脱皮しようとする亀

最近、亀をペットとして一緒に暮らしている人が増えています。

しかし、亀と一言で言っても、手のひらサイズのものから抱えることができないものまで、様々です。

また亀の飼育は意外と大変で、知られていない部分も多くなります。

そのうちのひとつが、脱皮です。

そこで今回は、亀の脱皮についてご紹介します。

亀の脱皮は他の爬虫類とは少し違う

脱皮というと、昆虫、蛇やトカゲなどを思い浮かべることでしょう。

しかし、亀も、蛇やトカゲと同じく爬虫類に属するので、脱皮は成長する過程において大変重要な役割を持ちます。

脱皮の仕方は、蛇やトカゲがそのままの形で脱皮するのとは異なり、一部ずつ皮が剥がれ落ちるようなイメージで脱皮をします。

亀の種類、成長の仕方にもよりますが、脱皮の時期がだいたい5~11月頃で、毎年行われます。

脱皮の仕方によっては、いつ脱皮をしたのか分からない時もありますが、繰り返し脱皮をすることで亀は大きくなっていくのです。

また、脱皮をする部分についても種類によって異なります。

基本的に顔や足、甲羅ではない部分はどの亀も脱皮をしますが、甲羅に関しては、脱皮をする亀、しない亀がいるので、急に甲羅が剥がれたからと言って慌てることはありません。

亀が大きく成長しようとしている証ですので、じっくり観察を続けてみましょう。

脱皮だと思ったら

亀が脱皮をしているようだ、と思ったら、そのまま放っておいてあげましょう。

皮が剥がれ落ちることは自然なことですから、暖かく見守ることが大事です。

心配せずとも、不要な皮はいつの間にか剥がれ落ちていきます。

また、なかなか剥がれない皮を背負った亀も、なんだか痒いと感じるのか、自分の足で掻いてみたり、木や石に体をこすりつけて皮を落とそうとしている様子も、たまに見られます。

剥がれ落ちた皮は、亀の種類によって形態が違います。

こすり取った垢のようにポロポロした皮や、乾燥した薄い貝殻のような皮などがあります。

甲羅の皮の場合は、一区画ごとに甲羅の模様のまま剥がれ落ちるため、脱皮していることが明確に分かるでしょう。

脱皮が終わったら

亀がきちんと脱皮を終了させたのであれば、元々甲羅がコケなどで汚れていたとしても、キレイな甲羅が顔を出します。

また脱皮後の甲羅は新しく柔らかそうなイメージですが、今までの甲羅と同様に固いまま現れます。

もし甲羅を触ってみて柔らかかったり、汚れて傷んだままの甲羅であるならば、カルシウム不足や紫外線不足からくる皮膚病の可能性があるので、注意が必要です。

脱皮の後は、見るだけではなく、触ってみて異常がないか確かめることも大事です。

脱皮が終わった水槽はそのままにせず、キレイな水に取り換え、しっかりと掃除をしてあげましょう。

脱皮不全

脱皮をするに当たって、皮は自然に剥がれるのでそのままにしておくようにと書きましたが、稀にいつまでたっても皮が体にくっついたままの時があります。

皮が剥がれかけているのに、皮膚にくっついている部分があり、まだ剥がれ落ちる様子がない。

このように、正常に皮が剥がれ落ちない状態を脱皮不全と言いますが、そんな時は無理に剥がさず、病院で診てもらうようにしましょう。

剥がれている部分だけハサミでカットするという方法もありますが、それを繰り返すと脱皮するはずの皮が気づかないうちに2層3層と重なり、今後の脱皮に影響を及ぼす可能性もありますので、十分注意が必要です。

脱皮不全の原因

脱皮不全が起こる原因として考えられるのは、不適切な飼育環境です。

清潔でない、というのは問題外ですが、紫外線不足である、または甲羅干しができる環境にない、傷があることに気付かず傷口から菌が入り込んだ、栄養失調気味、何かの理由でからだが弱っている、などなど。

正常な脱皮は、亀が元気に成長していることを表していますから、脱皮の様子がいつもと違うようであれば、何かしら問題があると思っておいた方が良いでしょう。

また、皮が脱皮の時よりも分厚くめくれ、めくれた後の皮膚が赤っぽくなっているようであれば、それは脱皮ではない可能性があります。

ビタミンの過剰摂取からくるものであり、異常であるサインですので、気をつけましょう。

亀の脱皮は温かく見守ろう

亀を長年飼っている人であれば、亀が脱皮をするというのは当たり前の事ですが、そうでない人にとっては、ちょっと驚きの事実です。

亀の飼育は思っているよりも手間がかかり、知らないこともたくさんありますが、一度飼えば20年、30年と長年にわたって一緒にいてくれる相棒にもなってくれることでしょう。

亀の脱皮について正しく理解し、きちんとした飼育方法で、元気に成長してくれるように日頃から愛情を持って、お世話、観察を続けましょう。