犬は本来、肉食動物ですので、生肉をあげることには様々なメリットがあります。

熱を加えれば壊れてしまう栄養素や酵素を摂取できたり、消化が良いため犬の消化器への負担が抑えられたりするのです。

ただ、生肉だからといって何でもあげて良いわけではありません。

そこで今回は、犬に生肉をあげる際の注意点をご紹介します。

スーパーで売られている生肉はダメ

まず生肉というと思い浮かぶのが、スーパーで売られている牛肉や豚肉、鶏肉です。

これを与えればOKだと思ってしまいますが、実はこれはNGです。

牛や豚、鳥肉は人間が食べるときでも火を通すことを前提にしています。

特に豚肉や鶏肉については、煮るなり焼くなりしっかりと火を通してからでないと食べることはできません。

犬は人間よりも消化機能が高くできていますが、それでも生で食べることを前提としていない肉をあげることは大きなリスクです。

お腹を壊して体調が悪化したり、消化器内に寄生虫が発生したりしてしまいます。

これではメリットが帳消し以下になってしまいます。

付け加えると、スーパーで販売されている肉にはホルモン剤や抗生物質が含まれているケースもあります。

これが犬の体に良い影響を与えないのは、言わずもがなですよね。

あげるべきは鹿肉と馬肉

では、どのような肉を与えたら良いのでしょうか。

それは鹿肉と馬肉です。

何故かと言えば、牛肉や豚肉に比べて寄生虫が潜んでいる可能性が低いからです。

これは体温が影響しています。

牛や豚は比較的体温が低いため、寄生虫が発生しやすいのです。

こうした動物の肉を生で食べると、犬の消化器に寄生虫が住み着いてしまう可能性が高いです。

人間が食べるときでもしっかりと火を通すことが推奨されているのは、そういう理由です。

これに対して、鹿と馬は比較的体温が高いため、寄生虫が発生しにくいとされています。

これならば寄生虫を心配しないで犬にあげることができるのではないでしょうか。

ただし、あくまで国産限定です。

鮮度などで問題のある輸入品は、避けるようにしましょう。

鹿肉と馬肉のメリット

最近は小型犬を中心に、室内を中心に飼われている犬も増えています。

こうした犬の問題点は、肥満になりやすいことです。

小型犬は体重の割にカロリーが必要とはいえ、運動量が不足していれば必然的に太ってしまいます。

そうした犬にとっての鹿肉の最大のメリットは「カロリーが低い」ことです。

牛の肩ロースが100グラム当たり316キロカロリー、豚の肩ロースが157キロカロリーなのに対し、鹿肉と馬肉は110キロカロリーしかありません。

これは脂肪分が少ないことが理由です。

牛の肩ロースが100グラムのうち26.1グラム、豚の肩ロースが7.8グラムなのに対し、鹿は1.5グラム、馬は2.5グラムしかありません。

脂質が多ければ必然的にカロリーは上がりますので、資質の少ない鹿肉が低カロリーになるのも頷けますよね。

付け加えればタンパク質は、牛の肩ロースが100グラム当たり16.5グラム、豚の肩ロースが19.7グラムなのに対し、鹿は22.3グラム、馬は20.1グラムもあるのです。

肉食動物である犬にとってタンパク質はなくてはならないものですので、カロリーが低めで効率的にタンパク質を摂取できる鹿肉や馬肉がいかに優れているのかがわかります。

また、ビタミンやミネラルの含有量が多いのもメリットです。

そもそも生肉をあげるメリットのひとつは、調理によって壊れる可能性のある栄養分が摂取できることですので、そうした成分が多い肉ならメリットも大きくなります。

例えば鉄分なら牛の肩ロースが100グラム当たり2.4ミリグラム、豚の肩ロースが1.1ミリグラムなのに対し、鹿肉は3.1ミリグラム、馬肉は4.3ミリグラムもあります。

これは大きな差と言って良いのではないでしょうか。

生肉の購入は専門店がオススメ

とはいえ、こうした肉をどこで購入すればいいのでしょうか。

一番良いのは専門店なのですが、地方ではそうした店がなかなかないケースもあるでしょう。

そうした場合はネットショップでも購入することができます。

最近は、犬や猫に生肉をあげたいという人も増えているため、こうした肉を販売しているショップもあります。

大型犬の口に合うブロックタイプや、高齢犬でも食べやすそうなミンチ肉など、いろいろな種類が揃っています。

付け加えると、最初にあげる時には軽く湯通しをしておくと食いつきが良くなるかもしれません。

最初に生肉をあげるときに、もしかしたら抵抗があるかもしれないので、最初は少し工夫が必要です。

生肉で犬を健康に

犬に生肉をあげることはいろいろなメリットがあります。

同時に生であるだけにデリケートで、注意点も多いのです。

こうした注意点をしっかりと守れば、愛犬もより健康になってくれるでしょう。