雷は多くの犬にとって恐怖の対象であり、生活において障害となりえるものです。
恐怖の裏にある理由を発見できなければ、犬はいつまでも雷を恐れて辛い思いをしてしまいます。
ときには冷静さを失い、震えてしまうほどの雷に対して、飼い主はどんな対処をしてあげられるでしょうか。
音や光だけが原因ではない
大きな音と激しい光が雷の特徴ですが、その神秘的ともいえる現象に恐怖を感じる犬はたくさんいます。
突然やってくる音や光にどうすることもできず、ただ右往左往している犬の姿を見ると、飼い主としては何とかしてあげたいと思いますよね。
しかし注意を向けるべきなのは、音や光だけではありません。
犬は気圧の変化や静電気などの刺激も感知し、雷と結びつけることによって恐怖を倍増させているかもしれないのです。
音や光を遮ったのに、恐怖を感じているようなら、そういう目や耳ではっきりと捉えることのできない現象に怯えているのでしょう。
雷が鳴っているときは、積極的に体に触れて犬の気を引くか、サンダーシャツを着せて静電気や圧力が犬の負担にならないように対策してください。
無防備な状態が犬を不安にする
突然、空からやってくる雷に、犬はなすすべがありません。
体を丸めていたり、逃げるように走り回ったりするようなら、犬は自分の体が雷に対してあまりに無防備であることに不安を覚えている可能性があります。
例え自分のテリトリーであっても、雷の前には無力であると考えてしまうと、より恐怖は大きくなってしまいます。
犬が少しでも安心して雷をやり過ごせるように、安心安全な空間を用意してあげましょう。
比較的静かで、暗くてせまい犬好みの場所があるなら、そこにタオルやブランケットなどを置いて、犬の特別スペースとして提供してあげます。
常に出入りを自由にしておいて、雷がきたらすぐに隠れられるようにしておきましょう。
いざというときの逃げ場所があるという安心感が、犬の気持ちを楽にしてくれます。
雷の回数を重ねるほどに恐怖は増す
犬は雷が来るたびに発生する音や光を覚え、雷が怖いものだと少しずつ学習します。
回数を重ねていけばその恐怖は膨れ上がり、やがて雷恐怖症となってしまいます。
犬の敏感な五感と賢い頭が、余計に雷という存在を大きくしているのでしょう。
雷に向かって過剰な反応を見せるようなら、早いうちから対処しないと克服が困難になるケースが多くあります。
雷の予報があった日などは、必ず飼い主が寄りそったり、大好きな遊びや好物を与えたりすることで、雷と恐怖のつながりを別の角度から遮断しましょう。
犬にとって雷の刺激よりも、もっと夢中になれるような何かがあれば、それが壁となって雷の恐怖が大きくなることを防いでくれます。
一度雷恐怖症となってしまった場合、夢中にさせようと思っても中々上手くいきません。
年齢の若いうちから対処と予防をしておくことで、雷シーズンでも気持ちよく暮らせるようになります。
雷の時には飼い主は常に落ちついているべき
雷は犬だけではなく、人間にとっても恐ろしいものです。
耳をふさぎ、おへそを守るために布団にもぐってしまうような人もいるかもしれません。
ですが犬の前で雷を怖がることは、犬の恐怖心を煽ってしまう結果になります。
犬は飼い主を信頼すると同時に、頼りになる存在であると認識しています。
そんな飼い主が雷を恐れていると知れば、犬はいざというときに頼れる存在を失ってしまい、最悪の場合はパニックに陥ってしまいます。
常に落ち着き、冷静に雷を迎え撃てるように、飼い主の方も心構えをしておく必要があります。
雷なんてちっとも怖くないという態度を見せることで、犬にもその気持ちが伝わり、安心感を覚えるでしょう。
犬の恐怖心を取り除くためには、まず飼い主が雷のことを学び、自分の中の恐怖を摘み取ることから始めるといいですね。
時間をかけて雷に慣れさせる
犬が雷を怖がる場合、脱感作療法を用いることで、その恐怖をやわらげることができるかもしれません。
脱感作療法とは雷の音を録音した音声を犬に聞かせ、小さな音から慣れさせていくという方法です。
小さな雷鳴の中で犬を褒めたり、ご褒美をあげたりすることで、犬は雷に対する恐怖よりも、喜びや楽しみを覚えます。
徐々に雷の音を大きくしていけば、やがて本物を相手にしても問題なく過ごせるようになるでしょう。
しかし訓練中に本当の雷が鳴ってしまったり、音量をいきなり上げすぎたりした場合は、犬の心に大きな負担をかけて逆効果となります。
雷のシーズン中や天気が悪い日は避け、犬が必要以上に怯えないよう気をつけてください。
ただ単純に雷の音を流しているだけで、犬が慣れるというわけではありません。
獣医やトレーナーと相談し、適切な訓練方法で臨むようにしましょう。
自然の脅威を一緒に乗り越えることで、信頼を強める
雷という存在を怖がることは、恥でも何でもありません。
犬が怯えているのに、そのままにしておく方が飼い主としてよっぽど恥になるでしょう。
犬が自然という脅威を相手にするには、飼い主の存在が絶対に必要なのです。
一緒に恐怖心を乗り越えることを考えて努力すれば、きっと犬との間にはより強い信頼関係が出来上がるでしょう。