犬をトリミングする際に「ヒゲをどうするか」が、意外と気になったりしませんか?

猫の場合はヒゲを絶対に切ってはいけない。と広く知られていますが、犬の場合は曖昧ですよね。

しかし、必要ないのならそもそも生えてきませんから、切らないほうが良いものです。

今回は犬のヒゲを切ってはいけない理由をご紹介します。

食事の際にヒゲが必要だから

昔のように狩猟のパートナーとしての役割から、ペットとして暮らすようになった昨今は犬のヒゲに感覚器官としての機能はほとんど残っていないとも言われています。

しかし、人間の家で暮らすようになってからもヒゲが活躍する機会は残っていて、その例が「食事」です。

犬のヒゲはマズルの左右と顎の下に生えています。

顎の下にヒゲが生えているのは、視界がさえぎられている顎の下に何があるか、どのようになっているのかを感知する必要があるからです。

強力な感覚器官である「鼻」のサポート的な役割ともいえますね。

そして、普段の生活において重要な「食事」は、器にフードが入った状態で与えられます。

顎の下にヒゲがあれば、フードに夢中になっていても器の縁に近づいていることを感知できますから、顎をぶつけることなく器の端っこにあるフードまでキレイに食べることが出来ますね。

そして、フードのこともヒゲを使って感知し、残っているフードを食べることが出来ます。

シニア犬になったときヒゲが必要だから

長生きしてシニアの域に入ってくると、人間もそうですが視覚や聴覚など五感が衰えてきます。

そうなってきたときにヒゲはかなり頼れる感覚器官となり、身の回りの状況を知る際に役立ちます。

また、目の病気などがある犬もヒゲは残しておかないと、シニア犬同様身の回りの状況を把握するときに不便になってしまいます。

猫がヒゲを使って平衡感覚を保ち、狭い場所に入るときにもヒゲで幅を測っているなどの知識が広く知られていますが、犬も猫ほど鋭くないけれどそういったヒゲの使い方ができます。

顔の他の毛よりもそこだけ太く長く、シッカリとした毛であるということは、それだけ重要であることの表れです。

周りの空気の状態やその変化、ヒゲに何か触れたことをすばやく察知するなど、目が見えづらい子にとってはハンデをカバーしてくれる大切な感覚器官なので、切らないようにしましょう。

目を守るため

昔の狩猟犬のように、藪の中へ入っていくことはずいぶん少なくなりましたが、草むらなどに興味を持って顔を突っ込んでいく犬は今でもいるでしょう。

そんな草むらに顔を突っ込むときにも、ヒゲの存在は役に立ちます。

草むらには葉っぱだけでなく木の枝や、あってほしくありませんがゴミなど色んな物が落ちています。

特に木の枝など尖っているものが目に当たると危ないので、犬はヒゲを使って顔の近くに何かがあるということを察知して避けることで、目の安全を守っているのです。

もし、ある日いきなりヒゲを切って短くしてしまったら、草むらを調べるのが好きな子は、かなりギリギリまで顔の周りにあるものに気付きにくくなってしまいます。

実験動画などがネットにアップされたりもしていますが、犬のヒゲをチョンチョンと軽く触っただけで、同じ側のまぶたがピクッと動いたり、パチッと目を閉じる動きをします。

飼い主さんが触っているんだと分かっていても、反射的に目を閉じるのですから、犬にとってヒゲは必要なものであるといえますね。

敏感なためヒゲを切るとストレスになる

犬のヒゲは顔の他の毛よりもかなりシッカリとした毛質をしていますよね。

そして、軽く触れたりするとキュゥゥ~っと前後に動いたりピクピクっとヒゲだけ器用に動かしたりします。

このことから、シッカリした毛質のヒゲの根元には同じく太い血管が走っていることが分かりますし、神経や筋肉も集まっていてヒゲとその周囲はかなり敏感だといえます。

また、脳の情報処理においてもヒゲやマズルから得られる情報は非常に多くて、ヒゲの1本1本にまで至っていると言われています。

犬にとって重要であり、脳の情報量を大幅に占めるほど敏感なヒゲの根元ですから、ちょっと触るだけで嫌がる子も多いでしょう。

先述したヒゲとまぶたの実験も、させてくれない子がいます。

触らせてくれたとしても、信頼している飼い主さんだからかもしれません。

そんな、ヒゲとその周囲が敏感であまり触られたくない犬にとっては、ヒゲのカットなどストレス以外の何ものでもありません。

警戒されたり、なかには驚いて噛み付かれたりする場合もあります。

ヒゲを触られるのを嫌がる犬は特に、ヒゲを切らないようにしましょう。

犬のヒゲを切ってはいけない理由を知ろう

古くから犬にとってヒゲは重要な感覚器官であり、根元には血管や神経が集まっていて敏感になっていますから、ヒゲを切られるとストレスになる犬もいます。

周囲の状況を察知し、目を守る役割もありますから、決して無駄なものではありません。

シニア期に入ったときは目や耳の衰えをカバーする役割を担う存在になります。

オシャレで切るのもいいですが、ある程度年齢を重ねてきたら、切らずに残しておいてあげましょう。