人間が食べているものを欲しがる愛犬を見て「可哀想だから」と、自分が食べているものを少し分け与える飼い主さんは少なからずいるかと思います。
もしそれが海苔付きのおむすびだとしたら・・・。
実は、犬に海苔を食べさせるのはあまり良いことではありません。
もちろん食べてすぐ危険な状態になるわけではないですが、出来れば食べさせない方が良い食材です。
塩分が多い
海苔は塩分が多い食材です。
犬の体の大きさにもよりますが、一般的に、人間が美味しいと感じる塩気は犬にとっては危険な塩分量になります。
人間でも塩分の摂りすぎは健康に良くないように、犬の場合も大量の塩分摂取で心臓や腎臓に負担がかかってしまい、将来重大な内蔵疾患になりかねません。
しかも、犬は塩分を感じる舌を持っていません。
味覚が発達していないので、塩分が多かろうが少なかろうが美味しそうに食べてしまいます。
犬は自分が摂取する塩分をコントロールすることは出来ないのです。
つまりは、犬の塩分摂取量をコントロールしてあげられるのは飼い主だけです。
「この子は海苔をあげるととても喜ぶから」と、可愛い愛犬のため良かれと思って海苔をたくさん与えてしまう飼い主さんもいますが、犬が欲しがるままに与える続けると、例え味のない焼き海苔だとしても知らず知らずのうちに塩分過多になってしまいます。
味付け海苔は絶対にあげてはいけません。
時々、焼き海苔をほんの少しだけあげるのならば問題はないですが、毎日、愛犬へのご褒美代わりに海苔を与えるのは止めた方が良いでしょう。
特に老犬にとって塩分摂取は身体への負担が大きくなり、命取りになりかねません。
海苔をご褒美として与えるのを習慣化させてはいけません。
マグネシウムが多い
海苔はミネラルが豊富な食材です。
人間にとって積極的に摂るべき「カルシウム」や「マグネシウム」を多く含む食材ですが、犬の場合、これらの成分を摂り過ぎると良くありません。
「カルシウム」や「マグネシウム」の摂りすぎは「結石」の原因になります。
人間でも出来ると辛い結石は、犬の場合も同様、大変な辛い症状が出てしまいます。
例えば「尿路結石症」にかかりやすくなります。
その結果、おしっこが出る感覚が分からなくなり、いつもはトイレでおしっこが出来ていた犬がだんだんと失敗するようになります。
さらには排尿時に苦痛を伴うため、苦しそうに呻きながらおしっこをするようにもなります。
また、尿が出ないことで食欲不振に陥りやすく、だんだんと痩せ細り虚弱体質になってしまいます。
酷いときは「尿毒症」になり死に至るケースも。
ちなみに、体質的に結石ができやすい犬種は、パグ・ペキニーズ・ヨークシャーテリア・ビーグル・ダックスフンド・コーギー・ミニチュアシュナウザー・ブルドッグなどです。
これらの犬種にミネラル豊富な海苔を与えるのは控えた方が良いでしょう。
もちろん他の犬種の場合でも結石が出来ることはありますので、注意するに越したことはありません。
喉に詰まりやすい
海苔を食べると口の中に張り付いてしまって、なかなか取れなくて困ってしまった経験はおありでしょうか。
人間でも海苔を食べて口の中に張り付くと焦ってしまいますが、犬の場合も食べた海苔が全て口腔内や喉に張り付いてしまい、特に小型犬の場合は最悪のケース、窒息してしまう危険性があります。
あまり噛まずに飲み込む癖をもつ犬は特に、海苔はあげない方が良いでしょう。
どうしても与えたい場合は、小さく刻んだ状態にし、窒息しないように配慮してあげましょう。
下痢になりやすい
海苔は食物繊維が豊富な食材です。
少量の食物繊維ならば腸内環境を整えるためにも有効ですが、食べ過ぎると下痢の原因になります。
便秘がちな犬に食物繊維を摂らせるために海苔を与えたのに、今度は下痢になってしまっては元も子もありません。
また、海苔は前述のとおりマグネシウムなどのミネラル成分が多すぎるという問題もありますから、食物繊維を摂らせたいのならば海苔ではなく、野菜など他の食材にしてあげた方がその他の有効な栄養も一緒に摂れるのでベターです。
海苔をあえてあげる理由は特に存在しません。
犬に海苔は厳禁
「うちの犬は海苔が好き」という飼い主さんは結構多いようですが、それは人間の勝手な解釈です。
本来、犬はタンパク質を必要とする動物ですから、お肉は美味しいと感じますが、海苔を美味しいと思う味覚は持っていません。
ただ単に海苔は香りが強いので、嗅覚の鋭い犬にとって海苔から漂う磯の香りはたまらない匂いなのかもしれません。
だから、他の食材に比べて反応が良いように見えるのかもしれません。
もしくは、海苔を食べると飼い主さんが嬉しそうにすると記憶してしまい、海苔を催促してしまうのかもしれません。
海苔の食べ過ぎは重大な病気の引き金になり得ます。
なるべく与えない方が良いでしょう。