出汁を取ったあと、煮干しって残ってしまいますよね。
その煮干しを犬にあげたり、おやつ代わりに出汁用の煮干しをあげている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ですが、煮干しは犬にとって有益な食べ物なのでしょうか?
そしてあげるときの注意点などはあるのでしょうか?
犬に煮干しを食べさせても大丈夫?
煮干しは、イワシなどの魚を一度煮てから干したもので、出汁を取るためや、ときには具材として使うこともあります。
小型のカタクチイワシで作ったものがもっとも一般的ですが、マイワシやウルメイワシ、イワシ以外ではキビナゴ、アジ、サバ、トビウオも煮干しの材料になります。
煮干しの他に「焼干し」という商品もありますが、これは魚を炙ってから干したもので、基本的に煮干しと同じものと考えてかまいません。
ちなみに、干したイワシを出汁や具材として使う調理法は日本だけでなく世界中にあり、例えばアフリカでもポピュラーな食べ方です。
このように自然食品である煮干しは、犬にあげても基本的に心配のない食品です。
犬が摂りたい煮干しの栄養素・カルシウム
あげても大丈夫、というだけでなく、煮干しには犬が摂りたい栄養素がいくつも入っています。
そのひとつがカルシウムです。
人間にとっても、カルシウムは骨や歯を作るのに必須のミネラルですが、犬の場合は体を維持するためには非常に多くのカルシウムが必要で、実に人間の14から20倍ものカルシウムが必要と言われます。
ドッグフードの中には、タンパク質が中心でカルシウムなどのミネラルの含有量が不足しているものもありますから、その場合にはおやつに煮干しを取り入れると良いですね。
骨に含まれているカルシウムは吸収されづらいと言われますが、魚は身や皮などにもカルシウムが多いですから、そこは心配しなくても良いのではないでしょうか。
犬が摂りたい煮干しの栄養素・アミノ酸、ペプチド
煮干しにはイノシン酸がたっぷりと含まれています。
イノシン酸はアミノ酸の一種で、いわゆる「うまみ成分」です。
うまみ成分が豊富なので、煮干しはおみそ汁や料理の出汁として利用できるのです。
イノシン酸は体内に吸収されると、細胞を活性化させて新陳代謝を促す働きをします。
つまり、イノシン酸が充分に供給されていれば、細胞はいつも若々しい状態を保てるのです。
成長期はもちろん、老化予防の効果もあるため、しっかりと摂りたいアミノ酸です。
またイワシが原料の煮干しには、イワシペプチドが含まれています。
ペプチドは筋肉のタンパク質が加水分解されたときにできる物質。
タンパク質よりも消化・吸収が良いので、タンパク質の供給源としてもすぐれています。
また、血流の改善や脂肪燃焼効果もありますので、肥満が気になっている犬にはオススメです。
煮干しを摂るときの注意・塩分
このように、嬉しい栄養素が含まれている煮干しですが、獣医さんの中には「煮干しを犬にあげるのはあまりオススメしません」という方もいらっしゃいます。
その理由のひとつが、塩分です。
確かに、出汁用の煮干しは塩分が高めで、100gあたり4.3gが含まれています。
ちなみに塩鮭は1.8g、生のイワシは0.9gです。
煮干しは1匹あたりの重量が軽いので単純に2倍、4倍とするわけにはいかないのですが、スーパーで買った煮干しをそのまま2匹3匹とあげるのはやはり塩分過多になる危険がありますね。
ペット用の煮干しは食塩不使用で製造しているものがほとんどですので、ショップで探してみることをオススメします。
大きさも色々ありますので、犬の体の大きさに合わせて選んでください。
人間用のを一度煮てからあげる、という方法もあります。
ただし、この場合はイノシン酸やペプチドはお湯に溶けて少なくなっています。
煮干しを摂るときの注意・消化不良、アレルギー、結石
イワシがカルシウムが豊富なのはすでに述べた通りですが、もうひとつ、マグネシウムも豊富に含まれています。
カルシウムの吸収という点では、マグネシウムが多く含まれているのは利点なのですが、犬や猫の場合、マグネシウムを長期間摂りすぎると、排出のために腎臓に負担がかかって腎障害を引き起こしたり、尿結石になりやすくなったりします。
犬が煮干し好きでも、おやつ程度に与えましょう。
煮干しで下痢をした場合は、マグネシウムの摂りすぎが原因かもしれません。
煮干しを控えて、病院に相談してみましょう。
下痢は消化不良が原因であることもあります。
消化器官が弱い犬は、乾燥した煮干しは消化しづらいことがあります。
煮て柔らかくしたものをあげてください。
また、まれに青魚のアレルギーを持っている犬もいます。
初めて煮干しをあげたあとは、どこかをしきりに引っかいていないかなど、皮膚の変化に注意をしてください。
あげすぎに気を付けて犬へ煮干しをあげよう
最近のドッグフードは栄養が考えられているので、フードだけでも健康を維持できるという意見もあります。
ですが、必要な栄養素の一部が足りないということもあります。
煮干しは噛みごたえがあるので犬に人気の食品ですので、食事に上手に取り入れてみましょう。