誤嚥性肺炎になったりすると犬は咳をします。

肺炎になると一日を通して咳をすることが多いです。

感染が原因の肺炎の場合、抗生剤や気管支拡張剤や抗真菌薬を用いることで良くなります。

誤嚥性肺炎の場合、なぜ誤嚥をしてしまったのか、基礎疾患を探す必要があります。

巨大食道症などの吐き戻ししやすい病気が隠れていたりする場合が多いです。

誤嚥性肺炎だった場合、ご飯を立ったまま食べさせたり、ご飯をミートボール状にして飲み込ませたりする工夫が必要になることもあります。

時にこういった肺炎の場合、治療をしていても完治せず、慢性化することもあります。

その場合、お薬をずっと飲み続けたりする必要が出てくる可能性もあります。

5.気管虚脱

ヨークシャテリアやポメラニアン、マルチーズ、プードルなどの犬が太っている場合にみられることが多いです。

気管の一部が細くなることで咳が出ます。

気管虚脱の咳は特徴的で、ガチョウが鳴いているような咳をします。

進行すると呼吸状態が悪くなり、チアノーゼがみられることがあります。

治療法としては、まず肥満している場合はダイエットすることが第一です。

その上で、気管支拡張剤や去痰剤などを用います。

状況によっては手術が適応になる場合もあります。

気管虚脱は、レントゲン検査で診断できることが多いため、ガチョウのような咳をしている場合は病院に相談してみて下さい。

えづくような咳をする犬の原因とは

このように、犬が咳をするといっても、様々な原因があります。

「咳をしているから、風邪でも引いたのかな~」と様子を見ていると、症状が悪化することもあります。

咳には基本的に原因があります。

原因が分かれば、犬を咳の辛さから救ってあげることができます。